平成29年3月4日に実施したAP成果報告会では、質問紙でたくさんの質問をいただきました。その中から、パネルディスカッションで答える時間を取れなかったものの一部に回答させていただきます。ご質問、まことにありがとうございました。
Q.APの取組を全学で推進するにあたっての苦労、工夫が知りたいです。
工夫として、主に以下の2つがあります。
1.全学的な組織との連携
EM・IR部、学生サポートセンター修学担当、学習ステーションなど、全学的な組織、部署と連携しています。
2.教職員との情報共有
APの取組は、なるべく実施責任学部であるキャリア形成学部・学科の会議で議論あるいはメール配信しています。また、EM・IR部と協働で、全学的なFD委員会でAP事業の一部について議論しています。さらに、月に1回開催の、全学科教員が選出されていますAP協議会で、大学、短期大学部のAP事業の進捗について共有、依頼等しています。
苦労でもあり、今後の検討点でもありますが、上記の2を強めて全学的な教育改善につなげることです。
Q.ICTスキル教育演習について,産業界のニーズ(要求レベルや変化)を調査していますか?
<女子社員のICTリテラシーは(企業にとっては)重要なアドバンテージであることは卒業生のビッグデータから証明済みです>
大変貴重なアドバイスありがとうございます.私たちも実践的な情報活用力が企業における仕事での重要な要因の一つであることは感覚的には理解しているつもりですが,具体的な確証を得るには至っていませんでした.情報活用力教育のカリキュラムを共同で開発いただいている教育業者様でも,スクール運営等を通じて掴んでおられる社会のニーズ等を考慮してはいただいていますが,直接的に企業等に対してこういう具体的な調査等はおこなっていません.今後の課題として検討させていただきます.
Q.アクティブラーニングを導入することで,学生の授業外学習時間がどう変わったか調査結果はありますか?
現時点では,直接的なアクティブラーニングによる授業外学習時間の調査というのは残念ながらやっていません.
授業評価等様々なところで,授業外学習に関する学生の自己評価データはいくつかあるのですが,どれも実際よりは少なめ(実際はもっと学習しているはず)という感触を持っています.(これも感触であってあまり具体的根拠に基づいていないので恐縮ですが)
本学では,APの取り組みとは別ですが,学習時間をより広く(新聞購読,読書や通学途上の語学の勉強なども学習の一つ)捉えた,学修時間調査に取り組んでいます.これらについても,機会があれば報告させていただきたいと思います.
ちなみに,従来からある授業評価での学生回答では,ICT演習の授業外学修時間は,他の科目より少し長めという結果が出ています.報告させていただいたとおり,宿題をはじめとした具体的に取り組むべきことが明確になっていること,操作ができるようになるのが実感できること等が要因ではないかと考えています.
Q.APプログラム作成や実施結果について,産業界との情報交換やニーズ収集を行っていますか?
APの取り組み等については,企業を含む学外からも重要であると認識はしています.ただし,現時点十分な交流がおこなえているとは言えないことも否めないので,今後より具体的に検討していきたいと考えています.
Q.e-learningについて,授業で学んだことの理解度チェックする時に,e-learningを利用するとのことですが,事前学習で利用することはあるのでしょうか?あれば具体的にお願いします.
ICT演習に関しては,e-learningを予習等に活用した,いわゆる反転学習のようなことには取り組んでいません.現在のところ,授業による演習が先にあって,そこで学んだ知識や技術を確認したり,確実に定着させたりすることをe-learningによる復習の目的にしています.
ただし,実際の操作等を伴わない,情報化の現状やセキュリティなどの学習領域では,予習にe-learningを活用することに効果があることも考えられるので,今後は検討していきたいと思います.
情報系の授業の場合,学生のスキルに大きな差があると思いますが,苦手な学生に対するフォロー,休んで授業についていけなくなった学生に対するフォローなどはどのようにされているのでしょうか?
前・後期15回の授業でリテラシー,Excel,Word,PowerPointの3つを習得させるのはとても大変ではないかと.本学では,リテラシー15回(必修),Wordその他各15回ずつの選択必修です.
報告させていただいたとおり,授業には必ずメイン・サブ2名の講師が入っており,メイン講師が授業進行している合間に,サブ講師が教室内で個別のフォローをおこないます.また,授業を欠席した場合等は,学習アドバイザのところへ行くことによって,休んだ授業で出された課題の解説などもおこないます.欠席状況や理解度等学生の個別状況は,講師・学習アドバイザ間で共有しており,個別対応に活かしています.毎回の課題提出等チェックポイントが多いため,学生の状況はきめ細かく把握することが可能です.(大半の学生は問題無く順調に学習を進めています)
授業で情報リテラシー,特にOfficeソフトの操作等をどの範囲・レベルまで扱うかは非常に判断が難しいところだと考えています.少し詰め込みすぎかなと思うところもありますが,選択にしたとしても科目数を増やすのが難しいことから,このカリキュラムに落ち着いています.ここ数年の試行錯誤の結果としてはほぼ適正なのかと評価しています.年によって入学時点のリテラシーレベルに差がありますが,毎年大半の学生が十分に教育目標を達成し,この科目の単位を修得しています.