合格者の皆さんへ

推薦図書のご紹介

  • 窓ぎわのトットちゃん [学校教育コース]
    著書:黒柳徹子  出版社:講談社 出版年:単行本1981年、文庫1984年 ISBN:10:4061832522

    推薦文
    今から約25年前、皆さんのお母さんが若い頃のベストセラーで、その後もずっと読み継がれている作品です。俳優の黒柳徹子さんが、子どもの頃通った東京のちいさなちいさな私立小学校のトモエ学園のことを書いたものです。普通の公立小学校になじめなかったトットちゃん(=黒柳さん)は、実際に生えている木が校門で、6台の電車を教室にしたこの学校を、ひと目見るなり目を輝かせます。面接では、校長先生はトットちゃんに何でも好きなことを話させてくれて、ずっと耳を傾け、終わると頭に優しく手を置いて「これで君は、今日からこの学校の生徒だよ」と言ってくれました。自分で作る時間割、散歩の授業、夏休みに講堂にテントを張ってする「野宿」、お弁当のときに毎日ひとりずつ交替でみんなの輪の中でするお話し・・。トモエは子どもにとって夢のような学校ですが、実は、教育を子どもの方から発想する児童中心主義という考え方が背景にあり、教育史の上からも興味深い学校なのです。でも、それはまた後のことにして、まずは読んで楽しみましょう。
    (推薦者:北岡宏章教授)

  • 美しい日本の私 [学校教育コース]
    著書:川端康成  出版社:講談社現代新書 出版年:1969年 ISBN:4-06-115580-6

    推薦文
    この本は 川端康成がノーベル文学賞を受賞した時の記念講演の全文です。日本文化を深く思索することは、教育の土台として、また伝統文化の継承においてもとても大切なことです。日本人の心を見直すきっかけになります。特に本文に引用される道元、西行、千利休、明恵上人などの言葉や歌は、現代の私たちが忘れかかっている人間の本質にかかわる重要なものの見方や感じ方を示唆してくれます。教育の本質にも迫るこの本から、日本の文化を改めて深く考え直すきっかけにしてもらえる絶好の良書です。
    (推薦者:菅井啓之教授)

  • 世界で1000年生きている言葉 [学校教育コース]
    著書:川端康成  出版社:PHP文庫 出版年:2012年 ISBN:978-4-569-67823-8

    推薦文
    言葉の世界遺産を巡る本です。教育を幅広くとらえるには世界で大切にされてきた言葉に触れることが大切です。特に1000年以上受け継がれて来ている言葉には、重みがあると共に、その国の文化や考え方に直接触れることができます。
    グローバル時代を生き抜く知恵としても多くのものの見方を学ぶことのできる言葉が盛り込まれています。その一つひとつを深く味わうことは、そのまま教育や人が生きていく上での大切なことを考えせえてくれる機会を与えてくれることでしょう。
    (推薦者:菅井啓之教授)

  • いわずにおれない [学校教育コース]
    著書:まど・みちお  出版社:集英社、Be文庫  出版年:2005年 ISBN:4-08-650101-5

    推薦文
    まど・みちおさんの詩が生まれてくる源泉を見つめることのできる本です。
    将来、教育に携わる人には是非とも体得しておきたい、詩心・遊び心、身近ないのちを見つめる優しさ、その心を優しい言葉で語りかけることの大切さ。まどさんは短い詩の中にいのちの深さを感じ取り、子どもにも分かる優しい言葉でその存在をそっと示してくれます。その大元の心を、まどさんの言葉で語ってくれます。とても読みやすく優しい本ですが、ものの本質がつかめる本です。
    (推薦者:菅井啓之教授)

  • きみは赤ちゃん [学校教育コース]
    著書:川上未映子  出版社:文藝春秋  出版年:2014年 ISBN:978-4163900704

    推薦文
    授業で出産の話になると必ず出るのが、「赤ちゃん産むのってどれくらい痛いの?」という質問である。出産時の痛みはとにかくすさまじい。人生最大級である。しかし不思議なことに、子どもを産んだ直後きれいさっぱり忘れてしまうし、夢にも見ない。どうやら出産の痛みにまつわる記憶は人のこころの奥深くにしまいこまれるようである。
    また母親となった女性に、妊娠・出産という体験をゆっくりふりかえっている時間はない。産後すぐにはじまる育児に追われ、言葉や記憶、自分の時間など、さまざまなものを失いながら前にすすんでいかなくてはならない。
    こうした激動の時期を生きる女性のこころを非常にクリアに描き出したのが、『きみは赤ちゃん』である。このエッセイ、とにかく面白い。保育者・教育者を目指す人だけでなく、「妊娠・出産・育児ってどんな体験?」と思った方にぜひ読んでいただきたい一冊である。 
    ちなみにこの本の作者は、出産に際して「無痛分娩」という方法を選ぶ。さて、その選択の先に待ち受けていたものは…(続きは本で)。
    (推薦者:山﨑玲奈講師)

  • ピアノ絵本館 チャイコフスキー:くるみわり人形 [幼児教育コース]
    著書:宮本良樹 編曲・文:服部陽子 英文:杉田豊・篠崎三朗 絵  出版社:全音楽譜出版社  出版年:2005年 ISBN:978-4111781812

    推薦文
    子どもたちに大人気のチャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」を、初心者からソナチネ程度で演奏できるよう連弾に編曲した絵本楽譜です。有名な「花のワルツ」を含め、おとぎの国を思わせる個性あふれる楽曲とストーリーが交互に展開されており、幼稚園や保育所、小学校での音楽発表会に最適な一冊です。眺めているだけでも楽しい気持ちになる鮮やかなイラスト、わかりやすいお話、子どもたちが夢中になること間違いなしです。学生の間に、仲間と心を一つにして音楽を共に作り上げる体験をして下さい。
    (推薦者:田中慈子講師)

  • 子どもの友だちづくりの世界 [幼児教育コース]
    著書:岩田純一 出版社:金子書房  出版年:2014年 ISBN:978-4-7608-2386-4

    推薦文
    保育実践の現場に温かいまなざしで誠実に観察を続けられた発達心理学者からの、保育者や幼児教育を学ぶ人へ思いを込めた贈り物です。
    子どもと保育者が織りなす暮らしの中で生まれるエピソード記述から自己の育ち他者との結びつきを丁寧に読み解いたわかりやすい一冊です。
    わたしの「ネズミに声をかじられた」保育実践記録を「言葉のない保育」として取り上げ、保育者が話さないで保育することは、こどもが自分の名前を呼んでもらえないこと、自己の存在を確かめることができない意味について触れてある書物でもあります。 
    (推薦者:鍋島恵美教授)

  • Little tree [幼児教育コース]
    著書:駒形克己 出版社:one stroke  出版年:2008年 ISBN:9782951863996

    推薦文
    この絵本には、ある樹の一生が描かれています。
    本を開くと、真ん中に一本の樹が凛とした佇まいで立っています。ページをめくるとそれぞれに紙の色や質感、樹の表情が異なり、季節の移り変わりや光の変化、風の温度まで感じられるようです。そっと添えられた文章も、読み手の心境によって、その時々に応じた意味合いで世界を広げてくれます。
    絵本という形式と紙の造形、言葉がマッチしてとても美しい絵本です。ぜひ、一人でゆっくりと時の流れを味わっていただきたいと思います。
    (推薦者:下口美帆准教授)

  • 保育とは何か [幼児教育コース]
    著書:近藤幹生 出版社:岩波新書  出版年:2014年 ISBN:4-00-431509

    推薦文
    保育者・園長として保育現場で保育を30年近く経験し、その後、大学教員となって保育の歴史や保育現場の課題を研究してきた著者が、日本の現在の保育制度や保育に関する問題点などを取り上げ、「保育とは」、「保育者とは」ということについて解説しています。
    社会全体で子どもを育てることの大切さや保育において本当に大切なことは何かということなどについて考えさせられました。手軽な新書ですので、保育者を目指している学生さんや、保育に興味を持っている方に読んでいただければと思います。
    (推薦者:智原江美教授)

  • 京都のわらべ歌 [幼児教育コース]
    著書:高橋美智子著、浅野建治監修 出版社:柳原書店  出版年:1979年 ISBN:4-8409-0015-9-c0073

    推薦文
    わらべうたは、こどもたちが遊びや季節の行事のとき、また日常的な行動の中で無意識に自然に歌い、遊び仲間によって集団的に伝承してきたものです。わらべうたは、ドレミの西洋音楽とは違い、日本音楽の音階から成ります。また各地の方言のちがいが旋律の形にあらわれるのが特徴です。各都道府県ごとに伝承わらべうたを採集した『日本わらべ歌全集』全27巻より、ぜひ自分の出身地のわらべうたを、見ておくといいと思います。この京都の巻には、京の町通りの名前を歌った「まるたけえびす」から、一時期世から消えた不思議な由来を持つ「竹田の子守唄」まであり、眺めて、歌って、遊んでみてください。子どもたちの生きる世界へ誘われます。
    (推薦者:和田幸子准教授)