Koka's Heart

健康科学部 心理学科 准教授

ささやかな勇気

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ささやかな勇気

ある年の春、2人の学生が「卒業論文で幼稚園での質問紙調査をしたい」と研究室にやってきた。そう言われて、私は少し驚いた。例年、学術論文を基に卒業研究を完成させる学生がほとんどだ。そんな中、実際に幼稚園に行って調査を依頼するなんて、本当に彼女たちにできるのだろうか。そんな風に心配する私をよそに、幼稚園への協力依頼の段取りや、調査項目の作成をアドバイス通り、いや、それ以上の早さと丁寧さで終え、十分な調査データを収集した。幼稚園側から調査内容についてのアドバイスをいただくほどの信頼を得られたのは、彼女たちの主体性と行動力があったからだろう。データ分析、論文執筆を切磋琢磨し乗り越えた彼女たちが、卒業するとき、「納得するまで研究ができて本当に良かった」と言ってくれたことは、今でも覚えている。

難しいこと、新しいことへの挑戦には、きっと苦労もあるだろう。でもどうか、簡単な方法ばかり選ばないでほしい。自らの可能性の輝きを絶やさないでほしい。いつもと違う道を歩けば、想像もしなかった景色に出会えるかもしれないのだから。京都光華の門をくぐる全ての学生たちが、ささやかな勇気を持ち、新たな世界の扉を開くことを願う。

教員 健康科学部 心理学科 准教授
教 員礪波 朋子Tonami Tomoko

健康科学部 心理学科 准教授 奈良女子大学大学院 人間文化研究科 比較文化学専攻博士後期課程修了。上越教育大学の講師を経て、2007年より本学に在籍。専門分野は発達心理学。大学院時代に紹介された仕事をきっかけに、子どもの心の発達に関心を抱き研究を始めた。教員としてのモットーは、学生の自主性を尊重し、干渉しすぎないこと。学生からの相談には真摯に対応し、面談やメールを活用して本人が話しやすいよう工夫している。 ※2016年度取材