京都光華女子大学 短期大学部 ライフデザイン学科 学生ブログ 「開化堂」の茶筒に未来にも通じる「用と美」を感じました ライフデザイン学科2年 Y.M

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「開化堂」の茶筒に未来にも通じる「用と美」を感じました ライフデザイン学科2年 Y.M

kaikadou_111月12日(土)「ライフデザイン特論Ⅱ」の授業で、「開化堂」に見学に行きました。開化堂とは、明治8年に創業された日本で最も古い歴史をもつ手作りの茶筒のお店です。作られる茶筒は、長い年月使い続けることで、銅の風合いが変化し、使えば使うほど味が出て、ぬくもりを感じることができる品になります。




kaikadou_2お店は京阪電車の清水五条駅から徒歩5分。大通りから少し中に入ったところにひっそりと構えていて、和風様式でありながら、モダンでシンプルな店構えが研ぎ澄まされたセンスを感じさせます。一見お堅いお店に見えますが、今回お店の案内や説明をしてくださった八木隆裕さんはとても気さくな方で、フレンドリーに接してくださる方でした。




kaikadou_3お店の中には色とりどりの茶筒が置かれていて、中でも色つやの変化が見られるものを拝見し、改めて長い歴史を感じさせられました。お話の中で、「100年先も続けられる仕事をする」という言葉が印象に残っています。今作られた茶筒を手直ししたり修理することができるように、100年後も続けられている仕事をしなければならないと聞き、なるほどなと思いました。



100年後を自分自身で見られないことが残念とおっしゃっていて、大きな責任感と誇りを持って仕事をしているんだなと感じ、古くからある伝統的な仕事を引き継いでいくことのすばらしさを感じることができました。


kaikadou_4茶筒を作る作業場を見学させてもらった際、広々とした工場とは違い、小さな作業場でほとんどが手作業で行われていて、微妙な手の感覚であったり、音を聞いて職人が微調整するということをお伺いし、まさに職人技だなと感動しました。何十年も前から使われている茶筒でも、蓋をかぶせて手を離すとスッと自然に下がっていく様子を拝見し、完璧な加工の精度と製品の美しさを感じました。



kaikadou_5また2016年5月にオープンしたばかりの開化堂カフェも見学させていただきました。開化堂から5分ほど南に向かったところに店を構えており、壁面はほとんどがガラス戸でできていて、明るい光がたっぷりと入るお店でした。店内には開化堂らしい銅製のアイテムが並んでいて、京都の職人技が集結したこだわりのコーヒーや緑茶、紅茶、抹茶などに加え、チーズケーキやパンも味わい楽しむことができます。カフェという手軽な場所からも、京都の職人技を存分に感じることができる新しい場所なのではないかなと思いました。


今回、お店から作業場、カフェまで開化堂のいろいろな場所を見学させていただき、まさに開化堂の茶筒のように外身を飾る必要がないほど、中にたくさんの美しさが詰まっている場所だと実感し、目指すべき日本の伝統工芸だと感じました。

先生のコメント

井川先生

「開化堂」の茶筒のシンプルを極めたフォルムは、そう簡単にはできません。きっちりし過ぎても蓋が閉まらず、ゆる過ぎても中のものがこぼれてしまいます。「開化堂」の茶筒は、蓋を円筒に乗せると、蓋の自重で自然に下がりぴたりと閉まります。この絶妙な精度は手作業でないと実現できないのですね。

「開化堂」の茶筒は今や世界中のセレブからも注文が殺到する名品ですが、海外のデザイナーとコラボしたり、新たにカフェをつくられたり、伝統に甘んじることなく新しいことに挑戦をされていることにも感心させられましたね。