t検定1(独立したサンプルの検定)

  2群間の平均の差の検定。使用する変数は従属変数は間隔・比率尺度、独立変数は名義尺度が適当です。

t検定とは

  2つのサンプル(標本)間の平均の差を検定します。2つのサンプルには、独立したものと対応のあるものの2つがあります。独立したサンプルとは、男性グループと女性グループとか、A組とB組などのように、構成メンバーが異なるサンプルを意味します。これに対し、対応のあるサンプルとは、10分前と10分後とか、薬を飲む前と飲んだ後のように、同じ被験者で2つのサンプルを得たような場合を意味します。 また、目標となる値と実際の平均値との差をみるための、1サンプルのt検定もあります。

 3つ以上のサンプル間の平均の差の検定は、一元配置分散分析を用います。

 

t検定の前提条件

1.標本は母集団から無作為に抽出されていること

2.母集団の分散が正規型またはそれに近いこと

3.2つの母集団の分散が等しいこと(等分散であること)

 t検定は、前提条件の1と2については、たとえ条件を満たしていなくても、影響を受けにくいといわれています。ただし、前提条件の3については、調べておく必要があります。SPSSでは、t検定を実行すると、自動的に2つの母分散が等しいことを帰無仮説としたLevene検定(ルビーン)を行います。この検定で有意 でなければ(pが5%よりも大きければ)、前提条件の3を満たしたと考え、t検定の結果を解釈します。

 なお、もし前提条件の3を満たすことができなかった場合には、SPSSで自動的に出力される「等分散を仮定しない」場合のt検定の結果を解釈します。

 参考資料: t検定の数式 t分布表

 

 ここでは、まず独立したサンプルのt検定について詳しく見ていきましょう。

 

仮説1:1ヶ月の支出は性別で差がある

 帰無仮説:性別よって支出に差がない

 使用するデータ:data1

 

例題1:1ヶ月の支出と性別についてのt検定をしましょう。

操作手順

1.「分析」-「平均の比較」-「独立したサンプルのt検定」をクリックして表示される「独立したサンプルのt検定」ダイアログボックスの [検定変数]にQ4、[グループ化変数]にQ1を移動します。

2.[グループの定義]ボタンをクリックして表示される「グループの定義」ダイアログボックスで、「グループ1」に男性を意味する「1」を、「グループ2」に女性を意味する「2」を入力し、[続行]ボタンをクリックします。

3.再び表示される「独立したサンプルのt検定」ダイアログボックスの[OK]ボタンをクリックします。

 

結果の読み方

1.「等分散性のためのLeveneの検定」で、「有意確率」の数字を読み取ります。この例では、有意確率が.268と読み取れます。

2.この例では.05<.268ですから有意でないとみなせます。 したがって、等分散を仮定することができます。

3.「等分散を仮定する。」の行から、t値、自由度、有意確率(両側)の数字を読み取ります。この例では、t値が2.063、自由度が141、有意確率が.041と読み取れます。.01<.041<.05ですから、この2つの平均値には有意差があるとみなせます。

  自由度=男性の数+女性の数-2

4.「グループ統計量」の「平均値」を見ます。この例では、男性の平均支出が6.500万円(標準偏差4.1998)、女性の平均支出が5.143万円(標準偏差3.6660)となっています。したがって、 男性の方が女性よりも支出が多いと解釈できます。

レポート記述例

 性別で1ヶ月の支出額に差があるかどうかについてt検定を行ったところ有意差が見られた(t=2.063, df=141, p<.05)。この結果と 平均値を見ると、 男性は女性よりも支出が多いと解釈することができる。

 

仮説2:ベットで寝ている人は収入が多い

 帰無仮説:ベットで寝ていても、寝ていなくても、1ヶ月の収入に差は無い。

 使用するデータ:data1

 

例題2:就寝形態と収入についてのt検定をしましょう。

操作手順

1.「分析」-「平均の比較」-「独立したサンプルのt検定」をクリックして表示される「独立したサンプルのt検定」ダイアログボックスの [検定変数]にQ5、[グループ化変数]にQ7を移動します。

2.[グループの定義]ボタンをクリックして表示される「グループの定義」ダイアログボックスで、「グループ1」にベットで寝ていることを意味する「1」を、「グループ2」にベットで寝ていないことを意味する「2」を入力し、[続行]ボタンをクリックします。

3.再び表示される「独立したサンプルのt検定」ダイアログボックスの[OK]ボタンをクリックします。

 

結果の読み方

1.「等分散性のためのLeveneの検定」で、「有意確率」の数字を読み取ります。この例では、有意確率が.405と読み取れます。

2.この例では.05<.405ですから有意でないとみなせます。 したがって、等分散を仮定することができます。

3.「等分散を仮定する。」の行から、t値、自由度、有意確率(両側)の数字を読み取ります。この例では、t値が-1.390、自由度が141、有意確率が.167と読み取れます。.05<.167ですから、この2つの平均値には有意差がないとみなせます。

注意:t値がマイナスになるのは、平均値の小さい方から大きい方を引いたときに起こります。t分布表などで有意確率を調べるときなどは、t値の絶対値を用いましょう。 また、結果を記述するときにはt値が正でも負でもどちらでもOKです。

 

レポート記述例

 就寝形態(ベットで寝ているか否か)によって1ヶ月の収入額に差があるかどうかについてt検定を行ったところ有意差が見ら れなかった(t=-1.390, df=141, n.s.)。

 

仮説3:春が好きな人は秋が好きな人より支出が多い

 帰無仮説:春が好きな人も、秋が好きな人も、1ヶ月の支出に差は無い。

 使用するデータ:data1

 

例題3:好きな季節(春と秋)と支出についてのt検定をしましょう。

操作手順

1.「分析」-「平均の比較」-「独立したサンプルのt検定」をクリックして表示される「独立したサンプルのt検定」ダイアログボックスの [検定変数]にQ4、[グループ化変数]にQ10を移動します。

2.[グループの定義]ボタンをクリックして表示される「グループの定義」ダイアログボックスで、「グループ1」に春が好きなことを意味する「1」を、「グループ2」に秋が好きなことを意味する「3」を入力し、[続行]ボタンをクリックします。

3.再び表示される「独立したサンプルのt検定」ダイアログボックスの[OK]ボタンをクリックします。

 

結果の読み方

1.「等分散性のためのLeveneの検定」で、「有意確率」の数字を読み取ります。この例では、有意確率が.000と読み取れます。

2.この例では.000<.05ですから有意であるとみなせます。 したがって、等分散を仮定することができません。

3.「等分散を仮定しない。」の行から、t値、自由度、有意確率(両側)の数字を読み取ります。この例では、t値が-.499、自由度が93.509、有意確率が.619と読み取れます。.05<.619ですから、この2つの平均値には有意差がないとみなせます。

 

レポート記述例

 好きな季節が春と秋の違いによって1ヶ月の収入額に差があるかどうかについてt検定を行ったところ有意差が見られなかった(t=-.499, df=93.509, n.s.)。