2014.08.27

精神科医・立教大学現代心理学部教授の香山リカ先生を講師にお招きし、健康科学部心理学科開設記念講演会「『こころの病』はどう変わったか―精神科の診療室から―」を開催しました。

8月21日、キャンパスプラザ京都において精神科医・立教大学現代心理学部教授の香山リカ先生を講師にお招きし、京都光華女子大学健康科学部心理学科開設記念講演会「『こころの病』はどう変わったか―精神科の診療室から―」を開催いたしました。

本学科は2014年4月より、人文学部から健康科学部に移籍し、「こころの健康を考えその実践法を身に着ける」をキーコンセプトに以下の3つの改革を行いました。まず、①心理学を単なる知識としてだけでなく生きる知恵や力とするためにアクティブラーニングを強化し、②未来につながる学びとなるよう臨床心理士に加え学部卒で取得を目指せる精神保健福祉士(国家試験受験資格)・社会調査士等のキャリアに直結する資格支援を拡充、そして③同じ学部である看護学科・医療福祉学科などと関連を深め、心理学の専門家として他の専門職とのチームケアの在り方を学習する専門職連携科目も実施していく予定です。このような改革により本学科は、高校生はもちろんのこと社会人の方がもう一度学ぶ場としても魅力的なカリキュラムと環境を提供できるようになりました。

この講演会では、「こころの健康」という本学科のキーコンセプトの対極にある「こころの病」をとりあげ、その現状と変遷について香山リカ先生にご講演いただき、こころの健康の重要性についてさらに深く考える機会を設けました。

冒頭、本学心理学科長川西が開催の挨拶と講演会の主旨説明を行い、香山リカ先生のご紹介の後、上記表題に基づき香山先生がご経験された「こころの病」の年代ごとの変遷とその対応の発展についてご講演いただきました。香山先生が精神科医になられた頃に扱われる一般的な病名は、統合失調症、躁うつ病、神経症の3つが主とされていましたが、1980年明示的な診断基準を含むDSM-IIIが採用されたことにより診断基準が変化し、今までの日本では認識されていなかった症状も精神病として診断されるようになる経緯を詳しくご解説いただきました。また、2000年代にはうつと診断される範囲が広くなり、器質的なうつ病と現代型うつ病の境目が不明瞭になる中、精神科の診断もさまざまに複雑になっていく様を非常に具体的にご説明いただきました。
新たなこころの病が多様に現れる現代、ブリーフケアなどこころの病を抱えた人を支え、かつこころの健康を維持・促進していくために、心理学を学びこころの健康について考え、そのスキルを身につけていくことは重要なことではないか?!と先生は締めくくられています。

今回の講演会を通し、皆さまがよりこころの問題について考察し、心理学にご興味を持っていただけましたら幸いです。