2016.08.04

看護学科「仏教看護論Ⅰ」で 武田病院グループ 看護部人材センター長 吉田 乃里子 先生に ご講演いただきました

7月19日(火)、看護学科2年生の必修科目である「仏教看護論Ⅰ」にて武田病院グループ 看護部人材センター長 吉田 乃里子 先生(現在本学大学院修士課程に在籍)を講師にお招きし、「医療現場と生老病死」をテーマにご講演していただきました。

講演では、吉田先生ご自身が本学大学院で仏教精神について学んだことで、「心を落ちつけて注意深く物事の本質を捉えたり、分析すること、これからや明日を組み立てていくこと」がより可能になってきたとお話しされました。さらに、「どれだけ長く生きるかだけではなく、どのような最期を迎えることができるかが大切」であり、「家族などの急変や突然死に遭遇した時、そのショックからなかなか立ち直れない多くの人に出会ってきた。しかし、誰も死は避けられない。経験を重ねるにつれて、【寄り添うこと】【傾聴する看護】の本質について考えるようになった」などと、看護師として“生と死”への向き合い方や考え方の変化についてお話いただきました。


その後、学生たちは以下の事例に対してディスカッションを行いました。

≪25歳の女性≫
肺がん終末期
≪家族≫
父・母・妹の4人(特別面会中)
≪治療方針≫
苦痛の緩和、本人へ「あまり長くは生きられない」と告知がされていた。
≪本人の希望≫
苦しさの緩和。呼吸を楽にしたい。
できたらもう一度家に帰りたい。
≪状況≫
疼痛の緩和のため薬剤投与中、呼吸状態の悪化、その後、血圧測定も不可能となる。しかし、同室していた父親が不在なことに気付いた家族からは、一転して、父親と一緒に看取りたいと延命治療を希望が示され、父親の到着まで医師の指示のもと心肺蘇生術がおこなわれた。(父親は飲酒していたことがわかった)


①あなたはこの事例どのように思いますか?
②あなただったら、家族にどのような声かけをしますか。
③あなただったらこの父親にどのような対応をしますか。

この事例に対し、学生たちは懸命に考え、意見を発表しました。

「本人は静かな最後をむかえたかもしれないのに、父親の為だけに苦しい思いをさせているのは、家族の自己満足なのではないか」、「父親は、娘がもう助からない状態と気づいており、お酒を飲まないではおれなかったのではないか…。父親を責めることはできない」、「私だったら家族に、お父さんが来るまで一緒にがんばりましょう!と励ましてあげたい」などと活発な意見交換がなされました。

吉田先生は講演の結びとして、「この科目では、多様な事例・情報・価値観と出会うことになる。ディスカッションを通して柔軟で豊かな考え方を身につけてほしい」と学生たちに向けエールが送られました。