2017.09.14

看護学科「仏教看護論Ⅰ」で 武田病院グループ 看護部人材センター長 吉田 乃里子 先生に ご講演いただきました

6月27日(火)、看護学科2年生の必修科目である「仏教看護論Ⅰ」にて武田病院グループ 看護部人材センター長 吉田 乃里子 先生を講師にお招きし、「医療現場と生老病死」をテーマにご講演していただきました。

本科目では、命はだれのためのものかを考え、看護師という仕事をしていくために、どのような気持ちを持って患者さんと接するかを学びます。講演では生と死は表裏一体であり、どれだけ長く生きるかではなく、どのような最後を迎えるかが大切であるということをお話しいただきました。

さらに、看護には「寄り添う(患者さんの視点に立つ)」、「傾聴する(患者さんの心や体調の変化に気づく)」ことが必要です。看護師として死に臨む人々のケアについての心構えをお話しいただきました。

その後、学生たちは以下の事例に対してディスカッションを行いました。

25歳の女性≫
肺がん終末期
≪家族≫
父・母・妹の4人(特別面会中)
≪治療方針≫
苦痛の緩和、本人へ「あまり長くは生きられない」と告知がされていた。
≪本人の希望≫
苦しさの緩和。呼吸を楽にしたい。
できたらもう一度家に帰りたい。
≪状況≫
疼痛の緩和のため薬剤投与中、呼吸状態の悪化、その後、血圧測定も不可能となる。しかし、同室していた父親が不在なことに気付いた家族からは、一転して、父親と一緒に看取りたいと延命治療の希望が示され、父親の到着まで医師の指示のもと心肺蘇生術がおこなわれた。(父親は飲酒していたことがわかった)

①あなたはこの事例どのように思いますか?
②あなただったら、家族にどのような声かけをしますか。
③あなただったらこの父親にどのような対応をしますか。

 

この事例に対し、学生たちはグループで真剣に話し合い、それぞれが発表しました。

「娘がこんな状態なのに父親がそばにいないことはひどい。」「父親は気持ちを整理するために飲んでいたのではないか。」「患者さんは頑張っていますよと家族に声をかける。」「本人の意思とは異なるが延命治療を家族に勧める。」「父親が死に目に間に合わなくても非難しないでほしい。」

など、さまざまな意見がありました。

吉田先生は「正しい答えはなくて、さまざまな価値観があり、意見が存在する。ディスカッションを通して柔軟な考え方を身に付けてほしい」と学生たちにエールを送りました。