京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 我が家のアニマル・セラピー(2)

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教員コラム

我が家のアニマル・セラピー(2)

アニマル・セラピーの効用の中に、人間関係の潤滑油などの社会的利点がある。私も愛犬ソラが来て、不思議なご縁が拡がっている。柴犬は、2・3歳を超える頃には他の犬と没交渉になることが多いが、ソラは3歳半を過ぎても“遊びたガ~ル”である。犬の仁義を解さぬものには怒ることもあるが、ドッグランでは初対面の犬とでも取っ組み合って無邪気に遊んでいる。お蔭でソラには行く公園どこでもお友達ができるし、毎週朝ご飯を食べさせてくださる(私はコーヒーを頂く)別宅まである。そのご縁で、私も犬仲間のクリスマスパーティに呼ばれたり、休みの日に犬連れでブランチしたりと、人づきあいが増えた。

そんなソラなので、ちょっとした公園散歩でもほっこりする思い出ができる。ソラは滑り台が得意である。その日は誰もいなかったので、ロングリールを付けてソラに幼児用滑り台をさせていた。「アップ」というとソラは器用に階段を上り、上で「マテ」と声をかけると待つので、その間にリールを通す。そして、「ダウン」と声をかけると、ととっと4つ足で滑り台を下りてくる。

そんなことを繰り返していると、「わ~~~ワンちゃんお上手」と拍手がなった。振り返ると2・3才くらいの男の子とそのお母さんが手をたたいてくれている。私が「滑り台あけますね、すみません。」というと、お母さんが「この子、階段はのぼるのですが、怖いのか滑れないのです。」といわれる。「そうですか!ワンワン上手に滑るよ!もう一回見る?」ときくと男の子が力強く頷くので、私はソラに「もう一回ね!」といって滑らした。すると、そのあと男の子は猛然と滑り台の階段をのぼり、上でちょっと怖そうな顔をして立ち止まったが、お母さんが補助すると、ゆ~くりそろそろと、しかし初めて座って滑り下りてきた。できたことがよほどうれしかったのか!?男の子はキャッキャッと声を上げて喜び、また猛然と滑り台の階段をのぼり、今度はお母さんの補助を振り払って上手に滑った。私は、その男の子が滑るたびにお母さんと一緒に拍手した。

男の子の楽しそうな声が暗くなり始めた公園に響いた。別れ際、お母さんから「ありがとうございました。ありがとうねワンちゃん!」と声をかけられ、男の子はソラの頭をなぜた。ソラは、滑り台ができなくてちょっとご機嫌斜めであったが、じ~っと頭をなぜられていた。またソラのお陰で、ちょっとした喜びの場面に出会えた。

人の縁とは不思議なものである。なるほどいい縁もそうでない縁もあろう。しかし、いい縁は心を支え満たしてくれるし、そうでない縁は心を鍛えてくれる。自分が巡り合ったいろいろな縁を大切にしていこう!そう思った。

その話を母にしていると、「そんなこというて、あなた今月何回のみに行っているの?」と母からたしなめられた。ここは笑ってごまかしておいた。

川西 千弘(2017年2月14日)

「我が家のアニマル・セラピー」(第1弾)もご覧ください(^^)