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教員コラム

[アーカイブ009]夏休み

9月になりました。高校までと違って、大学の夏休みはもう少し続きます。いつもは学生たちであふれているキャンパスも今はひっそりとしていて、サークル活動や図書館で読み物をする学生をちらほら見かけるくらいです。この風景も毎年やってくる大学の姿です。

学生にとって、というよりいくつになって も、夏休みは特別な期間のようです。アルバイトをがんばったり、旅に出たり、資格の勉強をしたり、卒業論文・卒業研究の準備をしたりと、それぞれの興味と 目的にそって自由に計画を立てることができます。時には、「自由」となると何をしていいのかわからなくなる人もいますが、それも含めて夏休みは大学生とい う時期に許されたひとつの特権といえるでしょう。

精神分析学者のエリクソンは、青年期に確 固としたアイデンティティを築いていくうえで、役割実験の重要性について述べています。役割実験とは、いろんな社会的役割にかりそめに同一化することで、 これまで知らなかった世界に触れ、自分の可能性を試し、自己理解を深めていくことです。アルバイトやボランティアで得た経験は職業選択に直接かかわってく ることも多いですし、サークルなどで役割を引き受けることも組織の人間関係の縮図を身をもって経験することになります。そして、夏休みが明けると多くの学生がまた一回り成長したことを感じることができます。

もちろん大学での勉強が一番大事なことはいうまでもないことです。心理学科の授業には、自分の体験の意味を理解しそれを自分の成長のための糧としてくためのヒントがあふれています。

長田 陽一 (2011年9月1日)