京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース ニュージーランド海外研修④~将来へつながる学び~

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ニュージーランド海外研修④~将来へつながる学び~

通常授業以外で大学で提供するこのような学びの機会は、ふつうの旅行では行けないような専門機関に入らせていただくわけですから、在学中にしか行けないということです。セルウィン・ヴィリッジもいわゆる有料老人ホームですが、通常は今回のように短時間だけの訪問者に、比較的重度の認知症の多くの方々と交流をさせてくださるわけではありません。マオリ式の鼻と鼻を合わせる挨拶も、別れ際にハグをするという挨拶も、施設の皆さんが私たちが施設の在り方を専門的な視点から学びたいという意志をもって訪問するということを、十分理解されていたからこそできたことです。

最近は海外に行くことが身近になったので、自分の知識を深めるチャンスだと感じたら、そのために必要な費用をがんばって準備し、将来の自分に投資する価値があると考える学生が増えてきました。このぐらいの短期間のものであれば、シンプルに異文化に触れる楽しみとして捉えてもよいですし、今の自分の進路に対する意欲を新鮮な視点から考えるきっかけにもなりえます。何にせよ建設的だけれども勇気の要る行動を起こす時には、その目的はすべて自分のためであると割り切ってわがままになることが、一皮むくための原動力になるでしょう。

ニュージーランド海外研修参加者には、心理学科の学生の割合が高くなりました。学科によって既に予定が入っているということもありましたが、その大きな要因として、心理学は幅広い分野で人々の生活に役立つ学問だからということを明確にしておきたいと思います。実際、心理学科の卒業論文・卒業研究のテーマを見ていただいたら、研究テーマの対象は、赤ちゃんから高齢者まで、普通の人間関係における心理からノイローゼなどのこころの問題まで、非常に個人的なインタビュー形式からアンケートによるデータを統計処理する形式までというように、かなり幅広いことがすぐにわかります。

心理学科4年生のNさんは子どもにかかわる福祉系の職に就きたいという希望を持ち、同級生が本格的に就職活動を始める時期にこの研修に参加しました。就職活動に出遅れないかという不安や、経済的な負担もよくよく考えたにちがいありません。ご家族をはじめとする周囲の手厚い協力も背中を押してくれたのではないかと推測しますが、不安をふりきって「責めの姿勢」で臨んだ学生の1人のようでした。実際に現実的なケジュールをたてて参加準備を遂行し、研修に参加した後の感想を次のように語っています。

「私は児童館や児童養護施設の就職を目指し就職活動をしています。そのため今回の研修内容はとても魅力的でした。
ニュージーランドの心理や教育、福祉現場の視察によって、改めて一人ひとりを尊重することの大切さや尊重するとはどんなことかを学びました。日本では問題視されている、早生まれの子どもと春生まれの子どもとの能力差について、ニュージーランドではしっかりとそのことに対して向き合っていました。ニュージーランドでは、保育所などでは入園式や卒園式という、対象となる子どもが一斉にスタートやゴールすることがなく、自分の誕生日を迎えると一人ずつ卒園しプレスクールへと進むというシステムでした。このシステムによって、その子どもに合わせたカリキュラムやその子どもが持っている個性に目を向けやすくなり、一人ひとりを尊重することが出来ます。そうして個々を尊重することによって伸び伸びと、子どもは自分のペースで成長し学んで行くことが出来るのではないでしょうか。
日本ではニュージーランドのような体制にすることは難しいですが、一人ひとりを尊重することの大切を改めて認識することは可能であると思います。今回の研修を就職活動する前に参加することが出来て良かったです。自分の児童指導員としての目標や理念を、この研修によって一層深めることができ、就職活動のモチベーションが上がりました。
研修最終日では1日自由だったため、念願だったワイナリーツアーにも参加することが出来ました。通訳なしでツアーに参加したため、英語での説明やバリエーションにとんだ国籍の参加者など、日本のツアーでは得ることが出来ない体験をしました。また、最終日ということもあり、自分から積極的に現地のガイドさんに話しかけに行き一緒に写真を撮ってもらうこともできとても良い思い出になりました。」(心理学科4年生Nさん)

しっかりと自分のペースをつかみその土地の美味しいワインも楽しんで帰ってきたということで、他の参加者とおなじく、この体験を将来の自分への投資として生かしてくれることでしょう。転んでもただでは起きないのが関西人ですから。