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教員コラム

~ 浅井三姉妹 ~

滋賀県長浜市は、浅井三姉妹の故郷です。NHKの大河ドラマにも取り上げられたことがあるので、ご存じの皆さまも多いことでしょう。

 浅井三姉妹とは、茶々・初・江の3人の姉妹です。父は浅井長政、母はお市の方です。「浅井家」 は、琵琶湖周辺の 「近江(現在の滋賀県)」 の国を支配していた大名家です。城は小谷城と言いました。長政は戦国時代を生きた武将でした。織田家が美濃の斉藤家との戦いに明け暮れていた時代、信長は、絶世の美女と噂された妹お市の方を長政に嫁がせ、織田家と浅井家は同盟を結びました。7年後、長女茶々が生まれます。そして2年後に次女初が、その2年後には三女江が生まれました。幸せに暮らしていたと思いきや、信長が、浅井家とは縁の深い朝倉家を攻めたことから、江が生まれた翌年、父長政は29歳で自害し、小谷城は焼け落ちました。

 お市の方に連れられて織田家に戻った三姉妹でしたが、お市の方が越前北ノ庄城、柴田勝家と再婚したため、ともに越前に行きました。ところが、勝家は豊臣秀吉といさかいを起こし、北ノ庄城は落城。柴田勝家とお市の方は自害します。残された三姉妹は秀吉の保護下に置かれることになりました。

 ここからはもっとも有名なお話になります。茶々は、秀吉の側室となり淀殿と呼ばれ、秀頼の母として大阪城の主となりました。初は、京極高次に嫁ぎますが、京極高次が亡くなると、出家し常高院となります。三女江は、3人の中では一番早く佐治一成に嫁ぎましたが、後に離縁となり、徳川家康の二男・秀忠と再婚することになります。その子供が3代将軍家光です。

 その小谷城のすぐ近くに、須賀谷温泉という一軒宿があります。昔は建物もひなびたものでしたが、今は立て直され、ペットと泊まれる温泉として人気があります。美しいお市の方とその娘たち、三姉妹の数奇な運命に思いをはせながら、愛犬と過ごした週末でした。

 どんな時代に、どんな境遇のもとで生まれ、どんな生活環境にあろうとも、自分自身を見失うことなく、自分の人生を生き切った彼女たちは素敵です。辛い出来事も人のせいにせず、自分で引き受けて生きることこそ、輝く人生の源なのかもしれません。どんなサプリメントより、美しくなることに効果がありそうです。

 たまには温泉に浸かりながら、人生を振り返ってみるのも良いのではないでしょうか。

言語聴覚専攻 松田芳恵