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「1年基礎ゼミ 若い失語症のTOMOの会の方のお話をうかがって」

基礎ゼミⅡでは、11月7日にもゲストスピーカーの方からのお話をうかがいました。

関西で活動している、若い失語症の方が集うTOMOの会の会員で失語症の当事者の森さんと伴さん、それから同じく会員で言語聴覚士である北川さんのお三方です。

森さんは、ご自分の思いを流ちょうに音声言語に出せない中で、失語症当事者の漫才に挑戦されています。「笑顔でリハビリをしてほしい」とメッセージをいただきました。また、伴さんは、中学3年の時の事故後長く入院をされました。ピースボートで諸外国を巡り、学生の前で三線の弾き語りを披露していただくなど、積極的な活動をされています。

基礎ゼミでは、学生は毎週のようにレポート形式で自分の学びを綴り、考えを論理的にまとめる練習を積み重ねてきています。

以下は、今回のゲストスピーカーの方からのお話後に学んだ学生のレポートからの抜粋です。

「・・・伴さんの希望は、TOMOのような存在がもっと増えていくことである。それには私たち言語聴覚士が率先して取り組んでいく必要があり、その結果として支援の輪も広がっていくのだ。そのため、普段から少しでも意識するだけで何か行動できることがあるかもしれないと感じた。そして、森さんや伴さんが話す際に、北川STが相手をフォローするタイミングや間が印象的だった。それは、相手を急かしたり、代わりに全て話したりするのではなく、上手く話が繋がるように配慮していた点である。これは意識して行おうと思っても、上手くできないものなのだろう。いくら専門用語を頭に詰め込んだとしても、このスキルは実際に経験を積み重ねることでしか得られないのだと感じた。今の現代では携帯を使ったやり取りが多く、結果、実際に人物と向き合い会話することが少なくなったといわれる。私自身も初めての人と対する際、コミュニケーション能力の低さを痛感する。そのため普段から積極的に会話をしようと強く思った。

二人の講話を聴き終え、そして今まで聴いた数々の講話を振り返り、改めて思ったことがある。私は日常生活で、あまり失語症の人に出会ったことがないと思っていた。しかし、普段気がつかないだけで、すぐ近くにいるのかもしれない。例えば電車内で隣に座っている人などである。加えて、既に出会った人の中で、随分と口下手な人だと感じた人も、実は背景が様々にある方だったのかもしれないという可能性も考えるようになった。知識を深めるだけでものの見え方、捉え方がこうも変わるのだと改めて感じた講話内容であった。」