Ratcliffの拡散過程モデルとパラメータ推定プログラム

Ratcliff(1978)の拡散過程モデルは、二肢選択課題の反応時間を分析するため数理モデルです。実験から得られる正答および誤答の反応時間データをモデルから導き出される理論分布に当てはめることで、刺激に対する情報処理の速さや判断の慎重さ等、モデルに基づくパラメータを推定することができます。

Ratcliffがこのモデルを提案した当初、プログラミングやパラメータ推定に関する専門的知識が必要となるため、実際に利用できる人は限定的でした。しかし、2007年から2008年にかけて、3つの研究グループから、 Ratcliffの拡散過程モデルに基づくパラメータ推定プログラムが公開され、パラメータ推定が身近なものになりました(Wagenmakers et al.,2007; Voss&Voss, 2007; Vandekerckhove&Tuerlinckx, 2008)。

このサイトでは、Vossら(2015)が公開しているフリーソフトウェアfast-dm-30にGUI環境を実装したWindows版パラメータ推定プログラムとその利用方法を公開しています。 ユーザー・フレンドリーなインタフェースに加えて、推定結果のグラフ表示機能を実装しているため、気軽にRatcliffの拡散過程モデルに基づくパラメータ推定を行うことができます。

特に、二肢選択課題の一種である潜在的連合テスト(IAT)の反応時間データの分析については、分析のノウハウと専用プログラム、および、データ下処理のためのプログラム群を公開しています。データ下処理プログラム群は、IATデータに限らず、さまざまなデータの外れ値処理に活用していただけると思います。

この取り組みは、科研費(研究課題:拡散過程モデルに基づく潜在的連合テスト(IAT)データ分析手法の開発、課題番号:25380988)の助成を受けています。 多くの方に使っていただければ幸いです。

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