京都光華女子大学 短期大学部 ライフデザイン学科 学生ブログ 「地域連携実践演習Ⅰ」を受講して③ 長野さんのお宅に民泊しました ライフデザイン学科1年 H.K

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「地域連携実践演習Ⅰ」を受講して③ 長野さんのお宅に民泊しました ライフデザイン学科1年 H.K

「地域連携実践演習Ⅰ」では、普段では体験や経験できないことを、たった4日間で身につけることができ、人として成長できる授業です。4日間の主なスケジュールも知らないまま、高知県へ向かっているときは、「ガンバろう」という向上心よりも、「自分はこれからどうなるのだろう」「他の人とうまくやっていけるのか」という大きな不安ばかりで、先のことを考えることがストレスでしかありませんでした。

minpaku2016_3_1実際、嶺北に到着しても全然知らない先輩と民泊が一緒だったり、周りの人たちは嶺北の人とうまくコミュニケーションをとれているところを見て、自分の中で焦り始めていました。その後、民泊先の長野さんが車で案内してくれた嶺北の絶景を見て、私の気持ちは大きく変化しました。高いところから見下ろす嶺北はとてもキレイで、緑が多く、京都では絶対に見ることができない風景でした。ここでは、自分のことを知らない人ばかりなので、1から自分を作る勢いでガンバろうと決めました。

minpaku2016_3_2さらに景色だけでなく、風も涼しくて「空気がおいしい」「空気が澄んでいる」という言葉の意味が、19歳にしてやっと理解できました。長野さんの解説でダムや太陽光発電の場所、それから川の水が全ての田畑や家庭に流れて役に立っていることを知りました。「この川の水のおかげで生きている」という長野さんの言葉の意味を身体で実感しました。また、私たちが嶺北の景色や水、空気に感動するように、嶺北の人々がセルカ棒に感動していたことも印象的でした。


minpaku2016_3_3その日は初日ということで周辺を案内してもらい、晩ご飯の用意を手伝いました。コンビニやスーパーまで車で20分ほどかかり、私にとっては想像もできないことだらけで、戸惑いを隠せませんでした。自分は便利なところに住んでいるのだと改めて感じました。移動中に、人と出会うたびにみんなが長野さんに笑顔で話しかけ、冗談を言い合い楽しそうにしている姿を見て、「これが本当の付き合いだ」と思いました。私の知っている上辺だけのご近所の付き合いとは、全く違う光景に少し憧れました。


少し話はそれますが、例えば私の住んでいる地域では、外で走り回っている子どもをあまり見かけなくなりました。みんな、スマホやタブレット、ゲーム機などを持ち、輪になって座っています。しかし嶺北で出会った子どもたちは真っ黒に日焼けして、外を走り回り、いろんなものに触れて、誰にでも話しかけます。こんなに幼いのに、もうコミュニケーション力が身についていることにとても驚きました。私は不思議に思い、長野家の隣の家の子に、電子器具を持っているか尋ねました。その子はタブレットを持っていると言っていましたが、そのような暇つぶしになるものを持っていながらも外で遊び、近隣の人とコミュニケーションをとっていることがステキでした。私もこんなふうに子育てしたいと思いました。

短い期間でしたが、嶺北の良いところをたくさん知り、人と人との繋がりを実際に体験することができました。初めての農作業では、トラクターに乗ったりジャガイモを植えたりしました。トラクターは便利グッズのようなものだと考えていましたが、実際に乗ると操作が難しくて直進するだけで精一杯でした。さらに、トラクターだけでは取りきれなかった雑草などは自分たちで抜きます。それだけで私は腰が痛かったり、ミミズがいたりして大変でした。それを軽くこなし、慣れている嶺北の人々は、日頃の生活で十分な運動量になっていて、歳をとっても元気で健康なのだろうと思いました。私も見習いたいです。


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私は、この授業で大切な時間を過ごしました。1分1秒が本当に大切だと思えるぐらい、常にいろんなことを吸収できました。また、教えてもらうだけでなく自分で発見して実際に身体で感じることにより、頭だけでなく身体で覚えることができました。嶺北での体験と自ら感じたことを、私はこれからもずっと覚えているだろうと思います。作業や文化だけでなく、土佐町の人々の温かさや繋がりは、私を成長させてくれました。私に関わってくれた全ての人に、感謝の気持ちでいっぱいです。


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先生のコメント

今回お世話になりました 長野 保(ながの たもつ)さん からコメントをいただきました。

今回は8月26日から2泊3日の行程で、学生3名の受け入れを行いました。最初に受け入れをしたのが、平成26年8月でしたので、早2年が経ちます。いつものことですが、受け入れの事始め「入村式」、今年はどんな子かな~と、期待と少しの不安が入り混じる瞬間です。それがなんとなく楽しいのは、たぶん私だけではないでしょう。受け入れてから自宅までのわずかな時間、これが最も大事で、私の場合ここで受け入れ期間のすべてが決まります。

どんな子かな~を少しでもつかめれば、過ごし方のイメージが湧き上がるのです。今回の学生は今まで私が受け入れた中では、3人とも物静かなタイプの学生さんでした。最初はどんな子かな~を、少しつかめなくて若干の不安を感じましたが、「まっ、いいか」とマイペースで望みました。彼女たちはすぐ馴染んでくれて、普通に過ごすことができました。まずは彼女たちに感謝です。

まず初日、夕食はいつものとおり「涼」を求めて外で行います。天候にもよりますが、外での夕食は滞在中基本になります。外で食べてもバーベキュー(焼肉)とは限りません。調理したり、焼き物、煮物なんでもできます。火のつけ方、炭の起こし方、暗闇の中の炎、参加者にとっては何もかもが初めてのできごと。そこには多少なりとも、感動や感激があるんじゃないかと勝手に信じ込んでいます。ちょっとした工夫も話題作りになります。今回は、私の手作りの折りたたみ式テーブルを使ってみました。「いいだろう~」「いいですね」と、会話も弾みます。ちょうど食事中に雨が降ってきて、共同作業でテントを張りました。これも立派なコミニュケーションになります。いろいろなできごとが、少しでも心の中に残ればといつも願っています。

農作業は基本トラクターに乗るところから始めます。たぶん最初で最後の体験になるのではないかと思っています。結構手ごたえのある体験です。鍬(くわ)を使ったりの作業もありますが、それこそ「鍬に触ってみた」程度です。どこかの研修で「手を抜かず、農作業は辛いものだと思うほど作業をさせなければ」という話を聞きましたが、私は賛同することができません。むしろ楽しさを体験することが、農業のイメージアップにも繋がるのではないかと思います。「作物を作る」という長いスパンの中の一瞬のできごとですから。2泊3日の短い期間でしたが、受け入れ側としては充実した時間を過ごすことができました。参加者の皆さんが、何かひとつでも心に残ることがあったら幸いです。