分散分析3(一般線形モデル:反復測定)

一般線形モデル(反復測定)とは

  同じ被験者で実験を2回繰り返した場合の1回目のデータと2回目のデータのように、データに対応がある場合があります。対応があるデータが2つの場合は「対応のあるt検定」を用います。実験を3回以上繰り返した場合には「一般線形モデル-反復測定」を使用します。

 

 ここでは、一般線形モデル(反復測定)について詳しく見ていきましょう。

 

仮説1:英語の成績は音楽条件で差がある

 帰無仮説:英語の成績は3回とも差がない

 使用するデータ:data10

 

例題1:英語の成績に与える音楽の影響を分析しましょう。

操作手順

1.「分析」-「一般線形モデル」-「反復測定」をクリックして表示される「反復測定の因子の定義」ダイアログボックスで、「被験者内因子名」に「 音楽」、「水準数」に「3」を 入力し、[追加]ボタンをクリックします。すると、テキストボックスに因子名と水準数が入力されます。

2.「定義」ボタンをクリックして表示される「反復測定」ダイアログボックスで、「英語1」変数をクリックして選択し、ボタンをクリックします。すると、「被験者内変数」ボックスに この変数が移動します。残り2つの変数も順に選択して移動します。

3.傾向を見るために[作図]ボタンをクリックして表示される「反復測定:プロファイルのプロット」で「音楽」をクリックして選択し、「横軸」の

ボタンをクリックします。すると、「横軸」ボックスに この変数が移動します。

4.[追加]ボタンをクリックして、作図ボックスに入力し、「続行」ボタンをクリックします。

5.[OK]ボタンをクリックします。

 

 

結果の読み方

 反復測定による分散分析

1.反復測定による分散分析では、まずMauchly(モークリー)の球面性の検定をみる。この有意確率が5%未満でないとき、球面性の仮定が成り立つと考えます。この仮説がなりたたない(有意確率が5%未満)とき、被験者内効果の検定の有意確率が小さくなるので、Greenhouse-Geisser(グリーンハウス・ゲイザー)のイプシロンを利用して自由度を修正したものを採用することにな ります。

2.この例では、Mauchlyの球面性の検定の有意確率が.000と有意差がみられたため、Greenhouse-Geisserのイプシロンを利用します。もし、このイプシロンの値が0に近いときは、 この反復測定による分散分析ではなく、結果上部に表示されている「多変量検定」 の結果を利用することになります。この例では、このまま反復測定による分散分析の結果を利用することができます。

3.被験者内効果の検定で、Greenhouse-Geisserの行を利用します(もし、球面性の仮定が成り立つのならば、「球面性の仮定」の行を利用します)。すると、自由度が1.08444.463でF値が6.111、有意確率が.015と読み取れます。

4.この結果から、音楽が英語の成績に影響を与えていることがわかります。

5.平均値の折れ線グラフから、1(静かな音楽)のときに成績が良いのが読み取れます。

 多重比較のための分散分析

 どの条件で有意差がみられるかを、統計的に明らかにするにはどうすればよいでしょうか。そのためには、繰り返しのない2元配置分散分析(分散分析2)を行います。ただし、次のように、データの形を変更する必要があります。

 

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現在のデータ                    多重比較のためのデータ

データの作り方

 1.SPSSデータをEXCEL形式で保存します。

 2.EXCELで不要な変数を削除し、コピーや貼り付けなどを利用してデータの形を整えます。

 3.EXCELのファイルを保存します。

 4.SPSSでこのEXCELデータを読み込みます(この作業で作成したdata10r.savはここにあります)。

ミラーファイルはこちらです。

 

多重比較のための分散分析の方法

 分散分析2で行った方法と大きな違いはありません。唯一の変更点は、交互作用を計算しないようにすることです。その方法を具体的に見ていきましょう。

操作手順

1.「分析」-「一般線形モデル」-「1変量」をクリックして表示される「1変量」ダイアログボックスで、「従属変数リスト」に「 英語」、「固定因子」に「音楽」「id」を 入力します。

2.[その後の検定]ボタンをクリックして表示される「1変量:観測平均値のその後の多重比較」ダイアログボックスで、因子の「音楽」を選択し、ボタンをクリックして「その後の検定」ボックスに移します。そして「Tukey のb」にチェックをし、[続行]ボタンをクリックします。

3.[モデル]ボタンをクリックして表示される「1変量:モデル」ダイアログボックスで、「ユーザーの指定による」にチェックします。そして、「因子と共変量」から「音楽」と「id」を「モデル」に移動します。 これは「id」と「モデル」の交互作用をモデルの中に組み込まないための手順です。「続行」ボタンをクリックして、ダイアログボックスを閉じます。

4.[OK]ボタンをクリックします。

 

結果の読み方

 

1.「分散分析」の出力結果欄で、「音楽」の行からF値、自由度、有意確率の数字を読み取ります。この例では、F値が6.111、自由度が282、有意確率が.003と読み取れます。この 結果は、球面性を仮定した場合の反復測定による分散分析の結果と同じであることが確認できます。

2.「等質サブグループ」の表をみます。 すると、各平均点が表示され、それらが2グループに分類されていることがわかります。同じグループに属している平均点の差には有意差がありません。このことから、「 音楽なし」と「ハードロック」の間 には有意差がありません。「音楽なし・ハードロック」と「静かな音楽」間には有意差があることがわかります。

 

レポート記述例

 英語の成績に与える音楽の影響を分析するために分散分析を行った。その結果、音楽の効果が有意であった(F(1.084, 44.463)=6.111, p<.05)。Tukey bを用いた多重比較によれば、「静かな音楽」と「音楽なし・ハードロック」の間に有意差があり、静かな音楽が英語の成績を良くしていることが分かった。

注:その後の検定で時間の変化に伴うデータの差をみるような場合には、Tukeyのbではなく、Dunnettを利用しましょう。Dunnettを利用する場合、比較の元なるデータを「最初」または「最後」で指定します。 たとえば、体重に1,2,3の3つの水準があり、1が中学時の体重、2が高校時の体重、3が現在の体重だとすると、中学時の体重をもとに比較する場合は、「最初」を指定してください。