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「猫泥棒と木曜日のキッチン」橋本紡[著] 新潮社, 2008.12

2014.07.21

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生活環境から、精神的自立が早まった高校生・みずき。父が不在なことも、母が家を出たことも、弟と二人で生きなければならないことも、冷静な心で受け止めている。感情が欠落しているのか、麻痺しているのか。みずきは、親に頼らなくても生きてきた。これからも生きられるだろうという希望を、乗り越えられない「死」に阻まれた。教えてくれたのは、小さな守られるべき存在だった。
今まで泣くべき時に泣けなかった。体の中に溜まった感情は、いつか爆発する。その行動は奇怪かもしれない。猫の主人の行動に、溜めていた怒りが重なった。自分勝手で、自己満足にしか映らなかった。他人の感情は、推測しかできないのに。
家族の形は、家族の数だけある。血のつながりだけが家族ではない。守るべき存在、守りたい存在、守られている安心感。未来は切り開くものであり、「死」は誰にでも訪れること。タイトルや表紙からは想像つかない過激な描写がありますが、読後は爽やかさが読者を包み込むでしょう。
(蛍)

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