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「県庁おもてなし課」 有川浩(著)  角川書店 2011 913.6/AHi (学生選書コーナー)

2011.09.22

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主人公の掛水は「おもてなし課」に配属された、入庁三年目の新米職員である。観光立県高知を目指し、まずは観光特使に名刺を配ってもらうという企画に取り組むが、お役所と民間とでは感覚に雲泥ほどの差があった。観光特使の一人となった、高知県出身の作家、吉門は担当である掛水に、企画の詰めの甘さを指摘する。掛水は民間との差を、何とか埋めようと立ち上がる。手厳しいが見放す事のない吉門や、その斬新な考えがお役所で疎ましがられ本庁を追われた観光アドバイザーの清遠、その娘の佐和、そして本庁で出会った多紀たちが見守る中、掛水は公務員の逃れられないしがらみにもがきながら、カッコいい自分になれるように奮闘する。
これは、有川浩の出身県である高知の本庁舎観光課に実在する「おもてなし課」の物語である。この本の魅力は、相変わらずのテンポの良い文章と、ストレートにキュンキュンさせる恋愛模様にえ、中々知る事の出来ないお役所事情が高知弁丸出しで語られているところだろう。そして、これは有川浩の地方の観光が元気になるようにとの願いが詰まった本である。読み終わった後は、高知県に、いやどこかへ旅行に行きたくなるのは間違いない。
(W)

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