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「赤朽葉家の伝説」 桜庭一樹(著)  東京創元社 2006年

2011.01.21

赤朽葉家の祖母、母、娘を三部構成で綴られ、孫である瞳子の目から描いてあります。祖母の万葉は昭和の初め頃、山の民に置き去られた子で村の若夫婦に拾われ成長し、のちに山の上のお屋敷である赤大奥様であるタツに見染められ、製鉄業で財を成した朽葉家に望まれて嫁いでいきます。万葉は小さい頃から先のことが予知できるということで千里眼奥様と呼ばれます。そのタツは万葉の子供に鞄や孤独などの名前をつけ面白い人です。

第二部は万葉の娘の毛毬の話です。レディースのリーダーとなり暴れますが、親友の死ののち売れっ子の漫画家になり事業と家を支え大きなお屋敷で漫画を描き続けていきます。第三部は毛毬の一人娘の瞳子が祖母や母のことを調べていきます。

終戦後から高度成長、バブル崩壊、現代への流れの中で生きた人たちは、貧しく辛く悲しいことを経験しますが、淡々と描かれていますのでそれをあまり感じさせず面白く読めます。(K)

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