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スタッフおすすめの本

「人生はZoo(ずー)っと楽しい!-毎日がとことん楽しくなる65の方法 」 水野敬也,長沼直樹(著) 文響社,2014年

2019.10.15

「本を読む」という行為は私にとっては、「物語を読む」という事でした。しかしながら、図鑑を幼少期から好きで読んでいた学生や、若いころ英語の辞書を毎日読んでいたという教授の話を聞いて、「本を読む」ことには様々なスタイルがあると実感しました。

この本はリラックスして読める本です。65ページ分それぞれに動物の写真と生きる上で「大切なこと」が書かれ、裏面にはそれに係る偉人のエピソードや名言が載っています。動物の自然な姿にほっとしたり、興味あることばと動物の世界を楽しんだりできます。偉人たちのエピソードは知らないことが多く、気になることばは自分に問いかけるように、つい声を出して読んでしまいました。好きなページを見るだけでもOK。疲れた夜にささやかな幸せと癒しを与えてもらえる一冊です。(scarlett)

「干し野菜のおいしいレシピ」 本谷惠津子(著)  家の光協会 2008年

2019.07.31

よく「健康を維持するために野菜をしっかり採りましょう」と言われますが、1日350gの野菜を食べるのって結構大変だし、料理もマンネリ化するから難しいなぁ…と思っていたら「こんな本があるよ」と知人から紹介されたのがこの本です。
ドライフルーツと同様に野菜も干して食べようという事なのですが、この本のよいところは、「切りたて」「ちょっぴり干し」「しっかり干し」の区別がつくように写真が掲載されているところですね。
ちょうど以前から利用していた乾物屋さんがなくなって、砂糖の使用されていないドライミニトマトが手に入らなくなったので、実際に試してみたら「あら?おいしい…」。
料理本なので、干し野菜の作り方についての記述は少ないものの、眼から鱗のレシピがいっぱいあってレパートリーの幅が広がりました。
野菜不足に悩んでいる方や野菜料理の幅を広げたいと思っている方に是非読んで頂きたい一冊です。(M.O.)

「異なり記念日」 齋藤陽道(著) 医学書院 2018

2019.06.20

このタイトルの意味は何だろう?と気になって読んでみました。 著者はろう者であり、写真新世紀優秀賞を受賞した写真家です。この本は著者から見た日々の記録です。 著者は聴者の家庭で育ち、「日本語」(日本語対応手話)の教育を受けて育っています。奥さんはろう者の写真家で、ろう者の家庭で育ち「日本手話」を身につけています。「日本語」と「日本手話」の別の言語(手話)を使う二人が結婚して聴者の子どもを授かり、「異なる」三人の暮らしが始まりました。違った視点から日々を過ごしている家族それぞれの姿に考えさせられます。 私は難聴でこの著者と同じような環境で育ちましたので、とても共感を覚え懐かしくもありました。写真家の著書らしく、多くの写真が掲載されていることもこの本の魅力です。ぜひ読んでみて下さい。(C)

「蜜蜂と遠雷」 恩田陸(著)  幻冬社 (2017年直木賞、本屋大賞作品)

2019.06.20

この作品は国際ピアノコンクールの舞台で4人の若き演奏者たちがそれぞれの人生をかけて、競い合うストーリー。予選から本選に至るまでを臨場感ある表現力で描いている。 ピアノを持っていないが抜群のセンスを持つ16歳の自然児、母の死でピアノが弾けなくなった20歳の元天才少女、完璧な演奏技術を持つアメリカの名門音楽大学19歳男子学生、音大出身で、妻子もいる28歳サラリーマン。コンクール参加にいたるまで、ピアノを通しての様々な人生がある。 この作品でのもう一つの主役が音楽である。ピアノの音色をこれほどまでに言葉で表現できるのか。流れてもいない音楽が本から聞こえてきて、著者が浜松国際ピアノコンクールを4回取材して書き上げた大作であることがうなずける。 ピアノ曲を知らない人が読んでも面白いと思うが、知っていればさらに楽しめる 作品。幼いころに習った練習曲が登場する場面は特に情景を実感することが できた。旋律とともに本を読み進めていく楽しさがある。クライマックスの 本選曲は知らない曲ばかりで、一度聴いてみたくなった。 (Scarlet)

 

地震イツモノート:キモチの防災マニュアル  地震イツモプロジェクト(編) ポプラ社  2010年

2019.04.02

この本を見つけたとき「これだ!」と思いました。普段考えないといけないと思いつつ後回しにしている防災について考える事の大切さ、社会人として一人ひとりが考えることが書かれています。近年は地球温暖化で、自然環境が不安定となり、毎年世界各地で災害が起こっています。もともと、日本は火山帯の上にあり、歴史的にも地震が起こりやすい国です。また、自然が豊かですが、豊かであるということは自然とうまく付き合い自然環境を安定させる必要があります。近代化のなかで人間も自然の一部であることを感じる機会が減ってきています。この本を読んで、地球で生きることについて考え、いざというときに困らない心の持ち方(スキル)を身に着けてください。
まだ(・・)大丈夫(・・・)ではなく、“いつか”起こるかもしれない時に慌てずに、自分もまわりの人も助けるためには何が必要かを常に意識して考えることを知ってください。この本は阪神・淡路大震災を経験した人たちの気持ちと、「デキルこと」(体験した人の工夫)がイラストと一緒に書かれていて、楽しく学べる1冊です。また、ライフラインが止まった時や普段からこうしておけばいいんだ!という身近な知恵が一杯詰まっています。一度、皆さんの身の回りの暮らしを見直してみませんか。(R)

 

 

日日是好日 : 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ

2018.12.06

この本はフリーのルポライターである著者が、仕事とは別に25年間続けているお茶について書いたエッセイです。私はいつか、どこかのおうちでお茶などを点てていただく機会があった時のために、ほんのちょっとだけ習ったことがある程度の、本当の門外漢です。そんな私でも、とても感動して読むことが出来ました。あまりに感動してしまったので、お茶のお稽古を長く続けている義妹に1冊余分に買って「すんごく良いから、読んでみー」と押し付けてしまったほどです。この本は「お茶」について語っているだけでなく、著者の人生そのものについて語られているのです。
著者の母親に「お辞儀が違う。タダモノじゃない」と言わしめた、お茶の先生は出過ぎたところがなく、ふんわりとしていて、上品で、気配りが行き届いている素晴らしい人物です。最初は、「お茶」の「形を作ってから心を入れる」やりかたに、「そんなの形式主義だわ」と著者は反発を覚えました。いろいろな疑問を先生から言葉で説明してもらいたかったのですが、いつの間にか「頭で考えなくてもスッスッと勝手に手が動いていくことに」びっくりしたり、和菓子より「ケーキのほうがいい」はずだったのに、先生が「ひとっ走り」して取り揃えて下さる色とりどりの和菓子の、美味しさ・美しさに目覚めたりしていきます。この先生に巡り会えたことも、著者の幸せなのかな、と思いました。
黒木華さん主演で映画化もされており、樹木希林さんが先生役で出演されています。こちらは、季節の移ろいが美しい映像となっていて、気持ちが洗われるようでした。(I)

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「いけちゃんとぼく」 西原理恵子(著) 角川文庫 2011

2018.07.26

いけちゃんとは? 物語の最後に正体はわかるのだが、「そうだったのか!」とすっきりするような感じではなかった。物語全体を包む、どこかふんわりとした正体だったけれど、予想外の正体に驚き、涙ぐんでしまった。
主人公は小学生の「ぼく」。いつも「いけちゃん」が側にいる。いけちゃんが何ものか、はわからない。丸くて、小さくなったり大きくなったり、増殖したりする。ぼくを包んでくれるやさしいいけちゃんもいれば、悪いことをそそのかすいけちゃんもいる。だから、これは子どものころにあった、自分だけの神様のような存在で、世界の怖いものや、つらいものから身を守る術として存在しているのかなと思った。それだと、この物語はただのありふれた物語になってしまっていただろう。いけちゃんの言葉には、「いけちゃん」のぼくへの想いがそっと寄りそっている。
男の子は駆け抜けるように大きくなるという。いけちゃんはそんな小学生のぼくをずっと見守っている。夏をひとつ過ごすたびに、ぼくは少しずつ大人になる。今までできなかったことができて、大丈夫なことが増えていく。正体がわかってから読み直すと、いけちゃんのその時々の言葉がまた心に沁みる。
あなたの周りの男の子も、いつかの夏に気がつかないうちに駆け抜けて今の場所にいるのかもしれない。その時、この「ぼく」のことを少し思い出してみてほしい。(P)
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「人生を変える話し方の授業」 北平純子(著) 中経出版 2011

2018.05.29

大人数の前で話すのが苦手でどうしてもあがってしまう、また誤解されやすい話し方になってしまうので直したいと思っていた時に、目についたのがこの本でした。タイトルには半信半疑でしたが、話し方を変えたことで人生が好転した実話や、話し方が劇的に上達するポイントが紹介されており、読んでいるうちにタイトルの意味を理解することができました。いくつかのポイントの中で大きな声を出すことが挙げられていますが、あるバレーボール部の顧問からキャプテン選びの条件として「技術の上手、下手は関係なく声が大きい、一人ひとりに声を掛けチームを引っ張ってくれる面を持っていること」と聞いた事があり納得しました。また、人前であがらないのはてっきり才能なんだなと思っていましたが、話し方を練習することによってあがらないコツを身につける方法があるなど、なるほどと頷く事ばかりでした。大きな声を出すのが苦手な人や上手く話をまとめられないと思っている人におすすめできる本です。是非読んでみてください。(C)
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「八朔の雪-みをつくし料理帖」高田郁著 ハルキ文庫(角川書店) 2009

2018.03.23

主人公の澪は、十八歳のおっとり癒し系女子。大坂で洪水により目前で両親を亡くし、天涯孤独だったが縁あって一流料亭に下働きとして引き取られ、味覚の鋭さを認められ料理人として修業をしていました。ところが、店が延焼により焼失。江戸に出店している亭主夫婦の息子を頼って夫婦と共に江戸に来たものの、店は無く息子も行方不明。亭主は心労により亡くなり、母とも慕う女将、芳と二人残されます。そこを、澪に早世した一人娘の面影を見た蕎麦屋「つるや」の亭主種市に雇われ働くことになります。店を任されることになり、閉店も覚悟するほど振るわなかった「つるや」も、澪の頑張りや周囲の人々の尽力により江戸で評判の店になります。店をつぶそうと卑怯な嫌がらせを繰り返すライバル店、料理のファンなのにツンデレな戯作者、何かと助けてくれるお医者様、歯は無くとも百戦錬磨の老いた看板娘、澪を慕う下働きの少女、そして、恋しい人、大事な親友…。おっとりしている澪の料理に対する情熱と、これでもかと降りかかる艱難辛苦に涙が止まりません。何よりも料理が美味しそうで食べたくなります。作中の料理は作者が実際に調理したもので、レシピが巻末に付いているので自分で作ることができます。江戸と上方の風習の違いが書かれていて、澪だけでなく読み手も驚くばかりです。時代小説に慣れない人にも読みやすい文章で、時にユーモラスに物語は進みます。「時代小説って難しい…」と考えすぎずに、普段手にしないジャンルもどんどんチャレンジしてみてください。そして、涙もろい人は号泣必至なので個室でお読みくださいませ。(KZ)

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「しゃばけ」 畠中恵[著] 新潮文庫 2014.4

2018.01.25

変なタイトルですが、名誉・利得などの様々な欲望にとらわれる心という意味があります。この本は江戸を舞台に超身体の弱い若だんながいろんな事件に巻き込まれていく話で、話のなかに人の様々な感情や想いがちりばめられています。主人公(一太郎)は筋金入りに身体が弱く、その上人間と妖狐のクオーターで妖が見え、心配した祖母の妖狐が仁吉(白沢)・佐助(犬神)を送り込みます。2人は普段人間の姿で店の仕事をしていますが、若だんなのことになれば全てを後回しに飛んでいきます。大人になれるかわからないと言われても病と闘いながら、若だんなは真直ぐに生きようとします。また周りの人々や弱いものを救おうとして奔走して寝つき、仁吉に叱られ、苦い薬を飲みます。言葉遣いが江戸弁でわかりにくいですが、わかる言葉を読み進めていくうちに引き込まれてしまいます。ドキドキひやひやしたり、ちょっと怖かったり、こんな馬鹿なこと!と呆れたりするジャパニーズファンタジーです。シリーズが進むにつれ、若だんなは友人を持ち、恋も経験して、病と闘いながら、成長していきます。気に入れば、続編も読んでみてください。(R)

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「身近な妖怪ハンドブック」 川村易, OSAmoon著 文一総合出版 2012

2018.01.18

「妖怪」と言われて何を思い浮かべますか?河童やサトリ、一反木綿など、映画やドラマ、アニメなどでお馴染みの妖怪たちもこの本で紹介されています。
「あ、知ってる!」という妖怪も多かったけれど、聞いたことのない妖怪もたくさん居ました。中でも一番気になったのは「ぬっぺふほふ」。これ、呼びにくいですよね?のっぺらぼうの一種だそうです。言われてみればどことなく響きが似ていますね。出会った人は「あ!ぬっぺふほふだ!」とか言っていたのでしょうか。
私なら噛みそう・・・。
「身近な」妖怪ということで、出会えるならいつか会ってみたいと思うのは獏と猫又かな。獏は悪い夢を食べてくれるから。きっと良い妖怪。猫又は、しっぽが二つってなんか良いですよね。年を取った猫が変容するから賢そうだし。「本土狐」の項目に含まれていた妖狐も気になる。九尾の狐とか、すごくしっぽがもふもふしてそう。撫でたい!
「発見身近な妖怪」として紹介されている写真も楽しめます。気軽に読めるサイズな
のでぜひ手に取ってみてください。(t)
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『自閉症の僕が跳びはねる理由』 東田直樹【著】 角川文庫 2016.11

2017.10.20

この本は、人との会話が困難で、自分の衝動を抑えることができない重度の自閉症者の東田直樹さんが13歳の時に執筆したものです。
彼は、キーボードを駆使することにより、言葉を表現することを獲得しました。
自身の自閉症について、「自分がつらいのは我慢できます。しかし自分がいることで周りを不幸にしていることには耐えられないのです」、「僕が飛び跳ねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです。」と語っています。
当時13歳の東田さんの高い表現力に、彼が重度の自閉症者だと知り驚かれると思います。
自閉症者を持つ親や家族の方たちが体験されたエッセイや自伝的な本は多くありますが、この本は自閉症者自身の心のうち、何を考え感じているのかを知ることができる貴重な資料だと言えます。
自閉症の方と同じ空間にいて、“どうして大声を出しているのか、突拍子もない動きをするのか”、と理解できず、少なからず偏見をもってしまう。そういったことの理由を知ることで、偏見を減らすきっかけになるのではないかと思います。(M)

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「マグカップでかんたん朝ごはん」 堤人見[著] 新星出版社 2012.11

2017.07.24

皆さんは朝ごはんを毎日しっかりと食べていますか?朝食をとる事は1日を有意義に過ごす上で重要だという事は広く知られていますが、「朝から手の込んだ事はしたくない」「朝ごはんを準備する時間がない」という人は多いのではないでしょうか? そんな忙しい方を手助けしてくれるのがこの本です。
用意するのはマグカップ1個。1人前の分量ですから材料も少量で済みますし、料理によっては包丁もまな板も使いません。パパッと具材をマグカップに入れたら、お湯を注ぐもしくは電子レンジにかけるだけの単純作業。時間のない朝にはこの手軽さがピッタリです。
タイトルには「朝ごはん」とありますが、もちろん朝以外でも食べられますし、表紙を飾っている「トマトのほっとすーぷ」はトマト1個、オリーブオイル、洋風スープの素と塩を電子レンジで1分半加熱するだけです。トマトはこれから値段も安くなり、栄養価もあがりますから、暑くなるこの季節にピッタリな一品です。
本は新書サイズで簡単に持ち運べます。是非、気軽に手に取って目を通してくださいね。(M.O.)

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「かんさい絵ことば辞典」ニシワキタダシ(著)ピエ・ブックス 2011.9

2017.05.26

突然ですが、みなさんは関西出身ですか?
関西出身ならば、「なんでやねん」「おおきに」「まいど」といった関西弁に、幼き頃より慣れ親しんできたことでしょう。関西出身ではない私からすると、関西弁はテレビの中だけの言語というイメージでした。それが今では、右を見ても左を見ても関西弁。毎日刺激を受けるうちに、どんどん関西弁の魔力にトリツカレ、思わず手に取ってしまったのが、『かんさい絵ことば辞典』です。辞典といっても、決して堅苦しいものではありません。日頃よく耳にする関西弁から、昔使われていた関西弁まで、いろいろな関西弁を
イラストで表現しています。
兵庫県出身大阪在住の著者、ニシワキタダシさんのゆる~いイラストと絶妙な例文に、思わず、ぷっと笑みがこぼれてしまいます。巻末には、主な登場キャラクターの紹介もあるので、それを読んでから例文を読むと、よりいっそう楽しめると思いますよ。付録の「かんさい名所絵すごろく」や「かんさいグルメ検定」にも、ぜひ挑戦
してみて下さい。
根っからの関西人のあなたにも、関西初心者のあなたにも、おすすめの一冊です。(H)

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「私が彼を殺した」 東野圭吾(著) 講談社 2002

2017.05.26

東野圭吾さんと言えば思い浮かぶのは『ガリレオ』『容疑者Xの献身』『白夜行』等がありますが、「加賀恭一郎シリーズ」もなかなか面白い本です。1~10まであり『卒業』『眠りの森』『どちらかが彼女を殺した』『悪意』『私が彼を殺した』『うそをもうひとつだけ』『赤い指』『新参者』『麒麟の翼』『祈りの幕が下りる時』一つ一つ独立した作品になっているので順番に読まなくてもシリーズの一部を読んでも楽しめるのですが、刊行順に読んだほうがいいかなと思います。この中で印象に残ったのは『私が彼を殺した』の作品で本来なら最後に犯人の名前が判明するストーリーがこの本には無く「犯人はあなたです」で終わり「えっ誰?知りたい」と思い読んだ人に一緒に謎を解いてみない?と、もう一回思い出して犯人を当てようと紙に書いてお互いの考えを出し合いながら会話を楽しめる本だなと思いました。また『悪意』もおすすめです。読後に「だまされた!」と言いたくなる本です。(C)
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「晏子」 宮城谷正光(著) 新潮社 1994

2017.01.23

中国の春秋時代(紀元前770年~紀元前403年)の斉の国、名将晏弱とその子で名宰相となる晏嬰の、凛とした生き様を書いた歴史小説です。
中国の歴史小説というと興味を抱く人が少ないかもしれませんが、宮城谷氏の登場人物の見事な描写に、読み終えた時は氏の別の作品も必ず読みたくなること請け合います。「牛首馬肉」はこの作品を読んで知りましたが、このことわざの場面などは、普段味わえないとても痛快な気分になりました。元気が欲しい時には、とてもお勧めの本です。(O)

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「ラノベとブンガク 書店ガール5」 碧野圭[著] PHP研究所 2016.5

2016.11.30

書店ガールシリーズの中では、私はこの「5」が一番おもしろかったです。書店ガールの登場人物は皆、本に対する愛にあふれていて、その「愛」が登場人物の気持ちを結び付け、幸せな大団円へとストーリーが盛り上がっていくのです。今作の主人公は男女2人。本の森取手店の店長になった宮崎彩加。小さな駅ナカ書店でも、アルバイトの子達を巻き込んで、お客様の心に届く店作りに励みます。一方の主人公は、小幡伸光。新設のライトノベル文庫の編集長に任じられ、新しいレーベルの命運をかけて、新人賞を獲得した『鋼と銀の雨がふる』を何とか爆発的なヒットにつなげようと奔走します。この2人の物語が重なって、アルバイトの田中君の家族愛もからまってお話はラストへと昇華していくのです。 著者の碧野さんはライトノベルの編集者だった経歴を生かし、出版社の現状などがリアルに描かれていて、読む物を引き付け、飽きさせません。逆境の中にあっても、登場人物が各々の立場で、プロフェッショナルとして誠意を持って仕事にあたる姿が、読んでいて幸せな気持ちになります。(i)
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「第2図書係補佐」 又吉直樹[著] 幻冬舎 2011.11

2016.09.29

昨年、小説「火花」で芥川賞を受賞したお笑い芸人である著者が、太宰治や江戸川乱歩から村上春樹などバラエティーに富んだ数々の作品を紹介しながら自身を語るエッセイ集です。生活の傍らに常に本という存在があるほど読書好きであること、本を読んだから救われたことや思いついたこと、いつも本に助けられてばかりだという又吉さんの思いが本書のエピソードから伝わってきます。
又吉さんの幼少時代のあまり裕福ではなかった話や青春時代の恋愛話、彼の独特な風貌や行動から当時の同級生や街で出会う人たちに変わり者扱いされたり、奇妙だけど笑えるエピソードや、自分の人生を考えさせられるような気持ちになったりしました。そんな彼自身の話が大半を占めているのですが、それと絡めて最後に2,3行の作品紹介がされています。作品紹介はほんの数行なのに何故かその作品が気になって今度読んでみようかなという気にさせられたのは彼の優れた文章によるものなのだと思います。(R)

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「お菓子作りのなぜ?がわかる本」 相原一吉 東京 : 文化出版局 , 2001.9

2016.07.22

バターケーキを作るとき、バターを室温でやわらかくし、泡だて器でクリーム状にします。ここまでで、かなり時間がかかりますが、この本では、バターを薄切りにしボールに貼り付け、しばらく置いてへらで練り、やわらかくならないときは5秒くらいずつ電子レンジにかけるという方法が紹介されています。バターケーキで一番大事なことは、いかにクリーミングするかであり、それがどの程度かは写真と共に説明があるので、ここまでの作業がサクサクと進みます。また、卵をいれるときには、卵黄と卵白に分けて加える別立て法の方が卵をそのまま入れる全卵刷り込み方よりなぜよいかということなど、お菓子作りで疑問に思うことにも丁寧に答えてくれる本です。しかも、オーブンを開けた時の出来上がりが、写真そのもの。美味しいという声を聞くと、お菓子作りがますます楽しくなるでしょう。(N)

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「だれも知らない小さな国」 佐藤さとる 講談社 2010.9

2016.05.31

人気作家の出版した作品が、私がこどもの頃に繰り返し読み込んだ作品の続きを綴ったものと知り大変驚いたことがあります。人気作家と原作者の対談が機になったようで、京都光華女子大学
図書館に原作を所蔵しているので紹介したいと思います。物語は、こどもの頃にお気に入りの小山で小人を見たことから、どんどん小人と小山に魅了されていく主人公と味方を探している小人達との探り合いの過程が長い年月を挟んで描かれています。また、小山を買い取り住まいを作るための様子や小人達との交流も楽しくてワクワクします。シリーズとして刊行されていて、小人達の生活を描いたものや、新たな人間たちとの関わりを描いています。薄味ですが、恋バナも入ってるんですよ。某アニメスタジオには、海外より日本の小人の作品を映画化してくれれば…と願っていますが、過去にアニメ化されていることもあって難しいのかもしれません。ぜひ、機会があれば手に取って読んで欲しいと思います。そして、皆さんがこどもの頃好きだった作品を読み返してみてください。新しい発見があるやもしれません。(Z)

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『第七官界彷徨』 尾崎翠 河出書房新社 2009.7

2016.04.13

みなさんは尾崎翠という作家をご存知でしょうか?私がこの名前を知ったのははるか昔、大学生の頃です。当時は小説の面白さに目覚めていろんな作品を読んでいました。
そんな時に友人が読んでいたのが、この『第七官界彷徨(だいななかんかいほうこう)』でした。初めて聞いた作家名と不思議な響きをもつタイトルに心惹かれたものの、結局、読むにはいたりませんでした。

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ようやく読む機会を得たのは、かなり後になってからです。
「よほど遠い過去のこと、秋から冬にかけての短い期間を、私は、変な家庭の一員としてすごした。そしてそのあいだに私はひとつの恋をしたようである。」冒頭の文章から一気に惹き込まれました。主人公の町子は人間の五官を超えた第六感をさらに超えた、第七官に響く詩を書きたいと願っており、変わり者の兄二人と従兄と暮らすことから物語は始まります。昭和8年の作品なので、出てくる言葉やものごとにはなじみにくいかもしれません。それでも「ひとつの恋」がどのように現れ、進んでいくのか、不思議とすらすら読み進むことができました。研究者である兄たちは、今でいうところの精神科医と蘚(コケ)の恋愛!?の研究者という変ったキャラクターで魅力的です。○○みたいな小説と言うことのできない、不思議な世界を感じることができます。 (P)

「トウ小平」エズラ・F・ヴォーゲル著 講談社現代新書 2015.11

2016.02.02

一般的には中華人民共和国のことを、「中国四千年の歴史」という言葉がよく使われますが、四千年の中でも1900年から現在に至る約100年間は激変の時代といえるでしょう。

 その100年の中でも中華人民共和国成立からの約60年は、中国史に残る期間であり、その中心に存在したのが、まさに「トウ小平」でした。トウ小平が行った「改革開放」政策や「天安門事件」の対応などの出来事を、社会学者のエズラ・F・ヴォーゲルに橋爪大三郎教授が、インタヴューをして諸問題を的確に解説するという本です。インタヴュー形式なので読みやすく書かれているので、皆さんも一読して、現在中華人民共和国が抱えている「人権問題」「環境問題」「領土問題」「経済問題」等の理解に触れてみては如何ですか?   (T)

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 ※「トウ小平」の「トウ」は「登」+「おおざと偏」

「鼠、闇に跳ぶ」 赤川次郎著 角川書店 2012.6

2015.11.30

赤川次郎の大ファンで、特に三毛猫ホームズシリーズの本が好きで読んでいました。久しぶりに、まだ読んでいない本がないかなと図書館の文庫の棚を見ていたら時代物が目につき、赤川次郎には珍しいな、と思い手にとりました。調べてみるとやはり、赤川次郎の初の時代小説ということでした。

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主人公は通称「甘酒屋の次郎吉」と言う遊び人で、夜中になれば屋根瓦を身軽に渡る「鼠」と呼ばれる盗人という裏の顔を持っています。また、次郎吉には小袖という小太力の達人でもある妹がいます。
第2巻の「鼠、闇に跳ぶ」では、兄の次郎吉こと「鼠」が夜中に事件に巻き込まれ、またひょんなことから犯人探しに協力を頼まれて、しっかり者の妹の小袖も一緒に活躍します。
次郎吉がある事件で助けを依頼された依頼者に恋をする少し切ない話もあり、全体にハラハラドキドキする内容となっています。三毛猫ホームズの主人公も刑事の兄と事件に協力する妹の話でよく似ていますが、このシリーズも同様に面白いです。この「鼠」シリーズは、既に8冊が刊行されていて、図書館には7巻までが入っています。
赤川次郎らしい内容で、非常に読みやすく一冊を数時間で読めます。通勤・通学時間に、読書の秋におすすめです。  (C)

『ひとりではじめたアフリカボランティア : 渋谷ギャル店員』栗山さやか著 金の星社 , 2015.4

2015.07.23

なんとなく誘われて学生時代に渋谷109のショップ店員になり、そのまま就職。お金を稼ぐことに必死になっていた矢先、親友が乳癌で他界したことで、この先の人生をどう生きればいいのかと深く考えるようになり、栗山さんは2006年に長くて2年ほどの予定でバックパックを背負って日本を出ます。

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東南アジアから中東へめぐる中、日本だったら当たり前の事が通用しない不平等なことを多く目の当たりにしたことで、「困っている人の役に立ちたい」という思いが強くなり、アフリカに渡り、HIVや貧困、伝染病に苦しんでいる人たちを収容する施設のボランティア活動を始めます。その後、暴力が横行し治安が最悪なモザンビークで、「一番弱い立場にある人たちに病気や栄養についての正しい知識を提供し、少しでもお金の稼げる手段を一緒に考えたい」とたった一人で協会「アシャンテママ」(「ありがとう、みんな」の意味)を立ち上げます。現在は協会の仕事を並行しながら、2014年に現地で医療技術師の国家資格を取得した栗山さんの約10年の軌跡が記されています。
自分を必要としてくれる人がいるなら、出来るだけのことをしよう。一見すると無計画でありながら、目の前のことにがむしゃらに頑張ってきた栗山さんは、ただ強い意志を持っているというだけではない、悲しい時は人一倍悲しむ感受性をもった人だからこそ、彼女を信用し、周りに人が集まったのではないでしょうか。彼女のひとりではじめた行動が広がりつつあります。自分にも何かできないか、そんな気持ちになる一冊です。(M)