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スタッフおすすめの本

「鼠、闇に跳ぶ」 赤川次郎著 角川書店 2012.6

2015.11.30

赤川次郎の大ファンで、特に三毛猫ホームズシリーズの本が好きで読んでいました。久しぶりに、まだ読んでいない本がないかなと図書館の文庫の棚を見ていたら時代物が目につき、赤川次郎には珍しいな、と思い手にとりました。調べてみるとやはり、赤川次郎の初の時代小説ということでした。

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主人公は通称「甘酒屋の次郎吉」と言う遊び人で、夜中になれば屋根瓦を身軽に渡る「鼠」と呼ばれる盗人という裏の顔を持っています。また、次郎吉には小袖という小太力の達人でもある妹がいます。
第2巻の「鼠、闇に跳ぶ」では、兄の次郎吉こと「鼠」が夜中に事件に巻き込まれ、またひょんなことから犯人探しに協力を頼まれて、しっかり者の妹の小袖も一緒に活躍します。
次郎吉がある事件で助けを依頼された依頼者に恋をする少し切ない話もあり、全体にハラハラドキドキする内容となっています。三毛猫ホームズの主人公も刑事の兄と事件に協力する妹の話でよく似ていますが、このシリーズも同様に面白いです。この「鼠」シリーズは、既に8冊が刊行されていて、図書館には7巻までが入っています。
赤川次郎らしい内容で、非常に読みやすく一冊を数時間で読めます。通勤・通学時間に、読書の秋におすすめです。  (C)

『ひとりではじめたアフリカボランティア : 渋谷ギャル店員』栗山さやか著 金の星社 , 2015.4

2015.07.23

なんとなく誘われて学生時代に渋谷109のショップ店員になり、そのまま就職。お金を稼ぐことに必死になっていた矢先、親友が乳癌で他界したことで、この先の人生をどう生きればいいのかと深く考えるようになり、栗山さんは2006年に長くて2年ほどの予定でバックパックを背負って日本を出ます。

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東南アジアから中東へめぐる中、日本だったら当たり前の事が通用しない不平等なことを多く目の当たりにしたことで、「困っている人の役に立ちたい」という思いが強くなり、アフリカに渡り、HIVや貧困、伝染病に苦しんでいる人たちを収容する施設のボランティア活動を始めます。その後、暴力が横行し治安が最悪なモザンビークで、「一番弱い立場にある人たちに病気や栄養についての正しい知識を提供し、少しでもお金の稼げる手段を一緒に考えたい」とたった一人で協会「アシャンテママ」(「ありがとう、みんな」の意味)を立ち上げます。現在は協会の仕事を並行しながら、2014年に現地で医療技術師の国家資格を取得した栗山さんの約10年の軌跡が記されています。
自分を必要としてくれる人がいるなら、出来るだけのことをしよう。一見すると無計画でありながら、目の前のことにがむしゃらに頑張ってきた栗山さんは、ただ強い意志を持っているというだけではない、悲しい時は人一倍悲しむ感受性をもった人だからこそ、彼女を信用し、周りに人が集まったのではないでしょうか。彼女のひとりではじめた行動が広がりつつあります。自分にも何かできないか、そんな気持ちになる一冊です。(M)

『音楽家ならだれでも知っておきたい「呼吸」のこと :豊かに響き合う歌声のために』 バーバラ・コナブル著 誠信書房 2004.7

2015.07.20

小学校や中学校で合唱を経験した方は練習の時に先生から「背筋をピンと伸ばして!顔をあげて!大きな口あけて!」なんて言われませんでしたか?残念ながらこれは不正解。これでは思うような声は出ず、長時間歌うと声が潰れてしまい大変です。どうして駄目なのか。それは歌うときに必要な身体のしくみや、呼吸の構造と動きが理解できていないからなのです。歌うときの呼吸法で「腹式呼吸」がありますが、これは吸った空気がお腹に入って大きく膨らんでいるのではありません。肺に空気が入ると横隔膜が押し下げられ、それが内臓を押すためにお腹が膨らんでいるのです。

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では、この横隔膜ってどこかわかりますか?答えはP26をご覧ください。この本は歌いながら気持ちよく呼吸するための方法を、イラストを使いわかりやすく解説しています。歌う方のために書かれていますが、身体の構造がわかるので、この知識を他に役立てることもできるのではと思います。自分の身体について、知ってみませんか?(R)

「神話を訪ねて : 日本人の源流」産経新聞大阪本社 2013

2015.05.15

2013年には、伊勢神宮が20年出雲大社が60年に一度の遷宮が行われたり、昨今では奈良県の明日香地域に巨大石溝が発見され、埋葬者が舒明天皇?蘇我蝦夷?と騒がれたりと、古代史が注目を集めています。この本は2012年7月から2013年1月まで産経新聞に連載されたものを収録したものです。日本が誕生した神話の世界から古代社会に移行する様子が分かり易く描かれており、古代社会を彷彿させます。特にイザナキノミコトとイザナミノミコトが日本列島を創った過程や、天照大御神が天岩屋戸に閉じこもった場面は、興味深く感じました。また、2016年は初代天皇の神武天皇崩御から2600年を数える年にあたり、色々と企画が計画されています。皆さんも一度、気宇壮大なスケールの神話の世界を覗いてみてはいかがですか。
(T)

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大江戸食べ物歳時記 (新潮文庫な-80-1)永山久夫著 新潮社 2013.5

2015.05.15

今、和食がブームである。この本からは江戸の食事情や歳時記を通して和食文化を知ることができる。江戸時代も文化・文政の頃になると食文化は飛躍的に発展する。江戸など一部の都市部で食されていた白米飯は羽釜を使ったかまど炊き。江戸時代の人は今よりおいしいご飯を食べていたそうである。

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「おかず」という言葉が生まれ「一汁三菜」が定着したのもこのころである。江戸の人が食べていた卵かけごはんも土用のうなぎも今に受け継がれているが、それだけではない。春には花見、潮干狩り、秋にはキノコ狩りなどを楽しみ、正月、お盆など季節ごとに旬の食べ物をとりながら、健康的な食事法をすでに実行していたのである。たとえば料理の基本である日本の「だし」には、体や脳の老化を防ぐ成分が含まれている。また、黒い食べ物(黒ごま、黒豆、黒砂糖など)に含まれている抗酸化物質で夏バテを防止し、「百薬の毒を解する」(薬の副作用を防ぐ)ために味噌汁を飲んでいた。和食文化はユネスコの文化遺産に登録されたが、食生活を通して先人の知識、知恵にふれることができる1冊である。(N)

「道なき道を行け : A Pathfinder」藤田浩之著 小学館, 2013.10

2015.01.20

藤田浩之さんってご存知ですか?私はこの本を読むまで藤田さんの事を知りませんでした。アメリカのクリーブランドでCEQという医療機器開発メーカーのCEOとして活躍され、米国商務省顧問、クリーブランド財団理事などに就任し、大統領の「一般教書演説」に日本人では初めて招待された方です。藤田氏は、「仁義」と「人として正しい生き方をしよう」という経営に対する信念を持ち、金儲けのためではなく、自分の能力がどれだけ社会に還元できるかという考えで、起業されました。「人生を歩むときは、ドーナツの穴を見るのではなく、ドーナツを見よ」これは、著者の心が湿った気持ちに支配された時に、クリーブランドで父親のような存在のラトナー氏から言われた言葉です。簡単に説明すると、ドーナツの穴の大小にかかわらず、目の前にあるものに対して感謝の心を持ちなさいと言う事です。経営者だけでなく、多くの方に人生の参考になる一冊だと思います。(M)

 

「神様」 川上弘美著 中央公論新社,2001.10

2015.01.20

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この作品は、不思議な「生き物」たちとのやさしくせつない9つの短編集です。その中でも特に心に残った、くまが登場する最初と最後の短編を紹介します。
最初の短編「神様」は、三つとなりに引っ越して来たくまと、散歩に出かけるお話。くまは、人間のように礼儀正しいけれど、川に飛び込み魚をとったりオレンジの皮をこっそり食べたり、くまらしい一面も見せます。散歩の終わりには、抱擁を交わし、和やかでほのぼのとした一日を過ごします。
最後の短編「草上の昼食」では、もうすぐ故郷に帰るくまと、ふたたび散歩に出かけます。人間の世界になじみきれずに帰ってしまうくま。主人公はその気持ちを察しながらも、何も言うことができない。できることは、熊の神様と人間の神様、それぞれの神様に相手の幸せを祈ることでした。家族や友達でも、相手の気持ちをすべて理解することはむずかしいです。けれど、決して重なり合うことはできなくても、主人公とくまのように互いにそっと寄り添い、幸せを祈ることはできるのではないか、と思わせてくれる一冊でした。  (A)

「猫泥棒と木曜日のキッチン」橋本紡[著] 新潮社, 2008.12

2014.07.21

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生活環境から、精神的自立が早まった高校生・みずき。父が不在なことも、母が家を出たことも、弟と二人で生きなければならないことも、冷静な心で受け止めている。感情が欠落しているのか、麻痺しているのか。みずきは、親に頼らなくても生きてきた。これからも生きられるだろうという希望を、乗り越えられない「死」に阻まれた。教えてくれたのは、小さな守られるべき存在だった。
今まで泣くべき時に泣けなかった。体の中に溜まった感情は、いつか爆発する。その行動は奇怪かもしれない。猫の主人の行動に、溜めていた怒りが重なった。自分勝手で、自己満足にしか映らなかった。他人の感情は、推測しかできないのに。
家族の形は、家族の数だけある。血のつながりだけが家族ではない。守るべき存在、守りたい存在、守られている安心感。未来は切り開くものであり、「死」は誰にでも訪れること。タイトルや表紙からは想像つかない過激な描写がありますが、読後は爽やかさが読者を包み込むでしょう。
(蛍)

「統計学が最強の学問である」西内 啓 [著] ダイヤモンド社 2013.1

2014.06.23

皆さん、統計リテラシーをぜひ身に付けましょう。だって統計学は多くの分野で利用されるし、何よりこの世の中、数字に強いほうが何かと有利な社会ですからね。統計学と聞いただけで逃げ出す人やジンマシンが出る人も多いと思いますが、この本はそんな方々もちょっと気楽に読めます。難しい数式はほとんど使わず、やさしく統計の勘どころを説いてくれる読み物として書かれているからです。「最強の学問」なんて題名はキワどいし、「統計学を制する者が世界を制する」なんて大げさなフレーズがバンバン出てくるのですが、著者の自信が伝わってきて、なぜかスカッとします。

 

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この本では、まず冒頭の「あみだくじの必勝法」という話で読者をつかみます。うん、確かに役に立ちそうだ。そしてサンプリング、誤差と因果関係、ランダム化など統計学の重要なポイントを具体的な例を使って、くだけた文章で説明してくれます。いま話題の「ビッグデータ」も登場しますよ。ところどころで「現代のおっさんたち」を登場させてイジるのもご愛嬌で、読者に理解させるため工夫が感じられます。実は後半ちょっと難しくなって、ほんとにコレが30万部を超えるベストセラーになったの?と驚いたりもするのですが、データの扱いや統計的な考え方に強くなるためには、確かに役立つ本だといえそうです。

(Pen)

「神去なあなあ日常」三浦しをん[著] 徳間書店、2009.5

2014.06.23

すべてがなあなあな神去村に平野勇気はやってきた。横浜から、林業をやるために。けれどそこは、やることも見つからずブラブラしていた勇気に、先生が勝手に決めた就職先だった。林業なんてかっこわるい、その上仕事はうまくできない悔しさで村から逃げ出そうとしていた。そんな勇気を取り巻く神去村の人々の「なあなあ」気風と荘厳な神去山が、徐々に勇気を変えてゆくのだが…。
本書は公開中の映画「WOOD JOB!(ウッジョブ)」の原作です。主人公の勇気が、突然放り込まれた仕事場で、何とかかんとかやりがいを見出していく青春サクセス?ストーリーといったところがメインですが…私は勇気の不器用な恋も見どころと思います。勇気がパソコンに打ち込んだ秘密の記録、という体の文体も読みやすく、個性溢れるキャラクター達も魅力です。二作目「神去なあなあ夜話」では恋がメインですので、興味がある方は二作目も是非読んでみてください。  (ringo)

 

『おむすびの祈り「森のイスキア」こころの歳時記』 佐藤初女[著]  集英社 2005.7

2014.01.23

「日本の自殺者数は、毎年3万人前後。交通事故で亡くなる方の6倍とも言われています―」
現在、私はうつ病患者らの支援をすべく、音楽を通じて活動を行っています。その仲間の繋がりで佐藤初女さんという方の存在を知りました。彼女は青森県の弘前に住み、岩木山の麓に「森のイスキア」という心と命を感じる施設を建て、そこへ訪ねる方々を心のこもった料理でもてなしています。その本のなかには面白いエピソードがたくさんありました。一番驚いたのは、彼女の握ったおむすびを食べて自殺を思いとどまった人がいるというのです。まさかと思い、本を読み進めていくと食事と生き方には親密な関係があることがわかってきました。「すべてのものに命はあります。その声を聞くことがとても大切です」これが彼女の哲学だそうです。子どもの頃に患った大病から食べ物の重要性を痛感することになった初女さん。それも、おいしいものを食べれば元気になれるという単純すぎる理屈を素直に実践し続けてきた初女さん。その信念の中には、様々な思いが詰め込まれていました。最後まで読むと、なんだか自分の心が解放されたような、そんな気持ちになります。是非、一度手に取ってみてください。
(yan)

 

「100回泣くこと」 中村航[著] 小学館, 2005.11

2014.01.23

この小説のタイトル「100回泣くこと」の意味は、どういうことなのだろう?

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著者はこの話を書き始めた時にパソコンのファイル名として最初につけた仮タイトルそのままで、彼女が亡くなる前の100日と亡くした後の100日を描こうと思ってつけたものと言っている。
主人公は結婚を約束した彼女に「練習が必要だと思うの」と言われ、1年くらい結婚したつもりになって結婚の練習という名の同棲生活を開始した。幸せを噛みしめ来年もこの幸せは続くと思っていた二人だったが、彼女が卵巣がんにかかり、リンパ節への転移もありがんを全て取りきることが出来ず抗がん剤の投与を余儀なくされる。結局抗がん剤も効かなくり…。    負けずに必死に病魔と闘う彼女の姿や彼女を支える彼の思いのむなしさや、彼女への思いの深さに感動しボロボロと泣きました。「100回泣くこと」の意味を考えながら、読んでみてほしい1冊です。(T)

「チョコレートの歴史物語」 サラ・モス、アレクサンダー・バデノック 著 堤理華 訳 原書房 2013.1

2014.01.23

この本は『お菓子の図書館』というシリーズの1冊です。
チョコレートの歴史は古代マヤ文明までさかのぼり、固形ではなく「飲み物」としてもてはやされました。

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その後18世紀になり、みなさんご存知の「食べる」チョコレートになりますが、イギリス中流階級の結婚式などでしかお目にかかれない特別なものだったそうです。さらに19世紀、ヨーロッパから北米へいき、庶民に広まりチョコレートビジネスが盛んになっていきます。
南米から始まりヨーロッパへと世界を渡るチョコレート、その存在は人々を魅了し、人々の争いの発端になることもあったそうです。単純な食べ物の歴史の書籍ではなく、波乱万丈なチョコレートの物語が描かれています。
もうすぐバレンタイン、チョコレートたちに出会う機会も増えますね。食べるばかりでなく、この深い歴史にも触れてみてはいかかでしょう?ちなみに、巻末にはレシピ集も掲載されていますので、こちらも参考にしてみてください。   (R)

『永遠の0 (ゼロ)』 百田尚樹 [著]  講談社, 2009.7

2013.07.18

泣きました。涙が止まらなくなり、いくつものページに涙のシミができました。
終戦から60年たって、戦闘機「零戦」による特攻で戦死した祖父の生涯を調べていた青年は、特攻で生き残った元兵士を訪ねて歩きます。そして「操縦は天才だが臆病者・卑怯者だった」という人物像を聞かされて戸惑いながらも、祖父の生きた足跡を追いかけて少しずつ実像に迫っていきます。

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「娘に会うまでは死ねない。妻との約束を守るために絶対に生きて帰る」と言い続けていた祖父は、結局自ら特攻に志願して死んでいったことがわかりました。何故なのか。その謎が明らかになった時、意外な真実が浮かんできたのです。
「ボックス!」「影法師」そして今年の本屋大賞を受賞した「海賊と呼ばれた男」などさまざまなジャンルで骨太な作品を世に出してきた百田尚樹のデビュー作です。実在の撃墜王が登場するなど史実に忠実に描かれていますが、決して戦記物ではなく、温かいヒューマンドラマです。現在、岡田准一主演で映画化が進んでおり、今年の12月に封切りになるそうです。いったいどんな映画になるのか、原作と比べるのもまた楽しみですね。        (Pen)

『だから、僕は学校へ行く!』 乙武洋匡著 講談社文庫 2010.9

2013.07.18

著者は東京都の小学校で3年間の任期付き教師になった。朝日新聞のコラムでこの記事を読み「なぜ、教師に?」と思ったが、この本で、その答えを得た。著者は『五体不満足』でついたイメージをリセットするため、スポーツライターをしていたが、社会のため、子供達のために

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教育への転身を決め、教育現場を見たいと、「新宿区子どもの生き方パートナー」になり、小中学校や教育施設に行く。また、教育界に参加するために教員免許取得を目指すが、当初、教師になるためではなかった。しかし、徐々に教師になりたいという思いが芽生え始めていることに気づき、著者は子供達に「それぞれ、違っていていいんだよ」というメッセージを伝えるために教壇に立つことを決める。著者が見てまわった教育現場の情報や著者の意見(それぞれの学校の工夫、地域連携、学校での子どもたちの様子、学力、不登校、体罰・・・)を読み、教育について改めて考えさせられた。また、教育実習の現場を見に来た著者の恩師の「教育はね・・・最後は人柄、人間性だから」という言葉は教育の問題を解決してくれそうなキーワードひとつとして心に響いた。 (N)

『往復書簡』 湊かなえ[著] 幻冬舎 2010.9 913.6/MiKa(3階閲覧室)

2013.04.02

この小説は、「十年後の卒業文集」、「二十年後の宿題」、「十五年後の補習」の三部構成になっていて、それぞれ手紙の形で物語が進められている。その中の「二十年後の宿題」は「北のカナリアたち」という題名で映画化された。

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退職し入院中の元教師が、小学校の教え子の青年に、今はみな成人している他の教え子たちの現在の状況を見てきてほしいと依頼するところから物語が始まる。
20年前、クラスの数人の教え子を連れて川へ遊びに行き、そこで不幸な事故が起きてそれぞれの子供たちの心に一つの傷を残した。頼まれた青年はそのひとりひとりの教え子たちを尋ねて、話を聞き先生に手紙で報告する。その中で事故についていろいろな事実が分かってくる。そして最後に青年自身も思わぬ事実を知ってしまうことになる。
ひとり会うたびに新事実が次々と出てきて物語に引き込まれていく。同じ出来事を体験した者でも、一人ひとりが違う捉え方をしていているところが興味深く、書簡形式のストーリーがミステリーを盛り上げている。  (K)

『神田川デイズ』豊島ミホ [著]  角川文庫 2010.11 2階文庫コーナー

2013.02.01

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豊島ミホが描く、大学生の青春短編集です。青春ものというと、さわやかな話というイメージが強いと思いますが、この本に出てくる主人公たちは、「ひたすらかっこ悪い」「どん詰まり」の青春を送っています。

六畳一間の下宿で、みかんの汁が飛んだコタツでうだうだとしたり、流されるままサークルに入ったものの、馴染みきれなくて自分を見失ったり、軽いことがカッコいいと思い込んで、結果的に情けない恋をしたり、友達のいないまま4年間を終えようとしていたり。それでもこの作品は間違いなく「青春」の物語です。誰しもどこかで少しは感じたことがあるであろう感情が直球に描かれており、胸を突きます。

また、作者自身の経験から、夜間学部に通っているという設定が多いのもこの短編集の特徴です。そして作品ごとのタイトルも、短い言葉の中に大きな世界観を感じさせてくれて、とても素晴らしいです。この作品を手に取った際には、是非そちらのほうにも注目してみてください。  (A)

「ディケンズ生誕200年」

2013.01.11

今年は、チャールズ・ディケンズ生誕200年の年にあたります。ディケンズは1812年2月7日にイギリスのポーツマスに生まれました。イギリス文学といえばシェイクスピアが有名ですが、イギリスではシェイクスピアと双璧の大作家として評価されています。

作品としては「信号手」「ボズのスケッチ集」「ニコラス・ニクルビー」「クリスマス・キャロル」「二都物語」などがあり、各作品とも19世紀イギリスの大衆社会の雰囲気を醸し出しています。手始めに当時の最新技術を駆使した、機関車が物語に登場する「信号手」を読んで恐怖の体験は如何でしょうか。また、もう一つの楽しみはロバート・シーモアやロバート・バスなど、当時の人気挿絵画家が、作品の表表紙やポイントとなる場面を描きいっそうイメージを膨らませてくれています。(T)
The portrait appeared in Dickens’s The Posthumous Papers of the Pickwick Clubin the Ticknor and Fields (Boston, 1867) Diamond Edition, facing the tite-page.

「あきらめない : 働くあなたに贈る真実のメッセージ」村木厚子著 日経BP社 2011.11 289.1/MuA(2階閲覧室) 「困ってるひと」大野更紗著 ポプラ社 2011.6 916/OSa(3階閲覧室)

2012.10.10

この「おすすめ本」を書くにあたり、最近読んだエッセイ2冊のどちらで書こうかと悩みました。何となく興味をもって手に取ったこの2冊、ふと気づけば同じテーマにも思えてきました。もちろん内容は全然違います。「あきらめない」は郵便不正事件で逮捕拘留(後に無罪確定)された村木さんの入省から今までのキャリアと、事件で拘留された日々の思いがつづられています。かたや「困ってるひと」は何の迷いもなく難民支援活動に力を注いでいた女子大学院生が、一転難病発症。その想像を絶する闘病生活が、なんとも軽妙にしかし冷静につづられています。
どちらもある日突然、「それ」はやってきます。しかもとてつもない大異変、大事件であるにも関わらず、このお二人は前向きなんて言葉では言い尽くせない思いで立ち向かっておられます。「あきらめない」「絶望は、しない」。どうしてそんなに強くいられるのか。はたして自分だったら? 日々の「普通」を、「変わらない毎日」の大切さをかみしめつつ、新聞での事件報道や難病認定の記事を見つめました。(pon)

 

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「ジュリエットからの手紙」ホセ・リベーラ原案 ヴィレッジブックス 2011.11 1階文庫コーナー

2012.07.20

「ジュリエットの秘書」って知っていますか?イタリアのヴェローナに実在する人たちで、ウィリアム・シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」のジュリエット宛に世界中から届く手紙の返事を書いているのです

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物語は、プレハネムーンで恋人とヴェローナを訪れたソフィが、「ジュリエットの秘書」と出会い、偶然、50年前にジュリエット宛に書かれた手紙を見つけます。その内容は、“駆け落ちを約束した恋人のもとに行けなかった”女性クレアの切実な手紙でした。何もかも遅すぎるかもしれないと思いつつ、ソフィはこの手紙に返事を書かせてくれるように頼みます。それがきっかけで、手紙の主のクレアがイギリスからイタリアのヴェローナに孫のチャーリーと一緒にやってきます。50年前の恋人ロレンツォを探して謝るために。
クレアとチャーリーに同行する事となったソフィ。ヴェローナから、トスカーナ、シエナなどのイタリアの町を舞台に、ロレンツォ探しが始まります。
物語には、2つのラブストーリーがあり、どちらも「真実の愛」がテーマとなっています。夢物語のようですが、実話をもとに作られた話だそうです。イタリアの美しい風景やチャーミングで温かいイタリアの人たちが随所に描かれていると、本当に、こんなラブストーリーあってもおかしくないなぁって思ってしまいます。ちなみに、「ジュリエットの秘書」には、日本語でも手紙を出すことが出来るそうです。    (M)

「絵本マボロシの鳥」 藤城清治影絵 ; 太田光原作・文 講談社 2011.5 726.5/ OHi (1階絵本コーナー)

2012.07.11

どちらかというと、大人向けの絵本です。元になったのは、2010年に新潮社から出版された「マボロシの鳥」という短編集で、これを著者の爆笑問題の太田光氏自身が大ファンである影絵作家の藤城清治氏におくったことからこの絵本が誕生したとあとがきに書かれています。御年87歳でありながら、原画40枚もの大作の絵本で、こちらは講談社から出版されています。
原作をやや短縮しているとはいえ、絵本にしては文章の量が結構あり、挿絵の影絵も、細部まで見応えがあります。なので、じっくりと時間をかけて読む絵本です。お父さんお母さん世代が子どもの頃に親しんだカエルのキャラクターの「ケロヨン」がちょこっと登場しているので、探してみてください。
藤城清治氏の影絵については「藤城清治影絵の世界 :シルエット・アート作品とその技法」という本がありますので、こちらを見ていただくとよくわかります。   (C)

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「ツリー ハウス」角田光代著 文藝春秋 2010.10 913.6 / KaMi (3階閲覧室)

2012.07.11

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この作品は、主人公の藤代良嗣が生まれ育ち三世代が暮らしている翡翠飯店から物語は始まる。祖父の死から良嗣は、自分たち家族がどんな経緯をたどって今ここにいるのか?そして、自分たち家族に普通ではない無気力感が覆っていることに疑問があふれだしてくる。そんな家族のルーツを探るべく祖母と行った過去(満州)への旅を通じて祖父母が戦中戦後、生き抜いてきた時代を辿りながら家族と向き合っていく。昭和・平成の時代背景の影響をリアルに受けながら生きていく藤代家。色々なものを失ってきた祖母であったが自分の人生を後悔することはなく「もし」なんていう選択肢はない今を信じる姿は力強くもあり説得力のあるものだった。この作品を読んでいくうちに藤代家が特別だということではなくそれぞれの家族には様々な形があり、歴史を知る大切さを考えさせられ一冊であった。長編小説だが、過去と現在が並行して話しは進み、読みやすい作品である。   (A)

「さみしさサヨナラ会議」小池龍之介, 宮崎哲弥著 角川書店 2011.6 141.6/SAMI(学生選書コーナー)

2012.01.28

まずそのタイトルに惹かれました。さみしさにサヨナラできる方法がのっているのかな、と。そんなことできるのだろうか…? 著者のふたりも、とても気になる方々でした。宮崎哲弥さんはコメンテーターとしてもテレビによく出演されているので、ご存知の方が多いはず。いろいろな番組で難しい討論を繰りひろげられていたりしますが、どこかおちゃめな部分が見えるような気がしているのは私だけではないのではないでしょうか? そしてもうひと方は小池龍之介さんというお坊さんで、昨年は「考えない練習」という本が話題にもなって気になっていたところでした。いわゆる「こうしたらいいよ」的なハウツー本ではありません。タイトルにもある「さみしさ」とどう折り合いをつけて付き合っていけばいいのか? 友だち付き合い、恋愛や、はたまた誰もが避けられない死。さまざまな場面で直面するさみしさや孤独の発生原因を、仏教や心理学、時には哲学などからの側面からも迫り、二人がその謎を解いてゆきます。さみしい、という欲求がたとえばメールなどで簡単に満たされてしまうからこそ、さらにさらにと拍車をかけて寂しさがつのる。この連鎖のメカニズムがわかれば防げるか、といわれてもやはり難しい…。
自分の「こころ」の参考に、ご一読いかがでしようか。(P)

 

「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」 福島文二郎 (著) 中経出版 2010 689.3/FuBu(2階閲覧室)

2011.12.16

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この本を書いた著者は東京ディズニーランドがオープンした1983年に第1期の正社員としてオリエン  タルランドに入社しました。初めての配属先はジャングルクルーズで、その後、人事部ユニバーシティ(ディズニー教育)、株式会社イクスピアリの総務部、人事課などの社員教育を経て、商品企画室に配属され、2007年の退社までにディズニーの研修を100プログラム以上開発した人です。
「なぜ東京ディズニーランドはいつも笑顔にあふれ、ピカピカなのか?」「パークにゴミが放置されていないのはなぜか」「クルーズのスキッパー(案内係)は同じナレーションなのになぜいつもあんな一生懸命出来るのか」ディズニーランドのリピート率の高さの理由がこの本に載っています。どうしたら人々に感動を与える行為ができるのか。ディズニーだけでなく、どの企業でも活用できる基本的な“教え方”が多く述べられています。
(T)