図書館からのお知らせ

『おむすびの祈り「森のイスキア」こころの歳時記』 佐藤初女[著]  集英社 2005.7

2014.01.23

「日本の自殺者数は、毎年3万人前後。交通事故で亡くなる方の6倍とも言われています―」
現在、私はうつ病患者らの支援をすべく、音楽を通じて活動を行っています。その仲間の繋がりで佐藤初女さんという方の存在を知りました。彼女は青森県の弘前に住み、岩木山の麓に「森のイスキア」という心と命を感じる施設を建て、そこへ訪ねる方々を心のこもった料理でもてなしています。その本のなかには面白いエピソードがたくさんありました。一番驚いたのは、彼女の握ったおむすびを食べて自殺を思いとどまった人がいるというのです。まさかと思い、本を読み進めていくと食事と生き方には親密な関係があることがわかってきました。「すべてのものに命はあります。その声を聞くことがとても大切です」これが彼女の哲学だそうです。子どもの頃に患った大病から食べ物の重要性を痛感することになった初女さん。それも、おいしいものを食べれば元気になれるという単純すぎる理屈を素直に実践し続けてきた初女さん。その信念の中には、様々な思いが詰め込まれていました。最後まで読むと、なんだか自分の心が解放されたような、そんな気持ちになります。是非、一度手に取ってみてください。
(yan)

 

「100回泣くこと」 中村航[著] 小学館, 2005.11

2014.01.23

この小説のタイトル「100回泣くこと」の意味は、どういうことなのだろう?

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著者はこの話を書き始めた時にパソコンのファイル名として最初につけた仮タイトルそのままで、彼女が亡くなる前の100日と亡くした後の100日を描こうと思ってつけたものと言っている。
主人公は結婚を約束した彼女に「練習が必要だと思うの」と言われ、1年くらい結婚したつもりになって結婚の練習という名の同棲生活を開始した。幸せを噛みしめ来年もこの幸せは続くと思っていた二人だったが、彼女が卵巣がんにかかり、リンパ節への転移もありがんを全て取りきることが出来ず抗がん剤の投与を余儀なくされる。結局抗がん剤も効かなくり…。    負けずに必死に病魔と闘う彼女の姿や彼女を支える彼の思いのむなしさや、彼女への思いの深さに感動しボロボロと泣きました。「100回泣くこと」の意味を考えながら、読んでみてほしい1冊です。(T)

「チョコレートの歴史物語」 サラ・モス、アレクサンダー・バデノック 著 堤理華 訳 原書房 2013.1

2014.01.23

この本は『お菓子の図書館』というシリーズの1冊です。
チョコレートの歴史は古代マヤ文明までさかのぼり、固形ではなく「飲み物」としてもてはやされました。

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その後18世紀になり、みなさんご存知の「食べる」チョコレートになりますが、イギリス中流階級の結婚式などでしかお目にかかれない特別なものだったそうです。さらに19世紀、ヨーロッパから北米へいき、庶民に広まりチョコレートビジネスが盛んになっていきます。
南米から始まりヨーロッパへと世界を渡るチョコレート、その存在は人々を魅了し、人々の争いの発端になることもあったそうです。単純な食べ物の歴史の書籍ではなく、波乱万丈なチョコレートの物語が描かれています。
もうすぐバレンタイン、チョコレートたちに出会う機会も増えますね。食べるばかりでなく、この深い歴史にも触れてみてはいかかでしょう?ちなみに、巻末にはレシピ集も掲載されていますので、こちらも参考にしてみてください。   (R)