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教員コラム

日常と非日常

紅葉真直中、紅葉狩りを楽しむ一方、二つのアニメ映画を見ました。一つは「君の名は。」もう一つは「この世界の片隅に」です。

どちらもとてもきれいな映画で、印象深く心に残りました。2つの映画を見て、自分が感じることを書きたいと思います。日本を舞台にしていながらその時代背景は異なりますが、どちらとも、それぞれの主人公の男女の結び付きを描いているということができます。日常と非日常のはざまで2人が出会うことの奇跡とでもいうのでしょうか。

「君の名は。」では、時間軸と空間軸を越えて二人は出会います。2人の入れ替わりが起きます。身体が入れ替わったというのか、心が入れ替わったというのか。初めは突然、少しずつ何が起きているのかお互い気づいていきます。日常の中に非日常が交錯します。2人の思いや意図に関わらず、時間軸をねじ曲げてでもこのようなことが起きたのは、命を救いたいという個人を越えた見えない意図のせいでしょうか。そのような意図を記憶しているのかいないのか、最後に二人は同じ時空で出会います。

「この世界の片隅に」では、戦争、空襲、原爆投下の時代を生き抜く若い夫婦の触れ合いを中心に描いています。そこに描かれているのは、戦争という非日常の中にある笑いを交えた日常です。非日常から生まれる怒りや悲しみ。そして、それに決して負けない日常の中のやさしさと温かさ。

悪く言えばマンネリ化した日常、しかしそこに突然入ってくる非日常。非日常の荒波のなかで動かされていくうちに、いつしか非日常であったものが日常に変わっていく。そんなことを体験した今日この頃。

日常と非日常は隣りあわせであること。そして、日常の大切さを、教えてくれたアニメでした。

千野美和子(2016年12月13日)