Koka's Heart

キャリア形成学部 キャリア形成学科

複雑な涙

SWIPEしてご覧ください。

image image

複雑な涙

「たけちゃん、辞めないで」。アルバイト先の障がい者グループホームの利用者さんからそう言われたとき、朝食の準備のためニンジンを切っていたが、思わず涙がこぼれた。

 憧れの客室乗務員になるなら、介護の知識や技術もあった方がいいと思い、始めたアルバイト。食事の支度や入浴、着替えの手伝いまで、利用者さんのお世話をする。しかも、夜勤。朝に出勤する利用者さんを見送り、私の1日の仕事は終わる。なぜそんな大変なアルバイトをするのかと聞かれるが、大変とも嫌とも思ったことはない。お漏らしの後片付けまですることもあるが、私を信じて頼ってくれる利用者さんのためなら苦にはならない。人に頼られたり、喜んでもらえたりすることが、こんなにうれしいとは思わなかった。

客室乗務員になりたいという漠然とした夢はあったものの、特に行動も起こさず、大学入学後1年が過ぎようとしていたころ。先生に「自ら成長する機会はいつでも目の前に転がっている」と言われた。それ以来、視野を広げ新しいことにドンドン挑戦するようにしている。まずは課外プロジェクトに参加。その勢いで、何にでも積極的に取り組み、東京のエアラインスクールにも通い始めた。空港見学で出会った客室乗務員の方から、介護についての知識もあった方が良いというアドバイスを受け「知識も技術も何もない、それでも働かせてもらえますか」と、いろいろな施設に問い合わせ、今のホームに出会った。

月曜日の朝に大学へ行き、授業終了後にアルバイト先の施設で夜勤。火曜日の朝から大学で授業やプロジェクトをこなし、夜行バスで東京のエアラインスクールへ通学。水曜日は1日そこで授業を受け、夜行バスで木曜日に大学へ戻る。そんな生活も、そのときはどれも楽しく、全力でやってきた。グループホームでのアルバイトも課外プロジェクトも、最初は自分の夢を叶えるために役に立つのではないかという思いから始めたが、いつしか夢中に。結果、自分自身でも驚くほど成長したと思う。

利用者さんは感受性が豊かで、少しでも気を抜くと不信感をあらわにされる。だからこそ、本気で向き合っている私の気持ちが通じるのだと思う。言葉もうまく話すことができない利用者さんと心の会話をし、信頼関係を築いてきた。

希望していた就職先に決まったことを利用者さんに報告したとき、言われたのが「たけちゃん、辞めないで」。寂し涙とうれし涙が混じりあった。この皆さんの気持ちを自分の糧にしてがんばっていきたい。

私の人生のキーワード

“先生の言葉”

先生の言葉は私に勇気をくれた。落ち込んだときに励ましてくれたり、がんばっているときに応援してくれたりはもちろん、したいことを見つけられずにいるときも声を掛けてくれる。距離が近いからこそ、私の状況をいつも分かってくれている。ここが京都光華の一番いいところ。

先生の言葉

“キャリアセンター”

就職活動では、航空関連の企業でのインターンシップやエントリーシートのチェック、さらに面接の練習などキャリアセンターをフル活用。ダブルスクールで通学したエアラインスクールでは、仕事についての知識は高まったが、就職試験をクリアするスキルや気持ちの支えは大学のキャリアセンターで。

キャリアセンター

“プロジェクト活動”

PBL型授業で企業の方々と接し、ビジネスメールの送り方や対応など社会人として必要となる基礎を自然と身につけることができた。自分の考えや気持ちをしっかりと伝えられるようになるなど、得たものは大きい。自分が得たものは後輩たちにしっかり引き継いでいきたい。

プロジェクト活動
Message from Parents

幼い頃から素直で前向きながんばり屋さん。大学ではプロジェクト活動などを通じて、決意する力や責任感を持てるようになり、その成長ぶりには感心させられました。そして4月からは社会人。客室乗務員になる夢をつかむことができて本当に良かったね。これからも人が嫌がることはせずに、人の喜びや笑顔のために一生懸命になれる人でいてほしい。いつも応援しています。 憲二(父)、摩由美(母)

在学生 キャリア形成学部 キャリア形成学科
在学生T.S

キャリア形成学部 キャリア形成学科
(京都府 私立京都光華高等学校出身)
課外活動やゼミなど7つのプロジェクトを掛け持ち。夜遅くまで企画書づくりやプレゼンの練習に励む。高校時代からあこがれていた客室乗務員を目指し、東京のエアラインスクールで専門知識を身につける。その合間に障がい者グループホームでアルバイトをし、サービス介助士の資格も取得。キャリアセンターでエントリーシートの記入方法や面接練習を繰り返し、念願の客室乗務員に内定。 ※2015年度取材