嚥下調整食とその物性評価

物性測定の方法

測定時の環境

室温25℃で実施する。
※冷凍品については、冷凍から恒温器(20℃)に入れ、デジタル温度計にて内部の温度が20℃になっているのを確認後、直ちに測定する(室温25℃)

方法

えん下困難者用食品の基準の測定方法及び嚥下食ピラミッドの測定法に準拠して実施

測定機器 山電 クリープメータ(RE2-3305C)
測定方法 試料を直径40㎜の容器に高さ15㎜に充填し、
直径20㎜のプランジャーで圧縮速度1㎜/sec、
クリアランス5㎜で定速2回圧縮し、算定
測定温度 20±2℃
測定機器の写真

嚥下食ピラミッドとは?

摂食・嚥下の難易度にもとづいて、普通食から嚥下食までの6段階のレベルに分類したものです。
各レベルごとの食物形態の物性条件が基準化されています。

◆ 嚥下食ピラミッドの各レベルの物性測定結果(聖隷三方原病院の嚥下食測定値)

L0 L1 L2 L3 L4
硬さ(10³N / m²) 2~7 1~10 12以下 15以下 40以下
付着性(J / m³) 200以下 200以下
(200~500の場合は、凝集性を0.4前後)
300以下
(300~800の場合は、凝集性を0.4前後)
1,000以下 1,000以下
凝集性 0.2~0.5 0.2~0.7 0.2~0.7 0.2~0.9 0~1.0

※坂井、江頭ら 日本病態栄養学会誌10(3):269-279,2007

特別用途食品許可基準(えん下困難者用食品)とは?

特別用途食品とは、病気の人や、乳幼児、高齢者など、通常の食事を食べることが出来ない人のための特別な用途を目的とした食品で、その一つに「えん下困難者用食品」があります。認可基準が厚生労働省により示されています。

◆ 特別用途食品許可基準(えん下困難者用食品)2009年12月 厚生労働省通達

規格 許可基準Ⅰ 許可基準Ⅱ 許可基準Ⅱ
硬さ(10³N / m²) 2.5~10 1~15 0.3~20
付着性(J / m³) 400以下 1,000以下 1,500以下
凝集性 0.2~0.6 0.2~0.9

嚥下食ピラミッドと各レベルの食品の特徴

嚥下ピラミッド
レベル0(L0) 均質性をもち、重力だけでスムーズに咽頭内を通過する物性を有する食品
レベル1(L1) 均質性をもち、ざらつき、べたつきの少ない、ゼラチン寄せなどの食品
レベル2(L2) 均質性をもつものの、レベル1に比べて粘性、付着性が高い、ゼラチン寄せなどの食品
レベル3(L3) 不均質性の、ピューレを中心とする食品
レベル4(L4) 咀嚼や食塊形成に問題がある方向けの食事。パサつかず、むせにくく、なめらかな、ひと口大の大きさを目安とする。
レベル5(L5) 摂食・嚥下障がい者は食べることが困難な、ごく一般的な食事