高齢者の移動課題の1つが買い物であり、「食品アクセス問題」として社会課題となっています。
京都市右京区にある京北地域は過疎地域で、バスの本数は減り、タクシーは2022年度に廃業しています。酒井ら(2024)は、京北地域の高齢者に質問紙調査とヒアリング調査を2022年に実施しました。その結果、特に交通、買い物等の移動課題が深刻でした。また酒井ら(2023)は、京北地域の食料品スーパーに2023年にヒアリング調査を行いました。その結果、2022年にJAの移動販売が撤退したため、スーパーの移動販売客が増加し、京北地域内に25~30世帯/日で配送していることが分かりました。また、多くの高齢者は京都生協の宅配を利用していました。
上記の調査結果を踏まえて、現在、食品アクセス問題の実態をヒアリング調査と質問紙調査で明確にするために、以下の研究テーマで調査実施に向けて準備中です。
過疎地域における京北地域の買い物支援の定量・定性調査:生協の宅配と地元スーパーの移動販売の比較検証
この調査研究の計画は、2024年度生協総研賞・第22回助成事業の一環として実施させて頂く予定です。以下サイトでも申請結果が公開されています。https://ccij.jp/jyosei/ken241030_01.html
食品アクセス問題の課題解決の一端に貢献できるように、調査計画を立案して調査実施できればと考えています。
引用文献
酒井浩二、高野拓樹、宮原佑貴子、金治宏、谷本寛文、呉鴻、高見茂 2023 京北地域の食料品店へのヒアリング調査による食品アクセス問題の探索的研究.第67回消費者行動研究コンファレンス報告要旨集, pp.83-86
酒井浩二・高野拓樹・宮原佑貴子・金治宏・谷本寛文・呉鴻・高見茂 2024京北地域で地域交流する中高齢者の健康状況と困りごとに関する調査.地域連携教育研究、第9号、pp.1-13
文責:酒井浩二