30年、いやもっと久しぶりかな・・・。歯を抜きました。左上の一番奥。
小学生の頃、乳歯が虫歯になったからだと思うのですが、歯医者に4日通って4本抜かれたことがあります。「浩司も衣笠もがんばった。君もがんばろうね」と山本浩二のバットだか衣笠のグローブだかを手に持たされて、それでも涙が出た記憶が強烈で、まあ正直歯医者通いは苦手です。(好きな人、少ないですよね)
それでも、居を定めたこの地で30年以上すぎ、近所には何かあれば頼りにしている歯医者さんがいます。詰め物がとれて急に行っても対応はスピーディ。褒め上手な女医さんで、言葉遣いもエレガントで「高井さんの歯の質はとてもいいですよ」と毎回言ってくださいます。
数ヶ月前、左奥歯に違和感があることを告げると「1本だけですが歯周病です。磨き方は・・・」と言われました。これまで買ったことのない歯間ブラシを何種類も用意してガリガリやって2,3ヶ月。でもまだなんかおかしい・・・。そして、受診したのが3月末、新年度オリエンテーション最初のクラスミーティングの日の早朝でした。
「あら、歯が割れてます。これは、抜くしかないですね」「え?・・・あ、はい」理解が追いつかない間に、歯茎にチクリともしないような麻酔を打たれ、ちょっと歯をつついて診てらっしゃるのか、と思った瞬間、「はい、ガーゼぐっと噛んで。今から11時まではずっと噛んだままにしておいてくださいね。」え!!もう抜かれたとは。・・・痛くなかった!今の歯科技術に、驚愕しかありません。
こんな状況になるとは夢にも思わず、でもちゃんと「抜いた私の歯、ください」と持ち帰ることは忘れず、朝1コマ目のクラスミーティングに駆けつけました。相方の先生には事情を話しながら、ガーゼをきつくかみしめまま、唇と舌だけを動かしてしゃべれるんか・・・しゃべれました。学生に通じたのでこれもびっくり。音声日本語、口唇の構音を再認識です。
あれから1ヶ月たち、抜歯したことを既に忘れるほどになりました。
私の歯、7×2×2=28本。親知らずを30歳前に抜いたあと、元気に何でもかみ砕くことのできた大事な28本が、27本になってしまいました。これは悔しい。悔しすぎます。また、歯周病がこんなにも身近にあったこと。歯を失うことに繋がるとは恐ろしい。用心するにこしたことはありません。多少サボりがちだった定期検診も、心してきっちり受診しようと思います。
8020運動。ご存じですよね?80歳になったときに、自分の歯が20本でしっかり食べることを目標にする運動。80歳まではまだ時間があるので、ここからは一本たりとも失わないように努力を継続することを誓います。
おっと、この文章で紹介したかったのは・・・8030運動です。
これは、80歳になっても、30dB(ささやき声)がきこえるぐらいの聴力を保って、まわりの人との対話やコミュニケーションを楽しもう、というもの。
日本耳鼻咽喉科頭頸外科学会が、昨年から提唱しています。
難聴は認知症の危険因子であることも知られてきました。日本は「補聴器後進国」。原因はいろいろあります。身体障害者認定基準(聴覚障害)は両側70dB以上の高度難聴が対象なので、補聴器そろそろ必要かな?と思われる40dB程度では、助成制度もなく高額な補聴器をほぼ自費負担しなけれならないこと。(小児は各自治体で助成制度があります)他にもなんとなく補聴器をつけると「かっこわるい」というような心理的な障壁。
また、眼鏡との違いについても知っておく必要があります。を購入するときには、眼鏡のフレームはいろいろ迷うかもしれないけれど、一度決めた度数のレンズについては「試用期間」はありません。それに対して補聴器は、その人の生活の中の音環境の中で効果があるかどうかが大切なので、補聴器屋さんの店内では正確には「試聴」できないのです。試聴期間が1ヶ月程度あること。また、購入したあとも、3~6ヶ月間を目安に、生活の中のきこえについて、「もっと○○してほしい」「この音はうるさいから下げてほしい」というリクエストを出しながら調整していくものなのですが、このやりとりを面倒に思ったり、奥ゆかしく言い出せない、という方も多いようです。
いや、ひとりぼっちよりは、周りの人と対話しながら豊かにコミュニケーションをとりたいもの。
さあ、みなさん。一度8030運動のコマーシャルソングを聴いてみてください。 (高井)