大学の数ある講義の中には、講義に入る前に、たとえば先日のテレビや今日のニュースなど、講義とは関係のないように見えるちょっとした話から講義に入っていくものがあります。導入部分にあたるこうした時間は、時に、講義の内容に負けないくらい印象に残ったりするのが面白いところ。今回は少し変わった導入を覗いてきました。思いがけないところから授業内容へとつながっていきます。
はじめにこの授業での教科書を示しておきます。学生はこの地図とスマホ等の検索機能を使って調べを進めていくそうです。この日の導入は、次に流れる映像をよく見て、見終わってから出題される問題に答えるというもの。学生も話題にしているドラマをギュッと短くまとめた映像で、一見すると授業とは関係なくて楽しんでいるだけでは…?と感じることでしょう。しかし、学生はいたって真面目にドラマを見ながらメモを取ります。何が出題されるかわかりませんから、細かいメモを残す学生もいました。
そして映像が終わっていざ出題。時間が来ると設問画面は切り替わってしまいます。主人公が聞いていたオペラの作曲者の名前、出てきた果物について輸入量の多い国の名前等々…これらを短い時間で答えていかなければなりませんから、周りの友人と協力して調べていく学生たち。スマホを片手で触っていると遊んでいるようにも見えますが、限られた情報を元に、短時間で答えを探し出すのは実は大変で、地図帳、検索機能、周りとの連携を上手く活用するほど早く答えにたどりつけるのです。学生は真剣な様子で、水を打ったように静かな教室でした。
次週ドラマを見る時に、きっと今日学んだことを思い出すでしょうし、バナナを見るたびに選択肢に引っ掛けられたなあと思うかもしれません。印象深くて学びの多い導入だったのではないでしょうか。