2020.06.15 ベルの物語

ベルの冒険(その1)

ベルは、こども教育学科に住んでいる クマです。

いつもは、大学の賢風館5階にある こども教育学科コモンズで 暮らしています。

ベルが コモンズに座っていると、いつも近くに 学生さんが 集まってきました。

学生さんたちは、勉強したり、おしゃべりしたり、はさみやのりで 何かを 作ったり、とても楽しそうでした。

ベルは、学生さんのそばにいるのが 大好きでした。

 

またベルは、月に何回か 賢風館を出て、大学の門のそばにある 慈光館まで お散歩にいきました。

慈光館にある 保育実習室というところで、「光華こどもひろば」というのを やっていて、そこにいつも、小さな子どもたちが 遊びにきてくれるのです。

ベルは、小さな子どもたちと遊ぶのも 大好きでした。

 

ベルが、コモンズに来てから 何回目かの春が またやってきました。

ベルは、これまでのコモンズでの暮らしから 3月になると コモンズにやってくる学生さんの数が 減り、4月になると また学生さんの数が 増えることを 知っていました。

 

でも、今年の春は 違いました。

なんだか 先生が バタバタしているのです。

そして、コモンズに来る 学生さんの数も ぐっと少なくなりました。

ベルは、今年の春は なんだか変だ と感じていました。

 

それでも毎日、コモンズに来てくれる 学生さんがいて、ベルは ほっとしていました。

学生さんは いつも長い時間、コモンズにいて 静かに勉強をしていました。

いつもより 静かなコモンズでしたが、ベルは こんなふうに 学生さんと静かに過ごす時間も いいものだなあ と思っていました。

 

でも、しばらくすると、その学生さんも 来なくなりました。

それまで 静かだったコモンズは、もっともっと 静かになりました。

そして いつの間にか、ベルも マスクをすることになりました。

コモンズに ひとりぼっちになったベルは、いったい 何が起きたのだろう と思っていました。

                        (続く)

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