京都光華女子大学 こども教育学部 こども教育学科 ニュース 念力で雲を消す?!  -明日話したくなる理科の話①-

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教員コラム

念力で雲を消す?!  -明日話したくなる理科の話①-

 理科のわざを会得すると、まるで超能力や魔法のようなことも可能になります。

 念力で雲を消すこともできるんですよ。

  右の写真は、京都光華女子大学のキャンパスで、「真ん中の雲消えろ!」と念じて、30秒ごとに写真を撮ったものです。雲はみるみる消えていき、たった3分でほとんど消えてなくなってしまいました。

 でも、もちろん念力や超能力で雲を消したわけではありません。単に、雲の性質を利用しているだけです。

 雲の中でもわた雲(積雲)は、晴れた日に綿が浮かんでいるように見える雲で、低い場所にできます。私たちはいつも一瞬しか雲を見ないので気が付きませんが、このわた雲は生まれては消えを比較的短時間で繰り返しています。だから、1つのわた雲を決めてじっと見ていると、遅かれ早かれ消えていきます。まれに大きくなるものもありますが、なぜほとんどの雲が小さく消えていくかというと、見えるわた雲のほとんどは、すでに大きくなったものだからです。

 この超能力を成功させるコツは、

①なるべく真上に近い雲を選ぶこと

②くっきり濃い雲ではなく、周りがぼんやりしている雲を選ぶこと

③雲の流れを見て大きな雲の風下にある小さな雲を選ぶこと

3点です。

 真上に近いほど、より近くにある雲なので小さく、消えやすいです。また周りがぼんやりしているものは、すでに消え始めているものが多いです。大きな雲の風下にある小さな雲は、もうすぐ晴れたところに移動するので、消える確率が高いのです。

 タネ明かしをしてしまうと、「なんだそんなことか」と思いますが、この雲を消すマジックを超科学的な力を持つ証拠とする、自称超能力者やスピリチャリストは実際に存在します。

 雲をじっくり観察していると、もうすぐ消える雲を見分けられるようになります。理科の基本は観察です。雲をよく観察して訓練し、ぜひ友達や家族をびっくりさせてみましょう。将来先生になった時、子どもたちに雲を消して見せたら、尊敬されること間違いなし!です。

 

 この記事は、2020年前期に実施した授業「理科」「理科指導法」「理科演習(実験)」の「天気」単元でオンラインテキスト中に扱った内容に基づいて作成しました。

 

 (学校教育コース 中井咲織)

雲が消える様子(2020年4月27日13:12~13:14撮影)