緊急事態宣言の解除された期末の日、4年生の科目「保育内容研究」で、映画『あの日のオルガン』(平松恵美子監督・脚本、ブースタープロジェクト制作、マンシーズエンターテイメント配給2019年)を紹介しました。これは、戦前の、保育所保育指針もまだ定まらない時代に、ただ預かるだけでなく子どもの「文化的生活」を目指した保育実践の記録です。何より、戦火の激しくなる中、子どもたちを守ろうとした「疎開保育園」の実話を映画にしたものです。戸田恵梨香さん演じる主任保育士楓さんと大原櫻子さん演じるみっちゃん先生、他、若い保育士たちと子どもたちとの劇的な日々に、たくさんの童謡が歌われていて、釘付けになる2時間です。
視聴した学生の感想を紹介します。
「疎開保育園へ子どもを預ける親の葛藤にとても心が痛んだ。」
「53人の子どもが6kmも歩いたと知り、子どもたちは必死な想いで保育士についていき歩いていたんだなと思うと涙が出そうでした。」
「戦時中の保育、子どもたちや家族の様子がどのようなものだったのか、保育者はどのような対応で子どもたちを守り抜いたのか、全く知らなかった現実を知ることができた。」
「子どもたちが寝ている姿を見て、『この光景をずっと忘れないでおこう』という場面にとても感動しました。」
「改めて戦争の悲惨さを知った。」
「現代は戦争もなく防空壕に隠れるような生活ではないですが、保護者さんに安心して預けてもらえるような先生になりたいと、この映画を見て感じました。」
ひたすらに子どもたちのことを思い、保育をよくしていこうと具体的に話しあいをする保育士たちの姿、疲れ切って失敗を重ねてしまう若い保育士の姿、やんちゃな子どもたちの姿も印象的でした。優れた映画作品が、学生の心を捉えました。