京都光華女子大学こども教育学科では、合格が内定した京都光華高等学校の3年生を対象に、入学前に実際の大学の講義を体験し、徐々に大学生活とそこでの学びへの準備を進めてもらうようにしています。
今回の講義では、「子どもたちがどのようにして2つ目の言葉(ここでは英語)を学ぶか」という理論的背景とともに、その指導法として欧州で広く実践されているCLIL(クリル指導)を実際に体験してもらいました。
CLILとは、Content and Language Integrated Learningの略称で、教科科目やテーマの内容(content)の学習と外国語(language)の学習を組み合わせた学習(指導)のことです。最近では、「クリル」あるいは「内容言語統合型学習」として呼ばれ、その指導が日本でも定着しつつあります。
その指導法は、主に英語を通して何かのテーマに関して学ぶといったもので、学級担任が一人でたくさんの教科を指導することが多い日本の小学校では英語指導と大変相性が良いと考えられています。
CLILを使った学びの大きな特徴としては、学習内容(content)の理解に重きを置き、思考や学習スキル(cognition)に焦点を当て、コミュニケーション能力(communication)の育成を図るとともに、文化(culture)の意識を高める点にあると言えます。
今回の体験講義では、絵本を使ってCLILの授業を行いました。
【授業の流れ】
1.Giraffeというタイトルの本の読み聞かせを英語で聞く。
2.絵本の半ばで、指導者から質問が投げかけられる
T:Touch your neck. Do you have a long neck like giraffe? Can you count how many bones you have there?(首を触ってみてください。きりんのように長い首ですか?首にはいくつ骨があるか数えられますか?)
Ss:(それぞれに首を触りながら首にいくつ骨があるか数える)
T:How many?
S1:Ten.
S2:six (など口々に英語で返答)
T:Let’s count together. One,two,three…. Seven! We have seven bones!
Now, what about giraffes? How many neck bones do they have? Discuss in your group.
(一緒に数えましょう。1,2,3,…7!7つの骨がありますね。きりんはどうでしょうか?きりんの首の骨の数について各班で話し合い予想をたてましょう)
Ss: (きりんの首の骨の数を英語でグループごとにディスカッションする)
(グループの代表が「なぜそう思うか」という理由とともに発表する)
3.絵本の続きを最後まで聞く
T: Let’s find that out.(さあ、答えをみてみましょう)
(絵本の続きを英語で読み聞かせ、答えは人間と同じく7つであることを確認し、その絵本の中に出てくるアフリカに住むキリンの実態などにも話を広げる。
【受講した高校生の感想】
・苦手意識があった英語ですが、絵本を通して内容のある英語に触れ新しい情報も知ることが出来たので、少し苦手感がなくなりました。
・英語をただ覚えるのではなく、英語を通し、たくさんの知識を知れるのはいいなと思いました。このような授業を中学校までにしておくと今後の英語授業でも困らないだろうと感じました。
・高校の授業が50分なので90分は長いな、と思っていましたが、いろいろな英語が学べてとても楽しかったです。嫌いだった英語が、大学では英語の授業に楽しく取り組めるな、と思いました。楽しみです。
・今日は楽しい講義をありがとうございました。大学の英語に対して抱いていたマイナスイメージがまったく変わってアッという間の90分でした。
【授業担当者からのメッセージ】
京都光華女子大学こども教育学部では自らのキャリアに合わせ、どのような英語力が必要かを考え、それを実際の指導体験を通じて学んでいきます。今回体験した「楽しさ」をこどもたちにも伝えられる力を大学での4年間の学びでぜひ身に付けていって欲しいと思います。
こども教育学科 田縁眞弓