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授業紹介

「臨地実習Ⅱ・Ⅲ」(病院実習)の紹介

こんにちは!教員の永井です。今回は管理栄養士専攻の「臨地実習Ⅱ・Ⅲ」の紹介をします。

管理栄養士専攻では、在学中に3つの臨地実習(学外実習)があります。「臨地実習Ⅱ・Ⅲ」では、1~4名のグループに分かれ、実際の医療現場で10日間の実習を行います。本学の実習先は主に病院で、毎年20施設以上にご協力をいただいています。

学外での実習は緊張するようですが、医療現場の空気に触れ、患者さんの生の声を聞き、管理栄養士の先生方の仕事ぶりを目の当たりにし、実習生はたくさんの気づきを得て、大学に戻ってきます。それでは、4年生の二人に「臨地実習Ⅱ・Ⅲ」の様子を教えてもらいましょう!

 

<管理栄養士専攻4年生・奥田さん>

「臨地実習Ⅱ・Ⅲ」の主な内容を教えてください。

調理では、盛り付けと配膳準備が中心でした。タイミングがあえば、きざみ食や1口大の食事の切る作業や嚥下食をミキサーにかける作業もさせて頂きました。栄養指導では外来や集団、入院患者さんに対して、実際に栄養指導をしている所を見学することができました。他には嚥下回診やNST回診も見学させて頂きました。

 

実習前にどのような準備をしましたか?

栄養指導では、主に糖尿病の患者さんが多いということだったので、糖尿病の病態や診断基準、食事療法、薬物療法などを復習しました。課題は実習当日に指示して頂き、糖尿病食の夏の献立と作業工程表を考え、実習中に完成させました。また、実習2週間前から行動記録表や体温を記録し、感染対策にはとても気をつけていました。

 

実習中、難しいまたは大変だと感じたことは何ですか?

調理では、時間との勝負なので、丁寧に手際よく盛り付けをすることが大変だと感じました。栄養指導では、その人に合った指導の仕方や、患者さんが前向きに食生活を改善していけるような伝え方をすることが難しいと感じました。

 

実習中、うれしかったことは何ですか?

優しい先生ばかりで、分からないことや質問があれば丁寧に教えてくださったことが嬉しかったです。

 

実習で最も印象に残ったことは何ですか?

栄養指導では、管理栄養士が一方的に指導するのではなく、患者さんと世間話や普通に会話をしながら信頼関係を築いて、食生活の改善へ向けて支援しているところが印象的でした。堅苦しいかんじではなく、アットホームな空間で栄養指導されていたことがとても印象に残っています。

 

実習を通して学んだことは何ですか?

実習を通して、管理栄養士はたくさんの患者さんの病態や食生活を把握したり、食事療法、運動療法、薬物療法など様々な知識を身につけた上で、全体を管理する力が求められる仕事だと学びました。また、自分の知識不足を痛感し、たくさんの患者さんや多職種の人達と連携するため、コミュニケーション能力も必要だと感じました。

調理では、提供時間に間に合うために誰をどこに配置すれば効率良く終わることが出来るかを考えることが必要だと学びました。そのためにはこの人はどういう作業が得意なのか普段から観察したり、コミュニケーションをとってどんな性格か知っておくことが大事だと感じました。

 

<管理栄養士専攻4年生・神原さん>

病院実習の主な内容を教えてください。

主に治療食や各疾患の栄養管理、給食経営管理、衛生管理に関する講義を受けました。その他、糖尿病の交換表を用いた栄養価計算、残食調査についての課題作成や症例発表を行いました。残食調査は、各病棟の2か月分の残食調査結果から食事の時間帯や病棟ごとに共通点や異なる点について考察し、症例検討は、実際の糖尿病患者の電子カルテを参考に栄養管理計画などについて症例レポートを作成しました。残食調査及び症例検討については発表を行いました。また、入退院報告会や外来栄養指導の様子を見学しました。厨房では、厨房や検収作業の見学、調理や盛付、トレイメイク、配膳準備の作業に携わりました。

 

実習前にどのような準備をしましたか?

学校から出された2つの事前レポートについて取り組みました。1つ目は、「診療報酬、栄養補給法、SOAP、糖尿病の病態・治療法・食事療法・食品交換表、血液生化学検査」についてレポートを作成しました。2つ目は、「実習先の概要(施設名、所在地、方針・理念、病床数、診療科について)や栄養部門に関する情報、学習目標」についてレポートを作成しました。また、国試対策をしながら復習するようにしていました。

健康管理については、コロナウイルス感染予防のため2週間前から不要不急の外出を自粛する必要があったことから、外出を控えていました。しかし、ずっと家にいると体力が落ちるため、少し外に出て歩くこともありました。また、実習は毎日朝からあるため、早起きに慣れるようにしていました。

 

実習中、難しいまたは大変だと感じたことは何ですか?

3年生のときに行われる事業所実習がコロナウイルス感染拡大により中止になり学内補講を受けたため、病院実習が初めての現地実習で緊張や不安が大きかったです。また、知識が曖昧であることが多く、実習中の講義でなぜそうなるのかと聞かれたときに理由が答えられないことが多くありました。症例レポートを作成する際にも、どの情報が重要であり、どの症状を優先して治療すべきか、患者さんの特徴からどのようなサポートが重要となるのかなどについて検討することが難しいと感じました。

 

実習中、うれしかったことは何ですか?

多くの管理栄養士の先生方の講義を受け、栄養指導の様子を見学させてもらえたことから、実際の先生方それぞれの工夫を知ることができてうれしかったです。実際の糖尿病食を毎日昼食に食べることができたことも参考になりました。

 

実習で最も印象に残ったことは何ですか?

最も印象に残ったことは、管理栄養士の役割についてです。他職種の方でも治療のために、ある程度食事に関する知識を持った方が多くおられる中で、管理栄養士は患者さんのために何をすべきなのかよく考える必要があることを学びました。栄養価計算や医師からの栄養素の指示量を具体的な食材に置き換えるなど、管理栄養士にしかできないサポートがあるため、それをきちんと果たせることがまずは重要だと学びました。このような基本的なことを忘れず、管理栄養士として患者さんのために何ができるのか突き詰めて考えていけるようにしようと感じることができました。

 

実習を通して学んだことは何ですか?

講義を通じて、多くのことを学んで「なぜ」を増やし、まずは自分の中での理解を深める必要があると学びました。これまでは、「病気になり症状があるから栄養摂取量の調整を行う」という覚え方をしていただけで、なぜそのような症状が起こり栄養摂取量の調整が必要なのかという理由まで理解できていなかったことに気づきました。このような説明ができないと患者さんも理解できず、行動変容につなげられないことがわかりました。

また、糖尿病の患者さんのほとんどは糖尿病以外にも様々な病気を患っており、教科書通りの栄養管理だけでは対応できないことが多くあることがわかりました。入院患者さんは特に食事を1日の大きな楽しみにされていて、食事に対する意見を持った方が多くいらっしゃることも知りました。このような食事への意見について検食の際や嗜好調査、残食調査からも検討し、献立の改善につなげられていることを知り、もっと深く突き詰めて考えられることは本当に多くあるのだということがわかりました。

栄養指導の内容を考える際には、患者さんが実践しやすい具体的な提案をすることばかりに着目してしまっていたのですが、まずは患者本人の理解度を確認し、気持ちの変化を適宜評価しながら共同で計画を立てていくという意識を持つ必要があると学びました。糖尿病の患者さんを対象とした外来の栄養指導の様子を見学した際には、患者さんの食事記録の内容と実際に食べたものが異なることもあるため、検査値が変化している理由を食事記録や患者さんの意見だけで判断せず、他に考えられることを患者さんとの会話の中で見つけられるようにするスキルが必要であることがわかりました。

給食管理業務については、様々な疾患を抱えた患者さんに対応するための工夫をたくさん考えられる必要があると感じました。実際に厨房で作業をさせていただいた際、常にミスがないか確認し、効率よく作業が進むように意識する重要性を改めて実感しました。普段からもっと調理を行い、どのくらいの量の調味料で味付けするとおいしく感じるのかということや、大量調理に向いている作業工程についてもっと理解する必要があると学びました。

 

奥田さん&神原さん、ありがとうございました!二人ともたくさんの素晴らしい気づきや学びがあったようですね。
それらをどう深め、身につけていくか…これからの課題かと思います。引き続きがんばってください!

コロナ禍で大変な中、実習生を受け入れていただいた施設の皆様方、本当にありがとうございました。