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研究室活動

水道研究室

みなさん、こんにちは。

健康栄養学科 健康スポーツ栄養専攻教員の水道です。

私たちの研究室では、天然素材(生薬・ハーブ・野菜・果物・乳酸菌など)の機能性研究やこれら素材を利用した機能性食品作りを行っています。

2021年度のゼミでは、3人ずつ2つのチーム(実験をメインに行うAチームと食品の試作をメインに行うBチーム)に分かれ、次のような卒業研究に取り組みました。


Aチーム:「口腔内細菌の増殖を抑制する生薬等の探索研究」

このチームでは、むし歯の原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンスという細菌を用いて、全18種類の医薬品・化粧品・食品の原料(生薬やハーブエキス、お茶エキスなど)について、抗菌活性(菌の生育を抑制する作用)の有無と強さを2つの方法で調べました。

方法1は、寒天培地上に細菌を塗布し、その上に種々のエキス溶液を浸み込ませた円形のディスクを置き、一定時間培養後に生育が阻止された円状の部分(阻止円)の大きさを調べる方法です。阻止円の直径が大きいほど抗菌活性が高いということを示します(写真1)。

方法2は、液体培地中に濃度を段階的に変えた種々のエキス溶液と菌を入れて培養し、菌の増殖がみられない(液が透明なままの)最小の濃度を最小発育阻止濃度として調べる方法です。写真2に示した生薬のオウバクの最小発育阻止濃度は500µg/mLでした。

これらの細菌の培養や取り扱いはすべて無菌の環境下で操作を行う必要があるため、無菌の空気が流れているクリーンベンチ内で実験操作を行いました(写真3)。


Bチーム:「機能性を有する野菜・果物並びに乳酸菌を配合したお菓子、飲料のレシピ開発」

このチームでは、各メンバーがそれぞれ生活習慣病の予防効果が期待できる野菜や果物について、機能性や特徴を調べ、それら素材を配合したお菓子作りを行いました(写真4)。

また、有胞子乳酸菌という耐熱性がある乳酸菌を配合した紅茶や、高温のオーブンレンジで焼き上げたお菓子を作りました(写真5)。さらに、作った紅茶やお菓子中に生きた乳酸菌が残っているかどうかを培養して調べました。その結果、ヨーグルトなどに使われている通常の乳酸菌は60℃以上の温度では生き残ることができませんが、有胞子乳酸菌は95℃の熱湯中や15分程度の短時間であれば160℃の加熱でも生き残っていることが確認でき、生きた乳酸菌入りの飲料や焼き菓子作りに有用であることがわかりました。

私たちの研究室では、このように天然素材を利用した機能性研究や食品の試作研究を行っていますので、興味のある方はぜひ一緒に取りくみましょう。

写真1.阻止円形成法

写真2.液体培地希釈法

写真3.クリーンベンチ

写真4.野菜や果物を配合した生活習慣病に対して何らかの機能性が期待できるお菓子

写真5.生きた乳酸菌を配合したお菓子