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教育研究③:健康生活

マスク生活の功罪

コロナ禍の中、外出にはマスクが当たり前の毎日が続いています。作年夏には、熱中症予防から運動中はマスクを外すことを奨励されていましたが、冬には、インフルエンザなどの感染症対策もあるのか屋外でマスクを外す人はほとんど見かけなくなりました。

厚生労働省のホームページには「屋外では季節を問わず、マスクの着用は原則不要です。屋内では距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合をのぞき、マスクの着用をお願いします。場面に応じた適切なマスクの着脱をお願いします。」と書かれています。

この適切なマスクの着脱については、私たち一人一人が持っている対人距離感と深く関係しているようです。対人距離感とは人と人との間に生じる空間(パーソナルスペース)によって決まるとされています。私たちは4つの対人距離を使い分けて生活しています(以下の表1を参考にして下さい)。このうち、特に2の個体距離(相手の表情を読み取れる空間)と3の社会距離(相手に手は届きづらいが会話ができる空間)の2つはマスク生活が大きく関係する現象と思われます。2の個体距離において、マスクをしている相手の表情はマスクをしていない時とは違って1メートル以上離れると読み取りづらくなります。また3の社会距離では、声による伝達が主ですが、マスクによって声の伝わり方が制限されるので2メートル以上離れると声を張り上げる必要があります。自然な会話とは違う声ですね。

一方、マスク生活になってから「マスクで顔が隠れるのですっぴんでも安心」とか「顔をつき合わせなくてもよくなったので気が楽になった」という声も聞こえてきます。特に思春期・青年期で自分の表情が相手にどう受け取られるか気になっている人や相手に気持ちをどう伝えるかとても繊細に感じている人に多いようです。

マスク生活はまだまだ続くと思われます。そのメリットとデメリットを考えつつ、上手につきあっていきたいものです。

(文責:徳田仁子)

表1. パーソナルスペース、対人距離の分類