2024.05.23 人間健康学群での学習・生活

疑似体験教材を使った高齢者の身体状況の理解

総務省統計局のデータでは、65歳以上の人口の割合は2022年度で29.1%であり、2040年度は35.3%と推計されています。国立社会保障・人口問題研究所のデータでは、2070年には1.3人で1人の高齢者を支える社会と推計されています。現在・未来は、身近な家族・親類や地域住民、職場での顧客、介護施設など多様な場面で高齢者と接して生活する超高齢社会です。高齢者の立場を理解することは、社会生活を送るうえで重要です。また、誰しもが加齢により高齢者になり、自分ごとでもあります。
では、どうすれば高齢者を含む相手を「理解」できるでしょうか?その方法として、たとえば以下の3つがあると思います。
1.相手について座学で理解
2.相手から見聞きして理解
3.相手の状況を疑似体験して理解
上記の3の教育教材として、「高齢者疑似体験教材スタンダードセットⅡ」があります。授業でこのセットを使って、大学生に以下を疑似体験してもらいました。
1.視覚障害(全盲、視野狭窄、白内障、加齢黄斑変性)
ゴーグルに各種シートを設置して頭部にゴーグルを装着し、スマホの操作や読書などの行動を踏まえて、視覚障害を疑似体験しました。
2.聴覚障害
イヤーマフを両耳に装着し、会話や音読などの行動を踏まえて、聴覚障害を疑似体験しました。
3.身体機能の低下
手首と足首に重りバンドを、肘と膝にサポーターを装着し、立ち座りや落ちたものを拾うなどの行動を踏まえて、身体機能の低下を疑似体験しました。
4.手指運動機能の低下
両手にビニール手袋をはめて、お箸でさいころをつまむ、折り紙で鶴を折るなどの行動を踏まえて、手指運動機能の低下を疑似体験しました。

授業時間の関係で、装着して数分間ですむ行動を踏まえた疑似体験でした。たとえば上記の身体機能の低下(重りバンド、サポーターの装着)で、徒歩15分程のスーパーまで歩いて荷物を持って帰宅など、日常生活場面での疑似体験も重要と思いました。

高齢者疑似体験は、人間健康学群のオープンキャンパスでも体験でき、次は2024年6月2日(日)に実施されます。ぜひご来場のうえ、高齢者の身体状態を疑似体験頂ければと思います。超高齢社において重要な疑似体験と考えています。

高齢者疑似体験セットです
視覚障害と聴覚障害の疑似体験です
身体機能低下の疑似体験です
手指運動機能の低下の疑似体験です
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