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講義風景

老年看護学_病院実習

こんにちは!
昼間は暖かいですが、朝晩は涼しくすっかり秋めいてきました。食欲の秋、スポーツの秋が到来しますが、看護学科の3年生は9月から領域実習がスタートしました。来年の3月まで、受け持ちの患者さんを通して、各領域の看護過程を展開していきます。

看護過程では、受け持ち患者さんの情報を集め、情報と情報のつながりを視覚化する関連図や、食事・排泄といった項目の枠組みを用いて情報整理し、患者さんの状態を理解していきます。受け持ち患者さんの看護上の問題やその原因として考えられることを探し、患者さんにとって重要な看護問題の優先順位を判断します。そして、看護問題を解決するために看護目標を設定し、看護計画を立て実践していきます。

領域実習が始まったばかりの学生さんはどんな思いで実習に励んでいるのでしょうか?そこで、今回は老年看護学実習を終えた学生さんたちの声をお届けします。Ⅰ.実習中の生活に関すること、Ⅱ.老年の看護過程に関すること、Ⅲ.老年の実習内容に関することについてのアンケート結果をまとめましたので、ご覧ください。

Ⅰ 実習中の生活に関すること
①実習中の楽しみは何でしたか?
「昼食の時間」「友人とのご飯」「皆で帰る帰り道」「抹茶」「休憩時間」など学生同士での交流や、「カンファレンスが終わった瞬間」「帰り道」など実習から解放された時間の一方で、「患者さんの笑顔を見ること」「患者さんとのコミュニケーション」という実習中の患者さんとの交流時間も学生さんにとって楽しみにつながっていたようです。

②実習中にしんどかったことは何ですか?
「朝早く起きること」や「睡眠時間が少なくなること」、「電車の時間が通勤ラッシュと重なるので、実習先に着く前からかなりの体力を使いました」という意見がありました。睡眠時間の少なさの要因に「記録物一つ一つに時間がかかった」そうです。また、看護過程を展開していく上での「知識不足」から、患者さんの「アセスメントや看護計画の立案」が難しく、「緊張からカンファレンスやバイタルサイン(血圧・脈拍・体温・呼吸)の報告の時に言葉が詰まる」、「日々状態が悪くなる患者さんを見ているのが辛かった」という意見もありました。

Ⅱ 老年の看護過程に関すること
③看護過程を展開していく上で難しいと感じたことは何でしたか?
患者さんからの情報収集では、「高齢者とのコミュニケーション」「患者さんが何を伝えたいのか思いを読み取ること」「患者さんのニーズを把握すること」「現疾患の背景に複数の疾患があること」や「状態変化や認知症の患者さんから情報収集が難しかった」ようです。「解剖生理の理解ができておらず、多くの情報を統合してアセスメントしていくこと」や、高齢者は「現病歴だけでなく、加齢の影響や既往歴、薬剤との関連」「患者さんの状態や症状が、疾患からくるものなのか、加齢に伴う身体機能の低下からなのか、事前課題で勉強していても結びつかず」、「患者さんにとって今重要である看護上の問題を見つけていくこと」、「複数ある看護上の問題の中で、何がその人にとって優先順位が高いのかを考えるのが難しかった」という意見がありました。また、看護計画については、「残存機能を生かした関り」や「状態と疾患を関連づけて残存機能を生かした関り、個別性を踏まえた看護計画の立案」が難しく、「高齢者の特徴を踏まえて、疾患や症状、治療が患者さんの生活にどのような影響を及ぼしているのかを考え、看護過程を展開していくことが難しかった」そうです。

Ⅱ 老年の実習内容に関すること
④病院での老年看護学実習の感想についてお聞かせ下さい。
「自分の中に知識の引き出しがなく、援助方法の具体的内容や視点が足りてないと感じた」ようですが、「実施することで得られる患者さんの変化に喜びを感じ、自身にもつながりました」「患者さんに喜んでもらえるケアができて嬉しかったです」「看護過程の展開が難しく、患者さんに迷惑かけてばかりで申し訳なかったです患者さんに向き合い、立案した看護計画を病棟の指導者さんや看護師さんに助言を得ながら実践し、その結果が目に見える形で評価できて、達成感がありました」「多くの足りない視点に気づき、自分の経験になりました」など、実習の達成感や看護の喜びの声も多かったです。実習環境としては、「領域(病院)実習が初めてで緊張していましたが、指導者さんと先生の助言で無事に終えることができました。多くの学びを次の実習で活かしていきたいです」「実習環境がとても良くて、伸び伸びと実習ができました」という感想がありました。

⑤老年看護学実習での学びを教えて下さい。
「患者さんのことを理解することや知識の大切さ」「高齢者は複数の疾患を抱えているということ」、「個別性を踏まえた援助の重要性」や「高齢者の特徴を理解し、残存機能を生かした個別性に応じた援助、看護とは何かを学んだ」ようです。また、「患者さんにより良い看護をするには、アセスメントが重要であり、そのアセスメントには患者さんや疾患の理解が必要。実習中に勉強するのは間に合わないので事前学習の必要性を学んだ」という意見もありました。ケアを実践していく上で、「高齢者のできない部分でなく、できる部分を引き出していくことが、自尊心の向上につながることを実感した」「患者さんそれぞれの強みや特徴など個別性を考慮したケアを行うことの難しさと重要性」を学び、「実習目標の具体性は、評価基準がはっきりしていれば、計画の方向性やゴールも見えやすく、自分の中での達成感も強いと感じました。具体性を出すには、患者さんをよく診て、個別性を捉えていくこと、生活環境(病床・退院後)に合わせて考えることが必要だと思った」という意見がありました。

3年生の皆さん、アンケートのご協力をありがとうございました。
実習中のしんどさや楽しみ、受け持ち患者さんの看護過程を展開しながら、学生さんたちが何を感じ学んでいるのか見えてきますね。超高齢化社会でも世代間交流が少ない生活環境で暮らしていると、高齢者とのコミュニケーションや生活イメージがしにくいと思います。慣れない環境での実習も大変かと思いますが、一人の患者さんに密着した看護は学生時代にしか経験できません。有意義な実習ができるように、学びを共にしていきましょう!

学内演習では高齢者モデルで日常生活援助を学びます。

高齢者の筋力が低下しないように退院後の足トレーニングのパンフレットを作りました。

足のトレーニングといっても患者さんによって方法は違うので、個別性を考えながら作成していきます。

学内日は実習記録の整理に一生懸命です。