京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 【解説編】オープンキャンパス連動企画「こたえてわかる!心理学」(8月5日)

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【解説編】オープンキャンパス連動企画「こたえてわかる!心理学」(8月5日)

◆“原因”は何だろう?

成功や失敗の原因を何かに求めることを原因帰属といいます。アメリカの心理学者ワイナーは原因帰属の働きに注目し、失敗や成功の原因を何に求めるかによって意欲が左右されると考えました。

ワイナーは、どのような原因帰属が意欲を左右するかを考えるために、失敗と成功の原因を「内的な(自分の中にある)ものか、外的な(自分の外にある)ものか」という観点と、「安定的な(変わりにくい)ものか,変動的な(変わりやすい)ものか」という観点から分類しました。

例えば、テストの失敗の原因を自分の外にあるもの(例:運)よりも自分の中にあるもの(例:能力)に求めたほうが落胆や自責感といった否定的な感情が生まれやすく、変えることのできる一時的なもの(例:勉強のやり方)よりも変えることの難しい安定的なもの(例:能力)に求めたほうが、「次もうまくいかないに違いない」と期待が低くなってしまいます。

また、テストの成功の原因を自分の外にあるもの(例:運)よりも自分の中にあるもの(例:努力)に求めたほうが、喜びや誇りといった肯定的な感情が生まれやすく、一時的なもの(例:運)よりも安定的なもの(例:能力)に求めたほうが、「次もうまくいくに違いない」と高い期待を持つことができます。

そして、肯定的感情や高い期待感は意欲を高め、否定的感情や低い期待感は意欲を低めます。

したがって、テストの失敗を内的で安定的なもの(例:能力)に求めた場合には「自分はダメだ」という否定的感情や「次もうまくいかないだろう」という低い期待が生まれ、意欲も低くなります。一方、成功の原因を内的で安定的なもの(例:能力)に求めた場合、「自分はできる」という肯定的感情や「次もうまくいくだろう」という高い期待が生まれ、意欲も高まりやすくなると考えられています。

本来、原因帰属は、私たちが環境に適応するために必要な心の働きです。原因を理解することにより、将来同じ失敗を繰り返さないように行動できます。もし、様々な原因が考えられるにもかかわらず落ち込みやすい考え方ばかりをしている場合には、次の行動につながっていくような別の見方をしてみることも大切かもしれませんね。

引用文献
櫻井茂男(監)黒田祐二(編)(2012).実践につながる教育心理学 北樹出版 pp.78-80.

オープンキャンパス終了後、本日この企画に参加してくださった方の回答の割合をアップします!(^^)