ニュース

教員コラム

年が変わるということ

新年あけましておめでとうございます。2018年が始まりました。新しい年がスタートし、皆様いかがお過ごしでしょうか。

ところで、年が変わるということには、どんな意味があるのでしょうか。大晦日から元旦に移行する瞬間、なんとなく大きな切り替えが起こるように思いますが、冷静に考えると、普段と変わらないただの1秒にすぎません。

しかし、そこに境界線としての何らかの意味を見出し、年越しそばを食べるとか、寒いのにわざわざ夜中に初詣に行くとか、年越しの瞬間に地球上にいないようにしようとあほみたいにジャンプするとか、どうしてもしてしまうのが人間というものではないでしょうか。

年が変わるということは、人間が発明したことであって、人間が作り出した意味に他ならず、人間にとってのみ意味のある現実、境界線といえます。臨床心理学ではこうしたことを、気のせいとか迷信とか、意味ないとかいって切り捨てたりせず、わりと大事にしています。

年が明けて気持ちが新たになって引き締まるとか、逆になんとなく憂鬱になってしまうとか、冷静に考えたら意味ないわけですが、それはやはりひとつの現実であるわけです。「気のせい」の集積で人間の心は出来上がっているともいえます。

そこで、そうした「気のせい」がある程度の力を持っていることを前提に、それらとうまくつきあっていけるよう工夫していこうというのが、臨床心理学や心理療法の発想だろうと思っています。こうした境界線を利用して気持ちを切り替えたり、何か境界線を自分自身で設定して生活をコントロールしたり。あるいは逆に、知らず知らずのうちに自分を縛っている境界線に気づいて、これは自分にとっては意味がない、と見切ることが大事になることもあるかもしれません。

というわけで、なんだかわからない話になってしまいましたが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 

 今西 徹(2018年1月16日)