京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース アスリートの休養―オリンピックTV観戦より②

ニュース

教員コラム

アスリートの休養―オリンピックTV観戦より②

次のオリンピックシーズンまでの間、ほとんど全ての選手は不調やアクシデントに向き合っています。2010年バンクーバー五輪の2年前、髙橋大輔さんは選手生命にかかわるほどの大ケガを負いました。1シーズン表舞台に出られず、治療と地味なリハビリに明け暮れる毎日から、逃げ出したこともあったと自ら語っています。幼い頃から好きで好きでしょうがなかったスケートを、ほとんど独学で毎日練習してジュニアチャンピョンになったぐらいなので、悔しい思いは半端なものではなかったはずです。

また国内でも、羽生結弦選手という10代バリバリの選手が台頭する中で、髙橋さんは競技選手としては体力も気にかかる23歳であり、その上ケガで競技できない期間の心中は、とうてい想像がおよびません。

2014年ソチ五輪の直前、再び彼はケガを負いました。その同じシーズンで優勝したNHK杯のショート・プログラムでの演技があまりにも見事で、コーチも思いがこみ上げて涙を流すほどでしたので、私もとてもショックでした。また追い打ちをかけるように、使用した曲の作曲者のトラブルにまで巻き込まれ、なぜか私まで、ソチ五輪開幕までをハラハラして過ごしていました。

「今度は金メダルを!」という期待も前のオリンピック時より大きく、世間の注目は自然と髙橋さんの動きに集まっていました。それだけに、27歳で迎えたソチ五輪直前のケガの知らせに、誰もがショックを受けたのです。結果的に、髙橋大輔さんはメダルに手が届かなかったのですが、世界中の選手たちと観客の反応は、「ありがとう!」という気持ちに満ちていました。女子の浅田真央選手に対しても同様だったと思います。

私はちょうど4年前、時差のある遠いソチでのフィギュアスケートのほとんど全ての種目を、真夜中のリアルタイムにTV観戦することができてラッキーでした!ちょうどその頃、かつて髙橋大輔さんが1シーズンを見送ったように、私は一時期仕事から離れていたので、そのような深夜に一人起きていても生活に支障はなかったからです。今回、時差はないのですが、ソチ五輪の時のようにリアルタイムで見ることはできません。それでも世代交代した2018年冬季五輪も、どのようなドラマが見られるのかを楽しみにしています。

石谷みつる(2018年2月15日)