京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 我が家のアニマルセラピー(5)~ソラの気くばり・心くばり~

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教員コラム

我が家のアニマルセラピー(5)~ソラの気くばり・心くばり~

 5月中旬、大学院の新入生歓迎会があった。ご機嫌で帰宅すると、姉が夜11時近いのにソラを散歩に連れて行こうとしていた。「どうしたん?」「ソラ、調子悪いのかも?ウロウロするから」「じゃ私つれていくわ」。そう言ってヘロヘロしながらいつもの公園に着くとソラはひどい下痢であった。帰宅してしばらく様子をみていたが、いつもの1階のソファでソラが寝息を立てだしたので、私はようやく2階の自室に戻り眠りについた。次の日の早朝4時頃ソラが寝ている私を起こして散歩に連れて行け!というので、朝焼けの中、散歩に行くと今度は胸ヤケが酷いのか?草を猛烈に食べだした。その日の出掛けに「ソラ大丈夫かな?さすがに3時間睡眠で仕事はきついわ!」と私が母に愚痴るのをソラはそばで聞いていた。

 同日仕事から夜遅く帰宅してソラの様子を訊くと体調は回復しているようだったので、安心して眠りについた。朝いつものように起きてくると、母が「ソラがかわいそうだだったんだよ!庭に出たり、階段2・3段上っては下りて、また部屋の中をウロウロし、あんたが下りてくるのを階段の下からず~っと見て待ってた。ソラそんなに散歩に行きたいのなら、2階へ起こしに行き!といったけど、朝4時くらいからかれこれ2時間そんな感じだったよ」と教えてくれた。

 散歩に行ってみると、やはり胸ヤケが酷いのか?草をしきりに食べていた。「ソラ、ごめんね。具合悪かったら遠慮しないで起こしに来たらいいんだよ。遠慮してしんどかったね。ごめん!ごめん!」と言って、私はソラの頭をごしごし撫でながら泣きそうになった。

 『思いやり』、言葉では簡単に書けるが、それを実践するのは難しい。でも、相手の気持ちや状況を想い、相手のためにすこし自分が辛抱したり、引いたりすることも『思いやり』ではないだろうか?「負うた子に教えられ」というけれど、またソラに教えられた。

                                                  川西千弘 (2019年7月18日)