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教員コラム

アトピー性皮膚炎について

 アトピー性皮膚炎は、心身症と呼ばれ、心と身体の分かちがたい結びつきを示すものとして、臨床心理学や心理療法では重要なテーマの一つとしてあつかわれ、様々に考察がなされています。

 しかし、長年アトピー性皮膚炎の患者である筆者にとっては、アトピーは研究テーマというよりは、なかなか縁の切れないやっかいなお友達です。幼少期、初めて発症したときに は、お医者様に大人になったら治るよと言われましたが、この年齢(オーバーフォーティ)となった今でも卒業できていません。このヒトは、調子のいいときには存在を消していて、「あれ?ひょっとしてとうとう治っちゃったのかな?」と思わせたりもしますが、仕事などでストレスが高くなる時期には、あからさまに主張が強くなり、いや、身体ってすごい、というかわかりやすい、としみじみ思いますし、どこか底の知れない恐ろしさのようなものも感じます。

 できたらそろそろお別れしたいものですが、どうもなかなかそうはいかないようです。また、自分が臨床心理学に関心を持ったり、身体に関心を持ったりしているのも、このヒトと無関係ではないかもしれない、と思うと複雑な気持ちにもなります。

 病とつきあうことは自分とつきあうことなのだ、というようなことを授業で言ったりしますが、けっこう自分なりに実感こめて、自戒をこめて言っております。これからも嫌になってしまわずに、気長に、ていねいにおつきあいしていこうと思っています。でもまあ、やっぱり、早くお別れできるものならそれに越したことはない、とは思ってしまいますが、芥川龍之介の『鼻』のように、なくなってしまったらそれはそれでさみしいものなのかもしれません。

 

今西 徹(20191030日)