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教員コラム

教員コラム(徳田先生)☆彡

「レジリエンス 折れない心」-心のキャラバン隊 第9回目の活動-                                        

令和3年8月2日、京都府立学校養護教諭研修会にて「レジリエンス 折れない心」というテーマでお話をさせて頂きました。平成29年1月から始まった心理学科心のキャラバン隊としては第9回目の活動となりました。当日は、高等学校の養護教諭や教育委員会指導主事の先生方など約40名の参加があり、学校にも同時にzoomで配信されました。

研修会に先立ち参加者から質問が集められていました。「HSPといわれるような感覚の鋭い子どもたちのレジリエンスを育てるために保健室でどのような関わりをすると良いのか」「まじめ過ぎて心がしんどい子や完璧主義で柔軟性が乏しい子にどのように声を掛けたらよいのか」といった具体的な質問が多く寄せられました。そこには保健室から感じられる子どもたちの息苦しさや辛さであふれているように思われました。

 レジリエンスとは、自然災害などの逆境や困難そして強いストレスに直面した時に、立ち直る心やストレスをしなやかにはね返すような心の弾力性を指す言葉です。その成分は、自己肯定感や自己効力感、楽観性、感情のコントールができること、そしてほどほどの人間関係力や実際の人とのつながりを持つ力です。

東日本大震災の時、私が驚きと共に感銘を受けたのは、気仙沼の避難所で、小学生を中心とした子どもたちがいち早く壁に貼りだした「ファイト新聞」です(気仙沼発ファイト新聞社)。新聞には「九州から来てくれた人の豚汁がおいしかった」「連休に靴がもらえた」などの子どもたちのナマの声が集められています。子どもたちは創意工夫にあふれた自己表現の場としてこの新聞を作り出し、新聞を作ることを励みとして毎日を送っていたのだろうと思います。そしてそのエネルギーは避難所に長い間暮らすことになった多くの大人たちを力づけたと想像できます。言葉には希望の力があることを強く感じます。

ところで、子どもたちが保健室で表すしんどさは身体と心の様々なレベルに関わりますが、それを養護教諭にそっと打ち明ける人もいます。身体の症状やちょっとしたつぶやきには本当の気持ちが隠れています。本当の気持ちといっても子どもたちの過剰適応や萎縮などで隠れてしまうことが多いのですが、養護教諭のアンテナがうまくキャッチして、そのしんどさを汲み取ってもらうと凝り固まった気持ちがほぐれてくることも多いようです。そして、より複雑でなかなかほぐれないような場合、スクールカウンセラーに繋がることが理想的です。心の緊張がほぐれて本当の気持ちが表現できるようになると自然に前に進む力が出てくるようです。

レジリエンスは誰もが持っている心の資源です。上手に活用したいものですね。

                           (2021年8月16日 文責:徳田(とくだ) 仁子(きみこ))