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教員コラム

ゼミ(今西先生)

2年生の人にとって、来年からのゼミを決める時期が近づいてきました。ゼミとは、3,4年生の間同じメンバーで、同じ1人の先生について、各自が順番に興味のあるテーマについて発表して皆で検討したりしながら学びを深めていき、卒業論文や卒業研究につなげていくという授業です。

実は筆者の母校の大学には、特に心理学のコースに限った話だったとは思いますが、なぜかいわゆるゼミという制度がありませんでした。当時心理学コースの希望者が多かったせいかもしれません。ゼミの代わりに、心理学を学ぶ同学年の学生全員が受講する研究発表の授業があり、先生も2,3名おられるなかで順番に半期に1回ずつくらい発表していくという形式でした。多くの人の発表が聞けて参考になるし、自分の発表も多くの人に聞いてもらえてアドバイスがもらえるので、いいシステムだったと思いますが、発表のときはめちゃくちゃ緊張しましたし、正直アドバイスをしっかり聞く気持ちの余裕もありませんでした。また、卒業論文のための指導を受けるために指導教員の先生に面談していただくのですが、そのためのアポイントを取るために、当時はなんと電子メールなどという手段さえなく、大学の研究室で先生をお見かけすることも少ないので、夜分に先生のご自宅にお電話するという恐ろしいことをしないといけませんでした。お家でくつろいでおられるところに電話して、迷惑そうにされたらどうしようとドキドキしながら電話をかけたのが思い出されます(もちろん、いつお電話をしても優しく応じてくださいましたが)。

ということで、京都光華女子大学に赴任して初めてゼミというものを教員の立場で経験したので、最初はいったい何をどうしたらいいのかわからず、戸惑いました。でも、やってみると、毎週決まった時間に決まったメンバー、それもあまり多くない人数のメンバーが集まって、ある程度気心の知れた仲間でわいわいと、気楽に話せる場ができることは非常にいいことだと思うようになりました。学生さんどうしの相乗効果というか、そのときの発表のテーマには添いつつも、皆がある程度好きに話して、時に脱線しながら展開していく場というのは、非常に貴重なものだと感じます。脱線した話、テーマと一見関係ないような話、一見無駄ともみえるような話こそが大事というか、そういうことを話せる場があることによって、そういう土壌があることによって、思いがけないアイデアが生まれたり、個々の能力が伸ばされていったりするのだと実感しました。

2年生の皆様、来年からどうぞ楽しんで学びを深めていってください。高校生の皆様、大学での生活、学びをぜひ楽しみになさってください。

(2021年11月30日 今西徹)