数年前から趣味で野菜作りをしています。その中で、子育てと共通する点に気づくことがあります。
たとえば、夏野菜の茄子やきゅうりの苗を植えたとき、「早く実をつけてほしい」とつい焦ってしまいます。しかし、茄子は株が小さいうちに大きな実をつけると株に負担がかかり、その後の収穫量が減ってしまいます。そのため「一番果」を早めに摘み取ることが推奨されます。株の成長を優先し、根や茎、葉をしっかり育てることが、豊かな実りにつながるからです。
子育ても同じです。結果を急ぐのではなく、愛情を注ぎながら、子どもが生きる力を十分に蓄えられるよう支えることが、成長の土台となります。
また、野菜作りは「植えたら放っておけばよい」というものではありません。毎日の水やりに加え、害虫の有無や葉の色の変化など、小さなサインを見逃さないように注意を払う必要があります。これも子育てに通じており、日々の見守りや支えが、子どもの健やかな成長を後押しするのです。
野菜作りは、時間と手間をかけて「根を育てることの大切さ」を教えてくれます。その過程はまさに子育てと重なります。
炎天下の畑でそんなことを考えながら、猛暑や水不足に負けず立派に育った茄子を収穫しました。理屈はさておき、自分で育てた茄子を味わう瞬間こそが、何よりの幸せです。
(礪波朋子)