京都光華女子大学 健康科学部 心理学科 ニュース 社会ゲーミング・シミュレーション

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教員コラム

社会ゲーミング・シミュレーション

「ファ・マー・ブロ」「何?コレ?え~? 全然わからない!」(いずれもby 学生さん)
「このゲームの間は日本語禁止!!で~す」(byファシリテイター)。

これは、今月初旬行われた社会ゲーミング・シミュレーションという授業の様子である。とにかく、学生さんが笑っている、ちょっと困っている、そして生き生きしている。この授業は、社会の中で起こる様々な出来事をゲームで疑似体験し、その中にいる人間の心理を学習する授業である。3日間で3種のゲームをおこなうが、上述したのは「移民シミュレーション」(前村奈央佳 2012 暮らしの中の社会心理学 安藤香織・杉浦淳吉(編)ナカニシヤ出版 第4章 pp49-50)での1コマである。このゲームは、プレイヤーである学生さんが2チームに分かれ、それぞれが架空の異なる言語を学習する。各プレイヤーはその言語を用いてトランプを交換し、合計で14になるペアを集めなくてはならない。自分のチームだと同じ言語なので意思疎通しやすいが、別のチームに移民として入るとまるで言語が違うので思いが通じない。そこで、上記のようなヤリトリになってしまう。われわれは海外旅行に行くとカルチャーショックを起こすことがあるが、このゲームはそういった異文化間接触を疑似体験し、その中での葛藤や課題をどのようにして解決するのかについて考察する。

一生懸命ジェスチャーして相手に理解を求める人、移民から戻ってきて自分のチームメイトに情報を提供する人、別のプレイヤーが移民として他チームに行くとき頑張ってね!と自然と声が出るようになる。気が付けば、チームワークがとれている。

心理学は、聴くだけで面白い学問であるが、それを生きた知恵として使いこなすためには、このような体験学習がつくづく必要だなって思う。学生さんが喜んで知識を吸収してくれる姿を見ると思わずこちらも励まされる。頑張ろう!

川西 千弘(2016年2月27日)