2018.10.25 学生の活動

日本聴覚医学会に参加して

第63回日本聴覚医学会に、教員と3年生6名が参加しました(学生は一日の参加)。

 言語聴覚専攻の学生が参加したのは初めてです。朝8時から夜の19時まで密度の濃い二日間でした。現場の実習とはまた異なる意味でアカデミックな刺激が多かったのではないでしょうか。以下、学生の感想からの抜粋です。

 
(N)2時間かけて聴覚医学会の開かれる神戸国際会議場に訪れました。神戸を訪れるのは1回生の研修旅行以来だったので電車の乗り換えには戸惑いました。また、国際会議場のある人口島ポートアイランドを結ぶポートライナーに乗るのは初めての経験でした。

 学会を聴講するのは言語聴覚士学会に続き二度目でしたが今後の課題を見つける上で、大変貴重な経験になりました。特に印象に残っているのは言語聴覚士の先生による発表です。どういうことを問題にして何をゴールにリハビリテーションを進めていくのかという流れがわかりとても勉強になりました。今回の学会の主題は「超高齢社会における聴覚医学の課題と使命」、「小児および成人人工内耳のマッピングとリハビリテーションの体系化」です。先天性重度難聴の小児では、出生時から音に対しての概念が存在していないことが多いため、補聴器や人工内耳の聴覚刺激が言語習得するときに重要になります。また、人それぞれ適切な時期があること、聴能訓練が必要であること、家族の方への働きかけなど、今後の課題を色々と考えました。

 先生同士の質疑応答も盛んで、学会とは相互の知見を高めあうよい機会なのだと感じました。ただ私が勉強不足なせいで専門用語でわからないものが多々あり、今まで学んだことをもっとしっかり復習しようと改めて思いました。また、英語による発表もあり英語能力の不足を強く感じました。次回またこのような機会に恵まれた時のために普段から英文の教科書を読み返すなどして努力したいと思います。

 学会を通して、高井先生、内藤先生をはじめとして、多くの先生方には大変お世話になりました。学会の勉強だけでなく、モーニングセミナーの菓子パンやランチョンセミナーの豪華な幕の内弁当など楽しい思い出もたくさんできました。また、そのような勉強以外の時間に先生方とお話をすることでリハビリテーションに対する思いも強まりました。

 今回のまとめとして、聴覚領域において耳鼻咽喉科医師と言語聴覚士がそれぞれ連携しあっているというのがよくわかりました。そしてこれまで全く知らずにいたリハビリテーション以外の医療の世界が見えたような気がしました。とともに、なぜチーム医療が大事なのか、その片鱗に少し触れたような気がし、本来の目的以上に大きな収穫を得ました。


(M)私が印象にのこったのは、UDトークが環境調整に使えるかもしれないという発表です。

 その発表では、今のUDトークは難聴者と同じだと発表されました。UDトーク自体が難聴者のコミュニケーション補助を行う機械なのに、なぜ?と思いながら、聞いていると、語の聞き取りの間違えや語を修正するときのやり方が人間に近いからだと説明を聞いて納得しました。このUDトークの発表のようにおもしろい発表もあれば、ギャップ検出閾値のような、聞いていて、まず、その検査ってどういったものなのか言葉だけではわからない研究発表もあり、勉強しないといけないと改めて感じました。

 あと、いつも大学で先生たちは、私たちに語りかけながら授業をしてくれていたのだと感じました。演題発表とは、聴衆にわかってもらうために伝えるというより、研究の「発表」が目的だと思えたからです。だからではないですが、今の大学の環境は恵まれていることを再確認しました。


(A)やはり、自分の今ある知識だけでは難しい内容も含まれていましたが、学会の雰囲気を感じるという面ではとても勉強になったと感じています。わたしの印象に残ったのは、午後からの部で208「小児を対象とした雑音付加明瞭度スクリーニング評価の試み―雑音下聴力低下の早期発見を目指して―」の中に挙がっていた、聴覚情報処理困難(APD)という言葉です。このAPDの子供たちは聴力検査が正常にもかかわらず、聴き返し、聴き誤りが見られ、学校での学習に影響を及ぼすこともあるようです。

 聴覚障害がある子供たちの支援を考えることだけでなく、このような検査に引っかからない子供たちへの支援をどうするのか、考えていく必要があると思いました。

 
(M)昨日は 大変貴重な機会をくださり ありがとうございました。その名の通り、聴覚のエキスパートが集まる会で私たち学生には難しいことばかりでしたが興味深い内容も多く、楽しく聴講させていただきました。

  中でも印象に残っているのは、134題のBOX型聴力検査室についてです。学校にもあるなあと思いながら聴いていたのですが、現場で音場検査室の設備があまり行き渡ってないことを全く知りませんでした。どの施設にも多く設置されているBOX型聴力検査室で音場検査が行えないかという研究なのですが、これが立証されればとても助かると、他の方々もすごく期待されていました。

  私は、ああ、このような地道な研究の末に、より良い医療、福祉が構築されていくのだなあと感心していました。また、お医者さんが多いのかと思いきや、発表者にSTの方も結構いらっしゃって、STが置かれている立場や重要性についてあらためて思い知ることができました。わからないワードも多くて理解が追いつかない場面も多々ありましたが、大変有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました!

 これから、今回の講演の内容が全て理解できるくらいになる勢いでもっともっと勉強を積み重ねていきたいです。

 

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