「今回初めて一日だけではあったが、聴覚医学会に参加し、大学の授業だけでは得られない知識をたくさん学べる機会になった。一番印象に残ったのは「乳幼児期に人工内耳を安易に勧める現状批判」の講演である。症例の中には、生後まもなくの鑑別診断では重度の聴力だったが、成長とともに聴力の閾値が低下するという例もあり、そういう子に対して、人工内耳の選択肢だけを示すことは危険なことなのだろうと感じた。
早期から聴覚のハビリテーションに介入をすることは大切だが、保護者とともに考える時間も必要だと思う。親子に視点の幅広い選択肢をしめしながら向き合い、その子どもや親の気持ちに耳を傾けることのできる言語聴覚士になりたいと思った。
また、驚いたのは高度・重度だけでなく、軽度・中等度の難聴児が研究の対象になっていることだった。難聴と聞くと高度・重度のイメージが強い感じがするが、そうではなかった。軽度・中等度難聴でも子どもの全人的な発達のためには、乳幼児期からの支援や介入が大切だと聞いて、聴覚レベルに関係なくそれぞれに合った支援が必要なのだと知った。
講演以外にも、補聴器会社の展示が多く出ていて興味深く、私が聴覚障害者に対して支援する場合は、聴覚のことはもちろんだが、その補聴器や支援機器などについても知識を備えておくことも重要だと感じた。そのためにも、パンフレットだけでなく実際にこのような場で情報収集できることはとても大切なことなのだと思った。(3年Y)」