2020.05.14 学生の活動

卒業生リレーエッセイ

私は2014年に京都光華女子大学の言語聴覚専攻に一期生として入学しました。卒業時に、言語聴覚士の国家資格を取得し、以後、京都民医連あすかい病院の回復期病棟(自宅や社会に戻ってからの生活を少しでも元に近い状態に近づけるためのリハビリテーションを行う場所)で仕事をしています。

<現在の仕事について>
 私の仕事内容は、患者さんへのリハビリやカンファレンス(主治医や看護師、薬剤師、相談員、理学療法士など様々な職種がチームとなり、治療の方向性を話し合うもの)への参加が、主な業務です。それ以外に、言語障害、聴覚障害、嚥下(えんげ)障害など、「話す、聞く、飲み込む」ことが困難で、生活に支障をきたす患者さんに対して、レクリエーションを開催したり、高校生向けに、実際にリハビリテーション体験を実施する「高校生一日リハ体験」の担当をしたり、そして、地域の方々との交流も大切な仕事の一つです。

<仕事のやりがいについて>
 私たちの仕事は患者さんが退院された後に、いかにその人らしい生活が送れるか、人生の質をより豊かにすることを考えて行っています。そのため、まず患者さん本人の「「このような生き方がしたい」という思いを最重要視しながら、ご家族はじめ、病院の内の多職種、退院後に関わる機関や多職種と、コミュニケーションを図りながら、いかにしてその想いを実現できるか検討し、実践を積み重ねていきます。

 私が以前担当させていただいたある患者さんの事例で、その患者さんは失語症(言語障害の一つで、脳の言語中枢が何らかの損傷を受けることによって、言語を操る能力に障害が残った状態。失語症になると話すことだけでなく、聞く・読むといった言葉に関するすべての機能に困難が生じる。)を患ったことで、家族の会話に参加出来ず疎外感を感じておられました。しかし、患者さんへのリハビリテーションを行うと同時に、家族に対して病気への理解を促し、支援方法について働きかけていくことで、退院後に患者さんやご家族から「あんたのおかげで前より話す機会が増えて仲良くなれた」との言葉をいただき、たいへん喜んでくださいました。

 このように、一生懸命に患者さんの想いに共感し、ご家族に向き合い、多職種とチームでリハビリテーションを積み重ね、その結果、患者さんの人生が、病気や障害があっても、生きててよかったと思っていただけることが私のやりがいになっています。

<高校生のみなさんへのメッセージ>
 言語聴覚士の仕事は、自分の知識や技術によって患者さんのその後の人生を大きく変えることになる、大変責任のある仕事です。しかし、患者さんに寄り添い向き合ったぶんだけ結果が得られる、やりがいのある仕事でもあります。そして、この仕事をしなければ決して関わることはなかった沢山の方、沢山の職種と関わるなかで、自分自身を振り返り、それが自分の成長に繋がると思います。これからも誇りをもてる自分になれるよう、努力していきたいと思っています。

 このように仕事は大変ですが、お休みが調整しやすいというメリットもあります。それでストレスをためないよう、1年に数回は趣味である海外旅行に行って楽しんでいます。これまで、韓国、香港、マカオ、台湾に行きました。直近ではフィリピンのセブ島でジンベイザメと泳いできました。

 皆さんの輝く未来を応援しています。

いい笑顔
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