私は、急性期・回復期・地域包括・療養病棟があるケアミックス型の病院に勤務しています。
嚥下障害のリハビリをよく依頼されますが、失語症や高次脳機能障害、構音障害の訓練も行っています。当院では、神経難病(パーキンソン病、ALS、脊髄小脳変性症など)の患者様が比較的多く、継続的に介入させていただくことで見える新たな発見に、勉強の毎日です。
①大学で印象に残っている授業について
大学で印象に残っている授業は、高次脳機能障害です。失行(運動可能であるにもかかわらず目的とする運動が意図的にできない状態)や半側空間無視(大脳半球が障害されて半側からのあらゆる刺激を認識できなくなる症候)を初めて学んだ際、本当にこんなことが起こるのかと不思議に思ったことを覚えています。
今ではそんな症状の患者様を担当する機会は多くなりましたが、訓練ではやっぱり初めて学んだ時の気持ちに戻ります。
②病院での長期実習の経験について
実習先では、急性期の嚥下障害の患者さんを担当して学ばせていただきました。介入当初は話すことも食べることもできず、経鼻栄養(鼻からチューブを通して胃へ直接栄養を送る方法)でした。
言語聴覚士の先生に、評価や訓練の仕方を一から指導していただき、患者さんは刻んだ食事を摂れるまでに回復されました。この経験は、今の仕事にも繋がる貴重なものだったなと強く感じます。
③言語聴覚療法の対象のなかで、興味を持っている分野
私は今、「音声」の分野に興味を持っています。声を出す根源の声帯の仕組みや、空気の流れに伴って口の中の動きや形を変えることで出る音の違いが面白く、仕事内外関係なく、個人的に勉強しています。
いずれはこの勉強してきたことを活かせるリハビリが出来たらいいなと考えています。
④高校生へのメッセージ
言語聴覚士(ST)はたくさんの分野があり、自分の得意な分野を極めることも、まんべんなく体験することも出来る、とても面白い仕事です。社会に必要とされ、今後さらに活躍の現場が期待できるSTに、あなたもなりませんか???
*写真は嚥下内視鏡検査中の写真です。患者様の鼻に細いカメラを入れ、飲み込みの状態を確認しています。